2024.02.22
【連載】専門家がずばり解説!健康情報Q&A第40回「いつまで食事制限をしなくてはならないの?」
「気になるけど結局どうなの?」という健康に関するソボクな疑問を、筑波大学体育系 准教授の中田由夫先生に答えてもらう連載の第40回目!
<前回の質問>
☆第39回「糖質制限をどこまでやればいいのかわかりません。」
今回は、ユーザーさんからいただいた質問で、「食事制限し、適度な運動もして体重などは減るのですが、食べるとリバウンドしてしまいます。安定的な体重になるのでしょうか? いつまでも食事制限をしなくてはならないのでしょうか?」というご質問についてアドバイスをお伺いしました。
この連載について――――
「専門家がずばり解説!健康情報Q&A」では、健康に関するソボクな疑問を、食事と運動が健康に及ぼす影響について研究されている、筑波大学体育系 准教授の中田由夫先生に解説していただきます。ダイエットや運動など幅広く質問しています。
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Q. 食事制限し、適度な運動もして体重などは減るのですが、食べるとリバウンドしてしまいます。安定的な体重になるのでしょうか? いつまでも食事制限をしなくてはならないのでしょうか?
中田先生の回答
A. ご自身の適正体重が見極められるように、体重管理を継続しましょう。
以前にもお伝えしたことがありますが、やせればやせるほど健康になるわけではありません。ご自身にあった適正体重を見極めることが重要です。
【連載】専門家がずばり解説!健康情報Q&A 第18回 一定の体重から1年近く減りません。どうしたら良い?
ストレスによる一時的な食べ過ぎや、悪い生活習慣の積み重ねによって、過剰に体重が増えた状態のときに、生活習慣を良い方向に変えることができれば、自然と体重は減少していきます。しかし、永遠に体重が減り続けることはなく、どこかで頭打ちになります。
体重減少の「停滞期」とは
いわゆる「停滞期」と呼ばれる状況は、体重が減り過ぎることに対して、体が危険性を感じたときに生じると考えられますので、たんぱく質、ビタミン、ミネラルなどの必要な栄養素をしっかりと摂ったうえで、エネルギー収支バランスを継続的に負に傾けていれば、時間の経過とともに、再び体重減少のフェーズに入っていきます。
一方で、今回の質問をいただいた方もそうだと思いますが、ある程度の減量を達成した後は、どこまでもやせられるものではありません。十分に栄養素を摂ったうえで、適度な運動もして、エネルギー収支バランスを負に傾けているのに、体重減少が進まない場合は、それ以上減らす必要がないのかもしれません。
年齢に合わせて、適正体重を見極めよう
一般には、BMI 22が理想体重と呼ばれますし、BMI 25未満が標準体重の範囲内です。しかしながら、BMI 22がすべての人にとっての適正体重にはなりません。20歳時体重が目安となりますが、もともとやせ型の人であればBMI 22くらいがちょうどよいかもしれませんが、もともと体ががっしりした体型の人であればBMI 25を超えていたとしても、健康上の問題がなければ、そのくらいでちょうどよいかもしれません。
また、年を重ねるとともに、徐々に身長は小さくなりますし、体重は増えていきがちです。結果として、BMIは増えていくのが自然な変化です。過剰な体重増加は健康に悪影響を及ぼしますが、長い目で見た多少の体重増加は自然な変化として許容してもよいと思います。
大切なことは、体重が増減した際に、健康上の問題が生じていないかどうか、元気のなさを感じていないかどうか、ご自身の体との対話を通じて、現在の体重が適正かどうかを見極めることです。体にとって適正な体重であれば、無理な食事制限をしなくても、その体重を維持できるはずです。
さいごに
この連載は2021年2月の第1回に始まり、今回で第40回となりました。この連載は今回でいったん終了とさせていただき、また違った形で、健康情報をお届けできればと考えています。3年間、お付き合いいただきありがとうございました。
著者:中田由夫(筑波大学体育系 准教授 博士 体育科学)
2004年3月筑波大学大学院博士課程体育科学専攻修了。筑波大学大学院人間総合科学研究科助手、助教、筑波大学医学医療系助教、准教授を経て現職。食事と運動を中心とした行動変容が生活習慣病の予防および改善に及ぼす影響を明らかにする研究を進めている。
【主な論文】
Nakata Y et al. Web-based intervention to promote weight-loss maintenance using anactivity monitor: A randomized controlled trial. Preventive Medicine Reports 14:100839, 2019.
【主な書籍】
江口泰正, 中田由夫(編著). 産業保健スタッフ必携 職場における身体活動・運動指導の進め方. 大修館書店, 東京, 2018.
【主な所属学会】
日本運動疫学会(副理事長)、日本健康支援学会(理事長)、日本体力医学会(評議員・編集委員)、日本疫学会(代議員)など。
記事提供:リンクアンドコミュニケーション
リンクアンドコミュニケーションは、「世界中の誰もが、自然に健康になれる社会を創る」をモットーに、最新の健康情報の発信や健康課題を解決するサービスを提供しています。
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<これまでの質問>
☆第3回「糖質コントロールとカロリーコントロール、結局どっちが痩せるの?」
☆第4回「有酸素運動は20分以上続けないと痩せないってホント?」
☆第7回「“座り過ぎ”の健康リスクを運動で帳消しにできますか?」
☆第8回「“床に座る vs 椅子に座る”どっちが体に悪い?」
☆第10回 外出自粛のなか、運動するにはどうしたら良いですか?
☆第12回 BMIは標準値なのにお腹がぽっこり…解消するには?
☆第15回 35歳を過ぎ痩せにくく…健康に食べながら痩せられる方法は?
☆第16回 「お酒を飲む」or「お酒を我慢してストレスをためる」体に悪いのはどっち?
☆第17回 “食前” vs. “食後” 運動するにはどっちが効率的?
☆第18回 一定の体重から1年近く減りません。どうしたらよい?
☆第19回 体脂肪率が減りません。どうしたら順調に減らしていけますか?
☆第20回 糖質制限中、カロリーオーバーした場合、 やせる? 太る?
☆第21回 1日の内、夕食にエネルギー摂取量が偏るのはあり?
☆第23回 脂質を控えているのに 体脂肪が減らないのはなぜ?
☆第25回 筋肉をつけて体脂肪を減らす効果的な筋トレ教えて!?
第26回 食事制限と運動で一日のエネルギー収支がマイナスでも体重が減りません⁈
第28回 太りにくい身体づくりについてのアドバイスVer.2
第29回 激しい運動やきつい食事制限なしで短期間で簡単に痩せられる方法とは?
第31回「ストレッチを毎日、ウォーキングと階段上り下りの痩せ効果について」
第34回「ウォーキングを日課としていますが、効果を最大限に引き出す方法は?」
第35回「カロリー制限と糖質制限、どちらの方が身体に優しいのか」