2022.01.06
【連載】専門家がずばり解説!健康情報Q&A 第15回 35歳を過ぎ痩せにくく…健康に食べながら痩せられる方法は?
「気になるけど結局どうなの?」という健康に関するソボクな疑問を、筑波大学体育系 准教授の中田由夫先生に答えてもらう連載の第15回目!
<これまでの質問>
☆第3回「糖質コントロールとカロリーコントロール、結局どっちが痩せるの?」
☆第4回「有酸素運動は20分以上続けないと痩せないってホント?」
☆第7回「“座り過ぎ”の健康リスクを運動で帳消しにできますか?」
☆第8回「“床に座る vs 椅子に座る”どっちが体に悪い?」
☆第10回 外出自粛のなか、運動するにはどうしたら良いですか?
☆第12回 BMIは標準値なのにお腹がぽっこり…解消するには?
今回は、ユーザーさんからいただいた質問で、年齢を重ねても健康に食べながら痩せられる方法についてお伺いしました。
この連載について――――
「専門家がずばり解説!健康情報Q&A」では、健康に関するソボクな疑問を、食事と運動が健康に及ぼす影響について研究されている、筑波大学体育系 准教授の中田由夫先生に解説していただきます。ダイエットや運動など幅広く質問していくので、楽しみにしていてください☆
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中田先生の回答
痩せにくいのは歳のせい?
年齢を重ねると“痩せにくい”という話はよく聞きます。実際、何もしなくても消費される基礎代謝量は、年齢とともに低下しますが、わずかな量です。それだけで“痩せにくさ”は説明できません。年齢とともに体力も低下してきますので、同じ“歩く”という動作であっても、その速度が遅くなっていれば、消費されるエネルギー量は少なくなります。そもそも、“歩く”という動作自体が減っているのかもしれません。
一方、食事の内容はどうでしょうか?もし、エネルギー消費量が減少してきているのであれば、食事によるエネルギー摂取量も減少しているはずです。子どもは元気に動き回るので、たくさん食べるのです。じっとしていることが多い大人は、あまり食べなくてよいはずです。また、年齢とともに給与水準が高まると、ちょっとした“ぜいたく”ができるようになります。脂ののった“トロ”やサシの入った“ステーキ”は、脂質が多く含まれており、その脂が“うまみ”として感じられます。その分、量は少なくてもカロリーは高くなります。“量が少ない”=“カロリーが少ない”とは限りません。逆に、“量が多い”=“カロリーが多い”とも限らないのです。
食事の内容を見直しましょう
具体的なダイエット方法については、これまでの連載記事を参考にしてください。基本的には、糖質や脂質が多く含まれる、主食や主菜、間食の見直しが必要です。一方で、取り忘れることの多い、野菜が多く含まれる副菜や、牛乳・乳製品、果物は積極的にとってください。主食、主菜、間食を減らしても、カロリーの少ない副菜が増えることで、食事量を落とすことなく、減量することができます。
☆中田先生のダイエット連載
【連載】専門家が教える 絶対役立つダイエット基本のき(全12回)【第1回】「正しいダイエット」の減量効果
食事を極端に減らす必要はありません
1 kgの体脂肪はおよそ7,000 kcalです。1ヵ月で1 kgやせたいのであれば、1日250 kcal、1食約80 kcal減らせばいいのです。もし、ごはんを200 g食べているのであれば、ごはんだけで320 kcalを摂取しています。ごはんを150 gに減らせば、80 kcalカットすることができます。マグロのお刺身は、100 gで100 kcalですが、大トロであれば300 kcalになります。
美味しいものは少量で満足して、栄養の多い野菜をたくさん食べてください。それでもケーキなどを食べたくなったときは、カロリーを確認して、その分、運動で消費できるようにしましょう。年齢に関係なく、必ず減量は達成できます。
著者:中田由夫 (筑波大学体育系 准教授 博士 体育科学)
2004年3月筑波大学大学院博士課程体育科学専攻修了。筑波大学大学院人間総合科学研究科助手、助教、筑波大学医学医療系助教、准教授を経て現職。食事と運動を中心とした行動変容が生活習慣病の予防および改善に及ぼす影響を明らかにする研究を進めている。
【主な論文】
Nakata Y et al. Web-based intervention to promote weight-loss maintenance using anactivity monitor: A randomized controlled trial. Preventive Medicine Reports 14:100839, 2019.
【主な書籍】
江口泰正, 中田由夫(編著). 産業保健スタッフ必携 職場における身体活動・運動指導の進め方. 大修館書店, 東京, 2018.
【主な所属学会】
日本運動疫学会(理事・編集委員長)、日本健康支援学会(理事長)、日本体力医学会(評議員・編集委員)、日本疫学会(代議員)など。
記事提供:リンクアンドコミュニケーション
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