2021.01.18
【連載】専門家が教える!絶対役立つダイエット基本のき 第12回 適正体重の維持を目指して
今回を含め12回にわたって、ダイエットに関する連載記事をお届けしてきました。この連載記事を通じて、目標体重を達成できた方、そこまでいかなくても減量に成功した方が、1人でも多くいらっしゃれば嬉しく思います。今回で最終回となりますので、今後の体重維持の方法や考え方について、お話しします。
【連載】専門家が教える!絶対役立つダイエット基本のき
第5回 1ヵ月で2kg減!ポイントは食事と運動の“負”のバランスにあり
体重計に乗り続けよう
前回、リバウンドを予防するコツとして、食事量を増やし過ぎないことだけでなく、身体活動量を高めることの重要性をお伝えしました。それよりも、もっと重要なこと、最も重要なこととして、“体重計に乗り続ける”ことが挙げられます。そもそも、体重計に乗り続けていなければ、リバウンドしていることにも気づきません。週に1回、月に1回の体重計測では、日々の変化に気づくことができません。
出張や旅行で家を空けるときは仕方ないかもしれませんが、できるだけ毎日、決まった時間に、決まった条件で、体重計測を継続することが、何よりも大切です。
目標体重を達成する!
目標体重は人それぞれですが、もう少しで達成できそうな方は「あと1ヵ月以内に達成する!」といったように、期間を区切って、しっかりと取り組み、目標を達成してください。ダイエット(減量)は非日常です。だらだらと続けるものではありません。目標まで、まだまだ先が長い方は、ちょっと無理な目標を立ててしまったのかもしれません。置かれている状況は人それぞれですので、現実的に達成可能な目標に変更して、その目標達成に向かって、再度、気持ちを切り替えてください。
体重を維持する
目標体重が達成できた方は、その体重をしっかりと維持できるように心がけてください。特に難しく考えなくても、基本的にエネルギー摂取量とエネルギー消費量は釣り合うように、満腹中枢によってコントロールされています。体重を減らすためには、その満腹中枢の指令に抗う必要がありましたが、体重を維持する局面では、満腹中枢に素直に従っていれば良いのです。
ただし、その感覚だけを頼りにしていると、リバウンドの危険性が高くなります。毎日、体重計に乗って、維持したいと思っている体重±1 kgの範囲内におさまるようにしましょう。
プチダイエットのススメ
目標としていた体重が70 kgで、その目標を達成したとしましょう。70±1 kg、すなわち、69 kgから71 kgの範囲におさまっていれば、体重が維持できています。もし、72 kgになった場合には、速やかに“プチダイエット”に取り組んでください。1回の暴飲暴食で1~2 kg体重が増えることがありますが、だいたい3日、プチダイエットに取り組めば、元の体重に戻すことができます。このように、体重計測を継続し、少し体重が増えた場合はすぐにプチダイエットに取り組むことで、大きなリバウンドは予防できます。
リバウンドしてしまったら?
維持しようと思っていた体重から3 kg増えたら、立派なリバウンドです。明らかなリバウンドに気づいたときは、なぜリバウンドしてしまったのか、ご自身の生活習慣を見直してみましょう。食事が増えている、体を動かしていない、夜寝る前に食事をとってしまっている、間食が増えているなど、思い当たることがあるはずです。それを、どのようにすれば解決できるかを考え、1~3ヵ月、期間を区切って、生活習慣の改善に取り組んでください。
適性体重とは?
目標とした体重が適正体重とは限りません。もう少し体重を減らしたほうが、体調がさらに良くなることもあるでしょう。逆に、体重を減らし過ぎてしまうと、体調が悪く感じることもあります。適正体重は人それぞれですので、自分にとって最適な体重はどのくらいなのか、長い時間をかけて判断してください。そして、5年、10年と時を重ねると、適性体重が変わってくる可能性もあります。体重計測を継続しながら、自身の体調の変化を敏感に感じ取れるように、体との対話を習慣化してください。
良い生活習慣の継続が大切!
適性体重の維持を通じて、食習慣、運動習慣などの生活習慣が良好に保たれることが、将来の健康維持のために大切です。体重を維持することだけが目的ではありません。体重管理を通じて、良い生活習慣を継続していただき、みなさまが健康に年を重ねていただけることを祈念しております。
☆健康的に痩せたい方は必見!これまでのおさらい↓
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【第5回】1ヵ月で2kg減!ポイントは食事と運動の“負”のバランスにあり
【連載】手軽にできる運動のススメ(全7回)
【第1回】1日何歩あるきますか?たった「+10分」でも効果的!
著者:中田由夫 (筑波大学体育系 准教授 博士 体育科学)
2004年3月筑波大学大学院博士課程体育科学専攻修了。筑波大学大学院人間総合科学研究科助手、助教、筑波大学医学医療系助教、准教授を経て現職。食事と運動を中心とした行動変容が生活習慣病の予防および改善に及ぼす影響を明らかにする研究を進めている。
【主な論文】
Nakata Y et al. Web-based intervention to promote weight-loss maintenance using anactivity monitor: A randomized controlled trial. Preventive Medicine Reports 14:100839, 2019.
【主な書籍】
江口泰正, 中田由夫(編著). 産業保健スタッフ必携 職場における身体活動・運動指導の進め方. 大修館書店, 東京, 2018.
【主な所属学会】
日本運動疫学会(理事・編集委員長)、日本健康支援学会(理事長)、日本体力医学会(評議員・編集委員)、日本疫学会(代議員)など。
記事提供:リンクアンドコミュニケーション
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