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2020.01.29

【連載】手軽にできる運動のススメ 第7回 筋力向上で得られるさまざまな健康利益


過去6回、手軽にできる活動を通じて、歩数を増やす方法やその重要性を説明してきました。また、前回は、持久力と健康について説明しました。今回は筋力と健康について説明し、この連載の最終回にしたいと思います。

【連載】手軽にできる運動のススメ(全7回)

【第1回】1日何歩あるきますか?たった「+10分」でも効果的!

【第2回】やらなきゃ損!「+10分」で得られる健康利益

【第3回】いつでもどこでも「+10分」!

【第4回】運動せずに歩数を稼ぐコツ

【第5回】日常のちょっとした活動で健康に

【第6回】持久力向上を目指して

前回、ご紹介したように、体力のなかで最も健康との関連が報告されているのは持久力です。その次に健康との関連が報告されているのは筋力、なかでも握力との関連が多く報告されています。ペットボトルや瓶の蓋を開けられない方は、注意が必要かもしれません。

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糖尿病にも関連!?筋力と健康の関係

筋肉は、私たちの体を動かし、支えるために重要な役割を果たしていますが、それだけではなく、たんぱく質の貯蔵庫でもあり、糖を消費する役割も担っています。そのため、意外に思うかもしれませんが、糖尿病などの代謝疾患と関連することも知られています。筋肉量が多いことは健康にとって重要な要素であり、筋力が高いほど死亡率が低く、健康度が高いことが多くの研究から示されてきました。

握力と健康:握力が高いと死亡リスクが減少

握力は、最も簡単に計れる筋力の指標の一つであり、歩行や姿勢を保つために重要な、下肢筋力(下半身の筋力)とも関連があることが知られています。そのため、数多くの観察研究において握力が調査されています。以下、代表的な研究結果を紹介します。

<高血圧より強い!握力の低下と死亡率の関連>

カナダ、スウェーデン、アルゼンチン、ブラジル、中国、イラン、バングラデシュ、インドなど、17ヵ国に居住する35~70歳の142,861人を4年間追跡した研究結果です[1]。握力が5 kg下がるに従って、死亡率は1.16倍高くなり、握力と死亡率の関連は、収縮期血圧と死亡率の関連よりも強いことが示されています。

<死亡率だけではなくがんにも影響>

英国の40~69歳、502,293人を約7年間追跡した研究結果でも、握力と死亡率の関連が報告されています[2]。この研究では、握力が5 kg下がるに従って、死亡率は1.20倍高くなり、がんの罹患率も1.17倍高くなることが示されています。

<国内で示された糖尿病との関連>

日本でも、20~92歳の21,802人を5年間追跡し、体力テストとその後の2型糖尿病発症との関連を検討した結果、握力の体重あたりの相対値が高いほど、2型糖尿病発症率が低くなることが示されています(図)[3]。

図 握力と2型糖尿病発症リスク
Momma H et al.: J Epidemiol 2019; 29(4): 139-46.より作成

図 握力と2型糖尿病発症リスク Momma H et al.: J Epidemiol 2019; 29(4): 139-46.より作成

このように、握力は数多くの研究によって、健康と密接に関連することが報告されています。では、握力だけを鍛えればよいかというと、そうではなく、握力は筋力や筋量の指標の一つとして利用されていることを忘れないでください。

筋力を高めるためのポイント

健康目的で筋力トレーニングを行う場合、ボディビルダーが行っているような高い強度のトレーニングを行う必要はありません。持久力を高める運動(連載第6回参照)と同じように、“ややきつい”強度でトレーニングを行ってください。ただし、強度がそれほど高くない分、筋力や筋量が著しく増えることはありません。逆に、「筋肉がつき過ぎてスタイルが悪くなっちゃう」ということもないので安心してください。

握力と下肢筋力に関連があることを前述しましたが、トレーニングによって筋力を高める場合、いくら握力を鍛えても、下肢筋力は鍛えられません。鍛えたい筋肉を個別にトレーニングしていく必要があります。できれば、全身の筋肉量が増えるように、大きな筋肉から鍛えていくと良いでしょう。オススメは、太ももを鍛えるスクワット、大胸筋を鍛える腕立て伏せ、そして腹筋です。

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それぞれ10~15回を1セットとし、休憩をはさみながら2~3セット、週2~3回行うと良いでしょう。3種目を3セット行うと、それなりに時間がかかりますし、週2~3回やろうと思っても、間を空けると忘れてしまって、習慣化できないこともあります。その場合は、月曜日にスクワットと腹筋、火曜日に腕立て伏せと腹筋、といったように、曜日によって組み合わせを変えて行うのがオススメです。トレーニングが効いていれば、休みを入れたくなるくらいの疲労感が残っているはずです。その場合は1日休んで、別の種目を行う、といった感じです。腹筋は比較的疲れにくい筋肉ですので、疲れを感じなければ連続して行っても良いでしょう。

持久力も筋力も、そして健康も、一朝一夕で高められるものではありません。小さなことから無理なく始めて、習慣化することが大切です。頑張りすぎて三日坊主になるのではなく、ちょっと足りないくらいがちょうど良いと考えて、継続することを目指しましょう。

【文献】
[1]Leong DP et al.: Lancet 2015; 386(9990): 266-73.
https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(14)62000-6/fulltext
(2020年1月20日閲覧)
[2]Celis-Morales CA et al.: BMJ 2018; 361: k1651.
https://www.bmj.com/content/361/bmj.k1651
[3]Momma H et al.: J Epidemiol 2019; 29(4): 139-146.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jea/advpub/0/advpub_JE20170280/_article/-char/ja

【連載】手軽にできる運動のススメ(全7回)

【第1回】1日何歩あるきますか?たった「+10分」でも効果的!

【第2回】やらなきゃ損!「+10分」で得られる健康利益

【第3回】いつでもどこでも「+10分」!

【第4回】運動せずに歩数を稼ぐコツ

【第5回】日常のちょっとした活動で健康に

【第6回】持久力向上を目指して

【第7回】筋力向上で得られるさまざまな健康利益

☆役立つ情報がいっぱい!ほかの運動記事を読みたい方はこちらから!

著者:中田由夫 (筑波大学体育系 准教授 博士 体育科学)

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2004年3月筑波大学大学院博士課程体育科学専攻修了。筑波大学大学院人間総合科学研究科助手、助教、筑波大学医学医療系助教、准教授を経て現職。食事と運動を中心とした行動変容が生活習慣病の予防および改善に及ぼす影響を明らかにする研究を進めている。

【主な論文】
Nakata Y et al. Web-based intervention to promote weight-loss maintenance using anactivity monitor: A randomized controlled trial. Preventive Medicine Reports 14:100839, 2019.

【主な書籍】
江口泰正, 中田由夫(編著). 産業保健スタッフ必携 職場における身体活動・運動指導の進め方. 大修館書店, 東京, 2018.

【主な所属学会】
日本運動疫学会(理事・編集委員長)、日本健康支援学会(理事長)、日本体力医学会(評議員・編集委員)、日本疫学会(代議員)など。

記事提供:リンクアンドコミュニケーション

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