2020.04.24
【連載】専門家が教える!絶対役立つダイエット基本のき 第3回 いま、気を付けるべき生活習慣
世界的に、新型コロナウイルス感染症が猛威を振るっています。日本でも緊急事態宣言が出され、「密閉」、「密集」、「密接」の3つの密を防ぐための外出自粛要請や、人と人との距離を一定以上に保つソーシャルディスタンスが呼びかけられています。
「こんなときにダイエット?」と思われるかもしれませんが、米国疾病予防管理センター(CDC)は、新型コロナウイルス感染症が重症化するリスクの1つとして高度肥満を挙げています[1]。外出自粛により身体活動量が減り、在宅に伴い間食等の摂取量が増えれば、“コロナ太り”と言われるような体重増加が生じても不思議ではありません[2]。今回は少し予定を変更して、“いま、気を付けるべき生活習慣”についてお話しします。
バランスの良い食事を摂ろう
健康のためにも、ダイエットのためにも、おそらくは感染症予防のためにも、バランスの良い食事を摂ることが大切です。では、バランスの良い食事とはどんなものでしょうか?下の図は、健康的な食事バランスを示した食事バランスガイドです[3]。量的には、主食、副菜、主菜、牛乳・乳製品、果物の順番で摂っていきます。ポイントは、主菜(肉、魚、卵、大豆料理)よりも、副菜(野菜、きのこ、いも、海藻料理)の方が多い、ということです。
図1 食事バランスガイド
農林水産省Webサイト:食事バランスガイド(https://www.maff.go.jp/j/balance_guide/attach/pdf/index-2.pdf)を加工して作成(2020年4月10日閲覧)
主食は多すぎても、少なすぎてもいけません。低炭水化物ダイエットが流行ったときに、極端に主食を減らす人もいましたが、長い目で見て健康を維持するためにはおすすめできません。また、コマの軸にあたる部分は、水分摂取の重要性を示しています。食事で摂る水分量と合わせて、1日2リットルくらいを目安に、積極的に水分を摂るようにしましょう。
野菜、果物、牛乳・乳製品は、少なくなりがちな食品群です。「あまり体を動かさないから食事は少なくていいや」と簡単な食事で済まそうとすると、まったく摂らないような日も出てくるかもしれません。しかし、野菜、果物、牛乳・乳製品には、毎日摂らなければならない栄養素である、ビタミンやミネラルが多く含まれています。食事バランスガイドに示されている目安量が摂れるように、しっかり意識して食事の献立を考えるようにしましょう。
身体をしっかり動かそう
健康維持において、身体活動が如何に重要であるかは、「【連載】手軽にできる運動のススメ(全7回)」で詳述したので、是非、参考にしてください(この記事の末尾参照)。また、活動制限がかかっている現状における身体活動の重要性について、WHOもメッセージを出しています[4]。このメッセージでは、歩行程度の活動であれば週150分以上、ジョギング程度の運動であれば週75分以上を推奨し、さらに週2日以上の筋力トレーニングを推奨しています。
これを叶える具体的な方法として、まずは毎日の歩数を確認しましょう。リモートワークが進んでいる現在、通勤時に歩数が稼げなくなり、かなり歩数が減少していることが予想されます。自宅にいるから歩かなくても仕方ない、ということにはなりません。自宅にいるからこそ、積極的に体を動かす時間を意識して作る必要があります。普段の歩数と同じくらい歩くことを心掛けましょう。
例えば普段は8,000歩くらい歩いていた人は、お昼までに4,000歩をクリアすることを目標としてください。お昼に歩数を確認し、4,000歩に足りなければ、4,000歩になるまで、お昼休憩時にウォーキングしましょう。さらに、夕方にも歩数を確認し、8,000歩に足りなければ、8,000歩になるまでウォーキングしましょう。「Stay home」と言っても、人込みを避け、1人で(あるいは数メートル人との距離をとって)屋外を歩くことは制限されていません。
まとまった時間が取れない人は、こまめに体を動かすことを意識してください。座りすぎはよくありませんので、自宅にいる時間が長いいまだからこそ、続けて座っている時間(座位時間)を短くすることを意識しましょう。ちょっとしたついでで立ったり歩いたりすると、意外と歩数は増えるものです。また、気分転換を兼ねて、筋力トレーニングを取り入れると良いでしょう。家にいながらも運動ができるように、さまざまなトレーニング動画が発信されています。「ややきつい」と感じる程度の筋力トレーニングを週2回程度実施できると良いです。時間を決めて体を動かすようにすると、1日の生活にリズムが生まれ、身体的にも精神的にもストレスが軽減されることが期待できます。
良い生活習慣はダイエットの基本
ダイエットから少し離れた話題となりましたが、良い食習慣と運動習慣が確立できればダイエットにも成功すること、間違いなしです。自宅にいる時間が長いいまだからこそ、ご自身の生活習慣を見直してみてください。
少し食事バランスの話をしましたが、ダイエットにとって特に大切なことは野菜の摂取量です。朝、昼、晩、毎食野菜を摂取してください。できれば両掌がいっぱいになるくらい、積極的に摂取してみてください。野菜がたっぷりあることで、必要なビタミン・ミネラルがしっかり摂れますし、野菜には水分量が多く含まれるので、満腹感を感じやすく、結果としてその他の食事量が減り、減量効果が高まります。
前回お伝えした毎日の体重測定に、今回お伝えした毎食の野菜摂取、両方しっかり取り組んでいただくだけで、自然と体重は減ってくるはずです。
【文献】
[1]Centers for Disease Control and Prevention. Coronavirus (COVID-19).
https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-nCoV/index.html ※外部サイトに遷移します
[2](株)リンクアンドコミュニケーション プレスリリース「新型コロナウイルス流行下での生活習慣の変化を調査し、結果をまとめました」
https://www.linkncom.co.jp/news/press/264/ ※外部サイトに遷移します
[3]農林水産省. 「食事バランスガイド」について
https://www.maff.go.jp/j/balance_guide/index.html ※外部サイトに遷移します
[4]World Health Organization. Be active during COVD-19.
https://www.who.int/news-room/q-a-detail/be-active-during-covid-19 ※外部サイトに遷移します
(すべて2020年4月10日閲覧)
【連載】専門家が教える 絶対役立つダイエット基本のき
【第5回】1ヵ月で2kg減!ポイントは食事と運動の“負”のバランスにあり
【連載】手軽にできる運動のススメ(全7回)
【第1回】1日何歩あるきますか?たった「+10分」でも効果的!
著者:中田由夫 (筑波大学体育系 准教授 博士 体育科学)
2004年3月筑波大学大学院博士課程体育科学専攻修了。筑波大学大学院人間総合科学研究科助手、助教、筑波大学医学医療系助教、准教授を経て現職。食事と運動を中心とした行動変容が生活習慣病の予防および改善に及ぼす影響を明らかにする研究を進めている。
【主な論文】
Nakata Y et al. Web-based intervention to promote weight-loss maintenance using anactivity monitor: A randomized controlled trial. Preventive Medicine Reports 14:100839, 2019.
【主な書籍】
江口泰正, 中田由夫(編著). 産業保健スタッフ必携 職場における身体活動・運動指導の進め方. 大修館書店, 東京, 2018.
【主な所属学会】
日本運動疫学会(理事・編集委員長)、日本健康支援学会(理事長)、日本体力医学会(評議員・編集委員)、日本疫学会(代議員)など。
記事提供:リンクアンドコミュニケーション
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提供元:リンクアンドコミュニケーション