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2019.08.26

【連載】手軽にできる運動のススメ 第2回 やらなきゃ損!「+10分」で得られる健康利益


前回は、1日の平均歩数を確認し、国民の平均歩数と比較して、その歩数に応じた目標を立ててみました。その中で、厚生労働省が推奨しているスローガン「プラステン(+10):今より10分多く体を動かそう」を紹介しました。

今回は、このプラステンの根拠と、体を動かすことによってどのような健康利益が得られるのかを解説します。

この記事の第1回目の記事:手軽にできる運動のススメ【第1回】1日何歩あるきますか?たった「+10分」でも効果的!

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“プラステン(+10)”とは?

みなさんは、通勤や通学、買い物や掃除など、日常生活を通して毎日体を動かしていますね。なかには、スポーツやウォーキングなど、積極的に運動をしている方もいると思います。これらの日常生活活動と運動は、あわせて“身体活動”とよばれ、身体活動量の増加は、生活習慣病や認知症などの発症を予防することがわかっています。そこで、厚生労働省では、個人の健康づくりのための身体活動の基準を定め、『健康づくりのための身体活動基準2013』にまとめました[1]。この基準は、身体活動が健康に及ぼす影響に関する科学的知見を体系的に収集・整理し、策定されました。プラステンはこの基準がもとになっており、日常生活であまり歩かない人から習慣的に運動をしている活動的な人も含めて、“今より10分多く体を動かす”ことを目標にしています。

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身体活動レベルが高い人ほど、高血圧になりにくい

まずは、プラステンのもとになった研究の一例として、身体活動と高血圧の関連を調査した研究をご紹介します。フィンランド人男性約8千人、女性約9千人を対象に、身体活動量および肥満度と高血圧発症との関連を、11年間に渡って調査しています[2]。高血圧は健康診断で指摘されることが多い健康リスクですが、自覚症状はほとんどなく、ほうっておくと体に悪影響を及ぼす怖い病態です。男女ともに同様の結果が得られていますので、ここでは女性の結果のみ、お示しします。

図1は、調査の対象となった方の身体活動レベルを低、中、高の3グループ、さらに肥満度で肥満(BMI ※25以上)と標準(BMI 25未満)の2グループに分けています。左端の身体活動レベルが低くて肥満のグループの高血圧の発症しやすさを1(基準)にしています。同じ肥満でも、身体活動レベルが高ければ、高血圧が発症しにくくなり、身体活動レベルが低くても肥満でなければ高血圧は発症しにくくなります。最も高血圧を発症しにくいのは、標準体重で身体活動レベルの高いグループで、0.54(46%減)となっています。
*BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)

図1 身体活動量および肥満度と高血圧発症との関連(女性)
Hu G. et al.:Hypertension. 2004;43(1):25-30.より作成

図1 身体活動量および肥満度と高血圧発症との関連(女性) Hu G. et al.:Hypertension. 2004;43(1):25-30.より作成

生活習慣病やがんの発症予防にも運動が効果的

このような研究を200本以上集めて基準が作られています。図2はその結果の一部で、身体活動と死亡・生活習慣病・がん・認知症との関連を示しています。ここでは、対象集団を身体活動レベルで4つのグループに分け、身体活動レベルが低い順にグループ1~4としています。

最も身体活動レベルが低いグループ1の死亡・生活習慣病等の発症しやすさを1(基準)とすると、身体活動レベルが高くなるほど、発症しにくくなることがわかります。グループ1の1週間あたりの身体活動量は約13分、グループ2で約19分、グループ3で約64分です。まずは20分程度の身体活動を心がけ、さらに大きな健康利益を得たいのであれば、1日あたり60分程度の活動時間を確保すればよいでしょう。

図2 身体活動量と死亡・生活習慣病・がん・認知症の発症しやすさとの関連
厚生労働省:健康づくりのための身体活動基準2013より作成

図2 身体活動量と死亡・生活習慣病・がん・認知症の発症しやすさとの関連 厚生労働省:健康づくりのための身体活動基準2013より作成

https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002xple-att/2r9852000002xpqt.pdf (2019年7月23日閲覧) ※外部サイトに遷移します

今より少しでも歩くことを心がけましょう

今回、紹介した基準の中で、1日あたり約3分活動時間を増やすと、死亡、生活習慣病等が約1%発症しにくくなることが示されています[1]。プラステンは1日10分ですから、健康利益はその3倍、つまり3%程度、死亡などの危険性を下げられることが期待できます。

このように、身体活動量をわずかな量でも増やすことで健康利益が得られ、得られる健康利益は身体活動量を増やせば増やすほど多くなることをお示ししました。このようなエビデンスに基づいて考えれば、身体活動・運動を「やらなきゃ損!」と思えるのではないでしょうか。

【文献】
[1]厚生労働省:健康づくりのための身体活動基準2013

https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002xple-att/2r9852000002xpqt.pdf (2019年7月29日閲覧)※外部サイトに遷移します

[2]Hu G. et al.:Hypertension. 2004;43(1):25-30.

https://www.ahajournals.org/doi/pdf/10.1161/01.HYP.0000107400.72456.19 (2019年7月29日閲覧)※外部サイトに遷移します

【連載】手軽にできる運動のススメ

【第1回】1日何歩あるきますか?たった「+10分」でも効果的!

【第2回】やらなきゃ損!「+10分」で得られる健康利益

【第3回】いつでもどこでも「+10分」!

【第4回】運動せずに歩数を稼ぐコツ

【第5回】日常のちょっとした活動で健康に

【第6回】持久力向上を目指して

著者:中田由夫 (筑波大学体育系 准教授 博士 体育科学)

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2004年3月筑波大学大学院博士課程体育科学専攻修了。筑波大学大学院人間総合科学研究科助手、助教、筑波大学医学医療系助教、准教授を経て現職。食事と運動を中心とした行動変容が生活習慣病の予防および改善に及ぼす影響を明らかにする研究を進めている。

【主な論文】
Nakata Y et al. Web-based intervention to promote weight-loss maintenance using anactivity monitor: A randomized controlled trial. Preventive Medicine Reports 14:100839, 2019.

【主な書籍】
江口泰正, 中田由夫(編著). 産業保健スタッフ必携 職場における身体活動・運動指導の進め方. 大修館書店, 東京, 2018.

【主な所属学会】
日本運動疫学会(理事・編集委員長)、日本健康支援学会(理事長)、日本体力医学会(評議員・編集委員)、日本疫学会(代議員)など。

記事提供:リンクアンドコミュニケーション

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ヘルスナッジHealth Nudge ※外部サイトに遷移します

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