2021.04.01
【連載】専門家がずばり解説!健康情報Q&A 第3回 糖質コントロールとカロリーコントロール、結局どっちが痩せるの?
「気になるけど結局どうなの?」という健康に関するソボクな疑問を、筑波大学体育系 准教授の中田由夫先生に答えてもらう連載の第3回目!
☆1回目の質問「ダイエット中に筋トレしたら腕が太くなりますか?」
今回も、前回に引き続きダイエットについてお伺いしました。
この連載について――――
「専門家がずばり解説!健康情報Q&A」では、健康に関するソボクな疑問を、食事と運動が健康に及ぼす影響について研究されている、筑波大学体育系 准教授の中田由夫先生に解説していただきます。ダイエットや運動など幅広く質問していくので、楽しみにしていてください☆
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中田先生の回答
なかなか悩ましい質問ですね。答えは、「どっちでも痩せます」あるいは「ひとによります(個人差が大きい)」です。
ダイエットのためには、食事による摂取エネルギー量を減らし、運動による消費エネルギー量を増やすことで、エネルギー収支バランスを負に傾ける必要があります。
☆エネルギー収支バランスについてはコチラを参考にしてください。
食事による摂取エネルギーは、基本的には糖(炭水化物)、たんぱく質、脂質のいずれかに由来します。たんぱく質は体を作るために必要な栄養素なので、ダイエット中であってもしっかり摂取することが推奨されます。
すると、ダイエット中に減らす栄養素としては、糖か脂質か、となります。海外でも、「低炭水化物ダイエットvs低脂質ダイエット」という構図での論争はかなり繰り広げられています。
これらの論争の結果を受けてか、米国内分泌学会は、2018年に発表した声明のなかで、「低炭水化物ダイエットでも低脂質ダイエットでも一定の効果があり、それぞれに対する効果の出方には大きな個人差がある」と述べています(Bray et al. Endocr Rev, 2018)。
結局のところ、糖質か脂質、あるいは両方を減らしながら、エネルギー収支バランスを負に傾けることができれば、ダイエットとしては成功です。毎日の食事を振り返ってみて、糖質と脂質、どちらか取り過ぎている方から、減らしていけばいいでしょう。その際、野菜や果物もしっかり摂って、栄養バランスを整えるようにしてくださいね。
☆中田先生の連載
【連載】専門家が教える 絶対役立つダイエット基本のき(全12回)
【第5回】1ヵ月で2kg減!ポイントは食事と運動の“負”のバランスにあり
【連載】手軽にできる運動のススメ(全7回)
【第1回】1日何歩あるきますか?たった「+10分」でも効果的!
著者:中田由夫 (筑波大学体育系 准教授 博士 体育科学)
2004年3月筑波大学大学院博士課程体育科学専攻修了。筑波大学大学院人間総合科学研究科助手、助教、筑波大学医学医療系助教、准教授を経て現職。食事と運動を中心とした行動変容が生活習慣病の予防および改善に及ぼす影響を明らかにする研究を進めている。
【主な論文】
Nakata Y et al. Web-based intervention to promote weight-loss maintenance using anactivity monitor: A randomized controlled trial. Preventive Medicine Reports 14:100839, 2019.
【主な書籍】
江口泰正, 中田由夫(編著). 産業保健スタッフ必携 職場における身体活動・運動指導の進め方. 大修館書店, 東京, 2018.
【主な所属学会】
日本運動疫学会(理事・編集委員長)、日本健康支援学会(理事長)、日本体力医学会(評議員・編集委員)、日本疫学会(代議員)など。
記事提供:リンクアンドコミュニケーション
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