2021.08.19
【連載】専門家がずばり解説!健康情報Q&A 第8回 “床に座る vs 椅子に座る” どっちが体に悪い?
「気になるけど結局どうなの?」という健康に関するソボクな疑問を、筑波大学体育系 准教授の中田由夫先生に答えてもらう連載の第8回目!
<これまでの質問>
☆第3回「糖質コントロールとカロリーコントロール、結局どっちが痩せるの?」
☆第4回「有酸素運動は20分以上続けないと痩せないってホント?」
☆第7回「“座り過ぎ”の健康リスクを運動で帳消しにできますか?」
今回は、座り方が健康に影響するのかどうか、お伺いしました。
この連載について――――
「専門家がずばり解説!健康情報Q&A」では、健康に関するソボクな疑問を、食事と運動が健康に及ぼす影響について研究されている、筑波大学体育系 准教授の中田由夫先生に解説していただきます。ダイエットや運動など幅広く質問していくので、楽しみにしていてください☆
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中田先生の回答
第7回に引き続き、座位行動のお話です。座っている時間が長いと健康に悪影響を及ぼすことを紹介しましたが、床に座るのと、椅子に座るのとで違いはあるでしょうか?
質問の答えは、基本的には“どっちも悪い”と思われます。正確に言うと、“床に座る”ことと“椅子に座る”ことを比較した研究は見たことがありません。座位行動の研究が盛んな欧米諸国は椅子文化ですので、基本的には“座る”と言えば、“椅子に座る”ことになります。畳文化のある日本では、“床に座る”こともあり得ますが、最近では“椅子に座る”ことの方が多いと推察されます。
研究によるデータはありませんが、“床に座る”ことと“椅子に座る”ことを比較してみたいと思います。
“座り過ぎ”が健康に良くないことから、“座る”代わりに“立つ”ことが推奨されています(座り過ぎの健康リスクについては、第7回を参照)。例えば、スタンディングデスクを導入することで、座って仕事をするのではなく、立って仕事をするような環境を整えることができます。
☆第7回「“座り過ぎ”の健康リスクを運動で帳消しにできますか?」
“立つ”だけで十分かと言うと、そうでもなくて、より強度の高い身体活動に置き換えた方が、健康利益は高まることがわかっています[1]。ただし、“歩く”という活動への近さを考えると、座位⇒立位⇒歩行というプロセスを経なければならない座位よりも、すぐに歩行へと移行できる立位の方が、活動量を高めるためには有効と考えられます。
では、“床に座る”と“椅子に座る”では、どちらがより立ち上がりやすいでしょうか?おそらく、床よりも椅子に座っていた方が、立ち上がるのは億劫ではないですよね?このように考えると、“床に座る”方が体に悪そうです。
いずれにしても、座り過ぎの時間を少なくして、積極的に体を動かすようにしてくださいね。
なお、“立ち上がるのがより億劫になる”という点で、ソファや畳に寝転がってテレビやスマホを見ている人は要注意ですよ。
【参考文献】
[1]Matthews CE et al.: Med Sci Sports Exerc 2015; 47(9): 1833-40. ※外部サイトに遷移します
☆中田先生の連載
【連載】手軽にできる運動のススメ(全7回)
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著者:中田由夫 (筑波大学体育系 准教授 博士 体育科学)
2004年3月筑波大学大学院博士課程体育科学専攻修了。筑波大学大学院人間総合科学研究科助手、助教、筑波大学医学医療系助教、准教授を経て現職。食事と運動を中心とした行動変容が生活習慣病の予防および改善に及ぼす影響を明らかにする研究を進めている。
【主な論文】
Nakata Y et al. Web-based intervention to promote weight-loss maintenance using anactivity monitor: A randomized controlled trial. Preventive Medicine Reports 14:100839, 2019.
【主な書籍】
江口泰正, 中田由夫(編著). 産業保健スタッフ必携 職場における身体活動・運動指導の進め方. 大修館書店, 東京, 2018.
【主な所属学会】
日本運動疫学会(理事・編集委員長)、日本健康支援学会(理事長)、日本体力医学会(評議員・編集委員)、日本疫学会(代議員)など。
記事提供:リンクアンドコミュニケーション
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