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2022.12.26

【連載】専門家がずばり解説!健康情報Q&A第26回 食事制限と運動で一日のエネルギー収支がマイナスでも体重が減りません⁈


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「気になるけど結局どうなの?」という健康に関するソボクな疑問を、筑波大学体育系 准教授の中田由夫先生に答えてもらう連載の第26回目!

<これまでの質問>

☆第1回「ダイエット中に筋トレしたら腕が太くなりますか?」

☆第2回「部分痩せってできますか?」

☆第3回「糖質コントロールとカロリーコントロール、結局どっちが痩せるの?」

☆第4回「有酸素運動は20分以上続けないと痩せないってホント?」

☆第5回「筋肉を増やすにはどうすればよいですか?」

☆第6回「筋肉痛があるときは運動しないほうがよいですか?」

☆第7回「“座り過ぎ”の健康リスクを運動で帳消しにできますか?」

☆第8回「“床に座る vs 椅子に座る”どっちが体に悪い?」

☆第9回 体脂肪率が低すぎるのは良くないってホント?

☆第10回 外出自粛のなか、運動するにはどうしたら良いですか?

☆第11回 効果的な運動のタイミングって?

☆第12回 BMIは標準値なのにお腹がぽっこり…解消するには?

☆第13回 体脂肪だけを落としたい!食事制限でやせるには?

☆第14回 体力が低下しているけど運動嫌い…よい方法は?

☆第15回 35歳を過ぎ痩せにくく…健康に食べながら痩せられる方法は?

☆第16回 「お酒を飲む」or「お酒を我慢してストレスをためる」体に悪いのはどっち?

☆第17回 “食前” vs. “食後” 運動するにはどっちが効率的?

☆第18回 一定の体重から1年近く減りません。どうしたらよい?

☆第19回 体脂肪率が減りません。どうしたら順調に減らしていけますか?

☆第20回 糖質制限中、カロリーオーバーした場合、 やせる? 太る?

☆第21回 1日の内、夕食にエネルギー摂取量が偏るのはあり?

☆第22回 一生リバウンドしないための秘訣は?

☆第23回 脂質を控えているのに 体脂肪が減らないのはなぜ?

☆第24回 ウォーキングで効率良く脂肪燃焼する方法とは?

☆第25回 筋肉をつけて体脂肪を減らす効果的な筋トレ教えて!?

今回は、ユーザーさんからいただいた質問で、食事制限と運動をしても体重が減らないという疑問についてお伺いしました。

この連載について――――
「専門家がずばり解説!健康情報Q&A」では、健康に関するソボクな疑問を、食事と運動が健康に及ぼす影響について研究されている、筑波大学体育系 准教授の中田由夫先生に解説していただきます。ダイエットや運動など幅広く質問していくので、楽しみにしていてください☆
――――――――――――

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中田先生の回答

実際にはエネルギー収支がマイナスになっていないためです。

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体重を減らすための基本は、エネルギー収支バランスを負に傾けることです。裏を返せば、エネルギー収支バランスがマイナスになっていれば体重は減ります。体重が減らないということは、エネルギー収支バランスが釣り合っていることを意味します。

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ここでの質問は「計算上はエネルギー収支バランスがマイナスになっているのに、なぜ体重が減らないのか?」ということで、その回答としては、「その計算が間違っているから」が有力です。

「測定誤差」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。真実の値は一つですが、測定される結果には誤差(=真値とのずれ)がつきものです。

エネルギー摂取量は、とても測定が難しいです。食べた物を一つ一つ正確に計量し、その重さをエネルギーに換算します。その作業自体が大変で、サラダにかけたドレッシングの量まで正確に計量することが(本来は)必要なのです。

そのように頑張って計量したとしても、食べた物の重さをエネルギーに換算する際にも誤差が生じます。例えば、同じ野菜であっても、とれた時期や育てられた環境によって、栄養価は異なります。

さらに、口にした食べ物を正確にエネルギー計算できたとしても、そのすべてが体内で吸収されることはありません。ある程度は吸収され、ある程度は十分に吸収されないまま、体外に排泄されます。もし、本当に正確なエネルギー摂取量を知りたければ、体外に排泄される糞尿に含まれるエネルギー量まで計算しなければならないでしょう。

エネルギー消費量もまた、とても測定が難しいです。どのような活動をどのような強度でどのくらいの時間で行ったのかがわかれば、エネルギー消費量を計算することはできますが、そのすべてを正確に測定することは困難です。

一方で、体重は非常に正確です。体重計に表示される数値自体の測定誤差はごく僅かです。エネルギー摂取量とエネルギー消費量の引き算で計算されるエネルギー収支と体重、どちらが正確か?と言われれば、当然、断然、体重のほうが正確です。

エネルギー収支の数値はもちろん重要ですが、体重が最も信頼できる数値ですので、その増減を注視していきましょう。

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著者:中田由夫(筑波大学体育系 准教授 博士 体育科学)

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2004年3月筑波大学大学院博士課程体育科学専攻修了。筑波大学大学院人間総合科学研究科助手、助教、筑波大学医学医療系助教、准教授を経て現職。食事と運動を中心とした行動変容が生活習慣病の予防および改善に及ぼす影響を明らかにする研究を進めている。

【主な論文】
Nakata Y et al. Web-based intervention to promote weight-loss maintenance using anactivity monitor: A randomized controlled trial. Preventive Medicine Reports 14:100839, 2019.

【主な書籍】
江口泰正, 中田由夫(編著). 産業保健スタッフ必携 職場における身体活動・運動指導の進め方. 大修館書店, 東京, 2018.

【主な所属学会】
日本運動疫学会(理事・編集委員長)、日本健康支援学会(理事長)、日本体力医学会(評議員・編集委員)、日本疫学会(代議員)など。

記事提供:リンクアンドコミュニケーション

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