2022.07.06
【連載】専門家がずばり解説!健康情報Q&A 第21回 1日の内、夕食にエネルギー摂取量が偏るのはあり?
「気になるけど結局どうなの?」という健康に関するソボクな疑問を、筑波大学体育系 准教授の中田由夫先生に答えてもらう連載の第21回目!
<これまでの質問>
☆第3回「糖質コントロールとカロリーコントロール、結局どっちが痩せるの?」
☆第4回「有酸素運動は20分以上続けないと痩せないってホント?」
☆第7回「“座り過ぎ”の健康リスクを運動で帳消しにできますか?」
☆第8回「“床に座る vs 椅子に座る”どっちが体に悪い?」
☆第10回 外出自粛のなか、運動するにはどうしたら良いですか?
☆第12回 BMIは標準値なのにお腹がぽっこり…解消するには?
☆第15回 35歳を過ぎ痩せにくく…健康に食べながら痩せられる方法は?
☆第16回 「お酒を飲む」or「お酒を我慢してストレスをためる」体に悪いのはどっち?
☆第17回 “食前” vs. “食後” 運動するにはどっちが効率的?
☆第18回 一定の体重から1年近く減りません。どうしたらよい?
☆第19回 体脂肪率が減りません。どうしたら順調に減らしていけますか?
☆第20回 糖質制限中、カロリーオーバーした場合、 やせる? 太る?
今回は、ユーザーさんからいただいた質問で、1日のエネルギー摂取のバランスについてお伺いしました。
この連載について――――
「専門家がずばり解説!健康情報Q&A」では、健康に関するソボクな疑問を、食事と運動が健康に及ぼす影響について研究されている、筑波大学体育系 准教授の中田由夫先生に解説していただきます。ダイエットや運動など幅広く質問していくので、楽しみにしていてください☆
――――――――――――
今回は、ユーザーさんからいただいた質問で、1日のエネルギー摂取のバランスについてお伺いしました。
この連載について――――
「専門家がずばり解説!健康情報Q&A」では、健康に関するソボクな疑問を、食事と運動が健康に及ぼす影響について研究されている、筑波大学体育系 准教授の中田由夫先生に解説していただきます。ダイエットや運動など幅広く質問していくので、楽しみにしていてください☆
――――――――――――
中田先生の回答
総エネルギー摂取量は同じでも3食バランスよく摂取しましょう
確かに、体重が増えるか減るかは、エネルギー収支バランスによって決まります。極端な話、1日1食1,800 kcalでも、1日600 kcal×3食でも、総エネルギー摂取量は同じになります。しかしながら、1日1食1800 kcalは推奨されておらず、1日600 kcal×3食が推奨されています。
このことについては、これまでの経験論といくつかの生理学的メカニズムから説明できます。経験論として、そもそも1食で1,800 kcalも摂取することは難しいですし、その1食以外に何も食べないことは、かえって空腹感を強く感じることになり、うまくいきそうにありません。数字上は1,800 kcalであっても、それを1食で摂取してしまうと、すべてがエネルギーとしては利用されず、消化不良のまま、体外に排出されてしまうこともあるでしょう。そのため、1日に必要なエネルギー量を3等分して、朝、昼、夜にバランス良く摂取することが推奨されています。
夕食は控えめにして気持ち良く朝食をとることで体内時計をリセットしましょう
関連する話題として、時間栄養学の考え方があります。体内時計をリセットするために、朝の日の光が重要という話を聞いたことがあるでしょうか。これは、網膜を通して入ってきた朝の光を受けて、「朝になった」と認識し、脳の体内時計がリセットされると考えられています。同様に、臓器などにある体内時計は、朝食の摂取によってリセットされると考えられています。つまり、朝起きて、日の光を浴びて、朝食を摂取するという一連の流れによって、体内時計がきちんとリセットされ、体調良く過ごすことができるのです。
もし、夕食の摂取量が多く、朝起きたときに空腹感を強く感じず、朝食を抜くことが多くなったとしたら、どうなるでしょうか?体内時計がうまくリセットされず、体調不良や病気を招くことがあるかもしれません。また、朝よりも昼、昼よりも夜の摂取量が増えてしまい、ますます朝食をとらなくなるという悪循環に陥りがちです。
気持ち良く朝食をとれるように、夕食は控えめにして、適度な空腹感を感じながら、朝の目覚めを迎えられるようにしてみてください。体調も良く、ダイエットにも効果的です。
著者:中田由夫 (筑波大学体育系 准教授 博士 体育科学)
2004年3月筑波大学大学院博士課程体育科学専攻修了。筑波大学大学院人間総合科学研究科助手、助教、筑波大学医学医療系助教、准教授を経て現職。食事と運動を中心とした行動変容が生活習慣病の予防および改善に及ぼす影響を明らかにする研究を進めている。
【主な論文】
Nakata Y et al. Web-based intervention to promote weight-loss maintenance using anactivity monitor: A randomized controlled trial. Preventive Medicine Reports 14:100839, 2019.
【主な書籍】
江口泰正, 中田由夫(編著). 産業保健スタッフ必携 職場における身体活動・運動指導の進め方. 大修館書店, 東京, 2018.
【主な所属学会】
日本運動疫学会(理事・編集委員長)、日本健康支援学会(理事長)、日本体力医学会(評議員・編集委員)、日本疫学会(代議員)など。
記事提供:リンクアンドコミュニケーション
リンクアンドコミュニケーションは、最新の健康情報の発信や健康課題を解決するサービスを提供します。最新の健康情報を医療・健康分野の専門家が評価し、コメント付きで紹介するサービス「HEALTH NUDGE」もチェックしてみてください。