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2022.06.09

【連載】専門家がずばり解説!健康情報Q&A 第20回 糖質制限中、カロリーオーバーした場合、 やせる? 太る?


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「気になるけど結局どうなの?」という健康に関するソボクな疑問を、筑波大学体育系 准教授の中田由夫先生に答えてもらう連載の第20回目!

<これまでの質問>

☆第1回「ダイエット中に筋トレしたら腕が太くなりますか?」

☆第2回「部分痩せってできますか?」

☆第3回「糖質コントロールとカロリーコントロール、結局どっちが痩せるの?」

☆第4回「有酸素運動は20分以上続けないと痩せないってホント?」

☆第5回「筋肉を増やすにはどうすればよいですか?」

☆第6回「筋肉痛があるときは運動しないほうがよいですか?」

☆第7回「“座り過ぎ”の健康リスクを運動で帳消しにできますか?」

☆第8回「“床に座る vs 椅子に座る”どっちが体に悪い?」

☆第9回 体脂肪率が低すぎるのは良くないってホント?

☆第10回 外出自粛のなか、運動するにはどうしたら良いですか?

☆第11回 効果的な運動のタイミングって?

☆第12回 BMIは標準値なのにお腹がぽっこり…解消するには?

☆第13回 体脂肪だけを落としたい!食事制限でやせるには?

☆第14回 体力が低下しているけど運動嫌い…よい方法は?

☆第15回 35歳を過ぎ痩せにくく…健康に食べながら痩せられる方法は?

☆第16回 「お酒を飲む」or「お酒を我慢してストレスをためる」体に悪いのはどっち?

☆第17回 “食前” vs. “食後” 運動するにはどっちが効率的?

☆第18回 一定の体重から1年近く減りません。どうしたらよい?

☆第19回 体脂肪率が減りません。どうしたら順調に減らしていけますか?

今回は、ユーザーさんからいただいた質問で、糖質制限中のエネルギー摂取の考え方についてお伺いしました。

この連載について――――
「専門家がずばり解説!健康情報Q&A」では、健康に関するソボクな疑問を、食事と運動が健康に及ぼす影響について研究されている、筑波大学体育系 准教授の中田由夫先生に解説していただきます。ダイエットや運動など幅広く質問していくので、楽しみにしていてください☆
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中田先生の回答

糖質を制限したとしても、エネルギー摂取量が多くなり過ぎると太ります

体重が増えるか減るかは、エネルギー収支バランスによって決まります。「食事によるエネルギー摂取量>身体活動によるエネルギー消費量」であれば体重は増え、「食事によるエネルギー摂取量<身体活動によるエネルギー消費量」であれば体重は減ります。

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したがって、いくら糖質を制限したとしても、たんぱく質や脂質をとり過ぎて、エネルギー摂取量が多くなり過ぎると、太ってしまいます。

 そもそも、糖質制限はエネルギー摂取量を制限するための一つの方法です。糖質だけ制限して、エネルギー摂取量自体が増えてしまうというのは本末転倒です。

エネルギー摂取量を制限するには、まずは脂質の摂取量を見直しましょう

ダイエットの基本をおさらいしておくと、食事によるエネルギー摂取量は、糖質とたんぱく質と脂質の摂取量でほぼ決まります。糖質とたんぱく質は1 gあたり4 kcalです。脂質は1 gあたり9 kcalです(あと1 gあたり7 kcalのアルコールもあります)。エネルギー密度で考えれば、糖質やたんぱく質よりも脂質のエネルギー密度が倍以上に高くなります。そのため、脂質をとり過ぎないようにすることが、ダイエットのためには重要です。揚げ物を控えるだけでも、相当の脂質をカットできますので、まず見直すべきところは、脂質の摂取量です。

 脂質をとり過ぎていないのであれば、糖質とたんぱく質をとり過ぎていないかどうかを確認します。糖質制限は、できるだけ糖質をとらないようにする食事方法ですが、一般的には、糖質から50~65%、たんぱく質から15~20%、脂質から20~30%のエネルギー量をとることが推奨されています。

糖質制限では、糖質だけではなくたんぱく質と脂質のとり方にも注意しましょう

糖質の摂取量を減らし、たんぱく質と脂質の摂取量が変わらなければ、当然のことながら、エネルギー摂取量は少なくなりますので、ダイエットにも成功します(下図A)。しかしながら、糖質を減らした分、たんぱく質や脂質をとり過ぎれば、エネルギー摂取量はそれほど変わらなくなり、ダイエット効果もなくなります(下図B)。

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「糖質を減らせば良い」というのは、簡単な考え方ですので、ダイエットの方法として悪くはありません。ただ、それだけでうまくいかない場合には、野菜をしっかりとる、良質の(脂質の少ない)たんぱく質をとるなど、たんぱく質と脂質のとり方にも注意してみましょう。

著者:中田由夫 (筑波大学体育系 准教授 博士 体育科学)

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2004年3月筑波大学大学院博士課程体育科学専攻修了。筑波大学大学院人間総合科学研究科助手、助教、筑波大学医学医療系助教、准教授を経て現職。食事と運動を中心とした行動変容が生活習慣病の予防および改善に及ぼす影響を明らかにする研究を進めている。

【主な論文】
Nakata Y et al. Web-based intervention to promote weight-loss maintenance using anactivity monitor: A randomized controlled trial. Preventive Medicine Reports 14:100839, 2019.

【主な書籍】
江口泰正, 中田由夫(編著). 産業保健スタッフ必携 職場における身体活動・運動指導の進め方. 大修館書店, 東京, 2018.

【主な所属学会】
日本運動疫学会(理事・編集委員長)、日本健康支援学会(理事長)、日本体力医学会(評議員・編集委員)、日本疫学会(代議員)など。

記事提供:リンクアンドコミュニケーション

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