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2022.04.18

【連載】専門家がずばり解説!健康情報Q&A 第18回 一定の体重から1年近く減りません。どうしたら良い?


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「気になるけど結局どうなの?」という健康に関するソボクな疑問を、筑波大学体育系 准教授の中田由夫先生に答えてもらう連載の第18回目!

<これまでの質問>

☆第1回「ダイエット中に筋トレしたら腕が太くなりますか?」

☆第2回「部分痩せってできますか?」

☆第3回「糖質コントロールとカロリーコントロール、結局どっちが痩せるの?」

☆第4回「有酸素運動は20分以上続けないと痩せないってホント?

☆第5回「筋肉を増やすにはどうすればよいですか?」

☆第6回「筋肉痛があるときは運動しないほうがよいですか?」

☆第7回「“座り過ぎ”の健康リスクを運動で帳消しにできますか?」

☆第8回「“床に座る vs 椅子に座る”どっちが体に悪い?」

☆第9回 体脂肪率が低すぎるのは良くないってホント?

☆第10回 外出自粛のなか、運動するにはどうしたら良いですか?

☆第11回 効果的な運動のタイミングって?

☆第12回 BMIは標準値なのにお腹がぽっこり…解消するには?

☆第13回 体脂肪だけを落としたい!食事制限でやせるには?

☆第14回 体力が低下しているけど運動嫌い…よい方法は?

☆第15回 35歳を過ぎ痩せにくく…健康に食べながら痩せられる方法は?

☆第16回 「お酒を飲む」or「お酒を我慢してストレスをためる」体に悪いのはどっち? ☆第17回 “食前” vs. “食後” 運動するにはどっちが効率的?

☆第17回 “食前” vs. “食後” 運動するにはどっちが効率的?

今回は、ユーザーさんからダイエットに関する質問で、減らなくなった体重についてお伺いしました。

この連載について――――
「専門家がずばり解説!健康情報Q&A」では、健康に関するソボクな疑問を、食事と運動が健康に及ぼす影響について研究されている、筑波大学体育系 准教授の中田由夫先生に解説していただきます。ダイエットや運動など幅広く質問していくので、楽しみにしていてください☆
――――――――――――

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中田先生の回答

ダイエットを始めて最初のうちは順調にやせていっても、あるところでやせにくくなります。これは“停滞期”と呼ばれる一時的なもので、栄養バランスがとれた食事をとりながら、エネルギー収支バランスを負に傾けていれば、いずれ体重は再び減り始めます。ご質問いただいた方は、おそらくそのような期間も経て、一定の減量を達成した後、さらに体重を減らしたいけれども、行き詰っている状態だと思います。

“体重が変わらない”=“エネルギー収支が釣り合っている”

まず、1年近く体重が変わらないということは、現在のエネルギー収支は釣り合っていることを意味します。「こんなに食事を減らしているのに?」と思われるかもしれませんが、その食事で“釣り合っている”のです。

☆「エネルギー収支って何?」という方はコチラ

この錯覚は、以前の食事、体重が重かったダイエット前の食事と比べることから生じます。「あの頃は、あれだけ食べていても体重は増えなかった」
⇒「これだけ減らしたからダイエットに成功した」
⇒「食事は増やしていないのに体重が減らない」
と考えていませんか?

体重が変化すると、エネルギー消費量も変化します。エネルギー消費量は、体重(kg)×運動強度(メッツ)×時間(時)で計算され、何もしなくても(運動強度=1メッツ)消費されるエネルギーは、体重80 kgなら1時間で80 kcalです(80kg×1メッツ×1時間)。24時間では1,920 kcalになります。もし、10 kgの減量に成功したなら、1時間で消費されるエネルギー量は70 kcalに減り、24時間で消費されるエネルギー量は1,680 kcalに減ります(240 kcal減)。

そのため、下の図のように、ダイエットに成功した後は、以前より食事量を減らしていても、エネルギー摂取量とエネルギー消費量が釣り合ってしまうのです。

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さらにやせるためには“いま”を起点にエネルギー収支バランスを負に傾ける

このように、ダイエットに成功するということは、“少ないエネルギーでちょうど良い”体になることを意味します。この状態から、さらにダイエットするためには、“いま”よりもエネルギー摂取量を減らし、“いま”よりもエネルギー消費量を増やし、エネルギー収支バランスを負に傾ける必要があります。

 実際のところ、ある程度のところまでは、食事だけで体重を減らすことができますが、それ以上に減らすためには、しっかりとした運動習慣を身につける必要があります。エネルギー摂取量を減らすだけでは限界がありますので、エネルギー消費量を運動によって増やすのです。

☆停滞期を乗り越えるための運動の仕方はコチラ

もう一つ重要な点は、「どこまでやせる必要があるのか?」です。適正体重は人によって異なりますし、年齢を重ねることでも変わってきます。体重管理は健康維持のために重要ですが、手段であって目的ではありません。やせればやせるほど健康になるわけではないので、ご自身にあった適正体重を見出してください。

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☆大人気!中田先生のダイエット連載

【連載】専門家が教える 絶対役立つダイエット基本のき(全12回)

【第1回】「正しいダイエット」の減量効果

【第2回】「正しいダイエット」の前に必要な動機づけ

【第3回】いま、気を付けるべき生活習慣

【第4回】とっても簡単!ダイエットのキソ理論

【第5回】1ヵ月で2kg減!ポイントは食事と運動の“負”のバランスにあり

【第6回】無理なく続けるダイエットのコツ<その1>

【第7回】無理なく続けるダイエットのコツ<その2>

【第8回】停滞期を乗り切るコツ<食事編>

【第9回】停滞期を乗り切るコツ<運動編:その1>

【第10回】停滞期を乗り切るコツ<運動編:その2>

【第11回】リバウンドを予防するコツ

【第12回】適正体重の維持を目指して

著者:中田由夫 (筑波大学体育系 准教授 博士 体育科学)

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2004年3月筑波大学大学院博士課程体育科学専攻修了。筑波大学大学院人間総合科学研究科助手、助教、筑波大学医学医療系助教、准教授を経て現職。食事と運動を中心とした行動変容が生活習慣病の予防および改善に及ぼす影響を明らかにする研究を進めている。

【主な論文】
Nakata Y et al. Web-based intervention to promote weight-loss maintenance using anactivity monitor: A randomized controlled trial. Preventive Medicine Reports 14:100839, 2019.

【主な書籍】
江口泰正, 中田由夫(編著). 産業保健スタッフ必携 職場における身体活動・運動指導の進め方. 大修館書店, 東京, 2018.

【主な所属学会】
日本運動疫学会(理事・編集委員長)、日本健康支援学会(理事長)、日本体力医学会(評議員・編集委員)、日本疫学会(代議員)など。

記事提供:リンクアンドコミュニケーション

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