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2022.03.03

【連載】専門家がずばり解説!健康情報Q&A 第17回 “食前” vs. “食後” 運動するにはどっちが効率的?


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「気になるけど結局どうなの?」という健康に関するソボクな疑問を、筑波大学体育系 准教授の中田由夫先生に答えてもらう連載の第17回目!

<これまでの質問>

☆第1回「ダイエット中に筋トレしたら腕が太くなりますか?」

☆第2回「部分痩せってできますか?」

☆第3回「糖質コントロールとカロリーコントロール、結局どっちが痩せるの?」

☆第4回「有酸素運動は20分以上続けないと痩せないってホント?」

☆第5回「筋肉を増やすにはどうすればよいですか?」

☆第6回「筋肉痛があるときは運動しないほうがよいですか?」

☆第7回「“座り過ぎ”の健康リスクを運動で帳消しにできますか?」

☆第8回「“床に座る vs 椅子に座る”どっちが体に悪い?」

☆第9回 体脂肪率が低すぎるのは良くないってホント?

☆第10回 外出自粛のなか、運動するにはどうしたら良いですか?

☆第11回 効果的な運動のタイミングって?

☆第12回 BMIは標準値なのにお腹がぽっこり…解消するには?

☆第13回 体脂肪だけを落としたい!食事制限でやせるには?

☆第14回 体力が低下しているけど運動嫌い…よい方法は?

☆第15回 35歳を過ぎ痩せにくく…健康に食べながら痩せられる方法は?

☆第16回 「お酒を飲む」or「お酒を我慢してストレスをためる」体に悪いのはどっち?

今回は、ユーザーさんからいただいた質問で、運動と食事のタイミングについてお伺いしました。

この連載について――――
「専門家がずばり解説!健康情報Q&A」では、健康に関するソボクな疑問を、食事と運動が健康に及ぼす影響について研究されている、筑波大学体育系 准教授の中田由夫先生に解説していただきます。ダイエットや運動など幅広く質問していくので、楽しみにしていてください☆
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中田先生の回答

ランニングは食前のほうが脂肪燃焼に効率的…でも?

夕食前のお腹が空いている時間帯は、エネルギー源となる糖が不足している状態ですので、体に蓄積された体脂肪がエネルギー源になりやすいと考えることができます。したがって、夕食前にランニングでしっかりと体を動かすことができれば、より多くの体脂肪を燃焼させることができるでしょう。

 問題は、お腹が空いている状態で、しっかりと体を動かすことができるかどうかです。エネルギー消費量(kcal)は、体重(kg)×運動強度(メッツ)×時間(時)で計算することができます。しっかりと体脂肪を燃焼させるためには、運動強度をある程度高めながら、時間をかけて運動する必要があります。あまりにも空腹感が強いと、運動強度を高めることができなかったり、長い時間をかけて運動することができなかったりします。
したがって、空腹感が強いときは、軽くエネルギーを補給して、運動に集中できるような準備をすることが大切です。

筋トレは食後のほうが質の高いトレーニングに

筋トレについては、その目的が筋力や筋量の維持・向上だと思われますので、一定強度以上の負荷をかける必要があります。前述の理由で、空腹感が強いと、質の高いトレーニングができません。したがって、食前よりも食後の方が、トレーニングの質を高めることができるでしょう。体に栄養が十分にあることで、筋肉の成長にもつなげやすいと考えられます。

食後30分は要注意

なお、食後の運動で注意したいことが1つあります。「血流再配分」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?安静時に心臓から拍出される血液は、肝臓、消化器系、腎臓、脳などに多く送られ、骨格筋には20%程度しか送られていません。ところが、運動時には、心拍出量自体が大きく増加するだけでなく、その80%以上が骨格筋に送られます。その分、肝臓や消化器系等の臓器への血流量が制限されます。

もし、食後すぐに運動した場合、どうなるでしょうか?本来、食後は消化・吸収のために、胃や腸などの消化器系に血液が多く送られる時間帯です。その時間にあわせて運動してしまうと、骨格筋に多くの血液が送られてしまうため、消化器系にとっては好ましくありません。消化不良などのトラブルも懸念されます。

したがって、食後30分以内にすぐ運動することは、一般的には勧められません。その時間帯に運動する場合は、ほどほどの強度と時間で運動するようにしましょう。

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著者:中田由夫 (筑波大学体育系 准教授 博士 体育科学)

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2004年3月筑波大学大学院博士課程体育科学専攻修了。筑波大学大学院人間総合科学研究科助手、助教、筑波大学医学医療系助教、准教授を経て現職。食事と運動を中心とした行動変容が生活習慣病の予防および改善に及ぼす影響を明らかにする研究を進めている。

【主な論文】
Nakata Y et al. Web-based intervention to promote weight-loss maintenance using anactivity monitor: A randomized controlled trial. Preventive Medicine Reports 14:100839, 2019.

【主な書籍】
江口泰正, 中田由夫(編著). 産業保健スタッフ必携 職場における身体活動・運動指導の進め方. 大修館書店, 東京, 2018.

【主な所属学会】
日本運動疫学会(理事・編集委員長)、日本健康支援学会(理事長)、日本体力医学会(評議員・編集委員)、日本疫学会(代議員)など。

記事提供:リンクアンドコミュニケーション

リンクアンドコミュニケーションは、最新の健康情報の発信や健康課題を解決するサービスを提供します。最新の健康情報を医療・健康分野の専門家が評価し、コメント付きで紹介するサービス「HEALTH NUDGE」もチェックしてみてください。

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