2025.03.25

効率よくエネルギーを燃やす「速筋」を鍛えるワザ|筋肉を増やす「成長ホルモン」の分泌促すコツは


効率よくエネルギーを燃焼する「速筋」の鍛え方を専門家が解説します(写真:Pangaea/PIXTA)

効率よくエネルギーを燃焼する「速筋」の鍛え方を専門家が解説します(写真:Pangaea/PIXTA)

筋トレ=ムキムキな体づくり、と思われがちですが、実は健康や美容にも欠かせません。年齢とともに体型が崩れたり、疲れやすくなったりするのは、筋肉の減少が大きな原因なのです。筋肉を味方につければ、体は確実に変わっていきます。無理なく続けられるシンプルな筋トレで、健康も美容も手に入れることができるのです。
テレビや雑誌などのメディアで健康情報を発信するトレーナーの坂詰真二氏の著書『眠れなくなるほど面白い 図解 筋肉の話: 筋肉のギモンを専門家が解説!』より一部抜粋してお届けします。

美と健康、若さの秘訣は「速筋」

筋肉とは一般に、関節をまたいで骨に付着した「骨格筋」をさします。

心筋や内臓筋などの不随意筋と違い、骨格筋は自分の意思で動かせる筋肉です。それゆえ、その人のスタイルや姿勢、健康状態までも左右する組織といえます。

骨格筋を構成する細長い筋線維には「速筋線維」と「遅筋線維」の2つのタイプがあります。

実は速筋と遅筋の収縮速度に違いはなく、異なるのは発揮できる力の大きさとその持続性。速筋は出力が大きく持久性に乏しい線維で、強度の高い運動をするときに働きます。

一方、持久性に優れるものの出力が小さい遅筋は、低強度の運動だけでなく、姿勢を支えたり、歩くときなど日常の動作の中で常に働いています(※次ページ。外部配信先では図解を閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)。

日頃使う機会が少ない速筋ですが、その役割は絶大。体に必要な熱を多く生み出すためにたくさんの糖や脂肪を使ってくれます。美と健康を保つためには欠かせない存在といっていいでしょう。

人は高齢になるほどエネルギーを使わない体質になりますが、速筋を鍛え続ければ、加齢に逆らってやせやすい体質に変わることができます。

遅筋は日常の生活で使われるためにほとんど減りませんが、速筋は普通に生活をしていると年々減少して、体力と代謝を低下させ、それが肥満や生活習慣病予防、ロコモティブ・シンドロームの原因となります。

(『眠れなくなるほど面白い 図解 筋肉の話: 筋肉のギモンを専門家が解説!』より)

(『眠れなくなるほど面白い 図解 筋肉の話: 筋肉のギモンを専門家が解説!』より)

「筋トレをやり過ぎる」問題とは?

筋線維には、速筋と遅筋のほかに実はもう1つ、速筋と遅筋の中間の性質を持つ、中間筋線維があります。そのわかりやすい例が、ボディビルダーのいわゆる「見せ筋」です。

美しく鍛え上げられた筋肉は、スポーツ選手より立派に見えます。ところが、腕相撲をするとボディビルダーが案外あっさり負けることも。その理由は、トレーニングの方法が違うからです。

ボディビルダーは筋肉を肥大させるため、中程度の負荷の筋トレを何種類も何セットも多量に行います。続けていくと、太くたくましい筋肉に仕上がるものの、体内ではある変化が起きています。

長時間の筋トレに耐えるため、速筋が遅筋化して中間筋線維に変わっていく。つまり、筋トレをやり過ぎると、見た目はよくなってもそれに見合う筋力が得られない可能性があるのです。

一方、スポーツ選手の筋トレの目的は、あくまで筋肉の出力を高めること。高負荷の筋トレを比較的短時間行い、筋力を上げつつ体重を増やし過ぎないのが一般的です。

またスポーツは体全体を使うので、オフシーズンに筋肉を増やしたあと、全身の筋肉の協調や連動を養います。スポーツの発想とボディビルの発想は、実は真逆なのです。

健康的で若々しい体のために選択すべきはボディビル的方法ですが、ただし種目数や回数などをおさえて適度に行い、適量の筋肉を獲得します。

筋肉痛がないとトレーニング効果なし?

トレーニングを始めた当初は筋肉痛が出やすいものですが、回数を重ねるうちに出にくくなります。「筋トレの効果がなくなったのでは?」と心配する人もいるでしょう。

でも実際は、筋トレの成果と筋肉痛との間に直接の因果関係はありません。

「久しぶりにゴルフをやったら筋肉痛になった」というような経験は誰にでもあるでしょう。筋肉痛は、高負荷で慣れない動きをすると起きやすいのです。自分のイメージと実際の体の動きとの間に「ずれ」が生じ、筋肉がぎゅっと引っ張られて損傷や炎症が起こりやすいためです。

たとえば一流のラガーマンであっても、慣れない野球をすれば筋肉痛になります。逆にいえば、同じ動作のトレーニングを続けると筋肉痛が出なくなるのは当然なのです。

筋肉痛はなくとも、適切な負荷と頻度で鍛え続ければ、筋肉は成長するので安心してください。

中高年になって、「若い頃より筋肉痛が遅れてくる」と感じる人は多いようですが、それは錯覚です。筋肉の炎症のピークは、運動後48~72時間前後。年齢による差はありません。では10代の頃と何が違うかといえば、運動の頻度と種類です。

中学や高校では、体育の授業や部活などで体を動かす機会が大人よりはるかに多いうえ、運動の種類もさまざま。筋肉が常に刺激を受けている状態なので、いつのどの運動が原因で筋肉痛が出たのかわからず、錯覚しやすいのです。

速筋を鍛えるためのトレーニングでは、負荷や回数が重要です。回数と出力は反比例し、重い負荷ほど回数は減ります。筋肉を獲得するための筋トレでは「重め(中程度)の負荷を少なめの回数で」というのが基本。

最大出力の70~85%が最適な負荷です。

70%は最大12回、85%は最大6回反復できる負荷です。これより軽くなると速筋よりも遅筋が使われるので、筋肉がつきにくくなります。逆にこれ以上重い負荷だと筋力は向上する割に、筋肥大しにくくなります。6~12回できる負荷で行うのがベストなのです。

実はこれ、成長ホルモンがいちばん出やすい負荷と回数でもあり、最も理にかなっているのです。

成長ホルモンは、筋肉量を増やす最も重要なホルモンの1つである「インスリン様成長因子1(IGF-1)」の分泌を促します。

ここで注意したいのは、あと2回できる余力を持って行うこと。10回できる運動なら、8回ぐらいに留めましょう。この方法なら成長ホルモンが十分出ますし、関節の消耗やケガのリスクも低減。心理的にも余裕ができて継続しやすくなります。

限界まで反復してしまうのは、モチベーションを低下させるだけではありません。顔をしかめて歯を食いしばり、息をこらえるので、シワができたり、奥歯が欠損したり、血管がダメージを受けたり。美容上も健康上もよくないのです。

筋トレの頻度はどれくらいがベスト?

筋肉を作る、というとハードなイメージがありますが、筋トレは毎日する必要はありません。週2回で十分です。その理由は、「超回復モデル」とよばれるメカニズムにあります。

筋トレによって強く刺激された筋肉は、疲労がたまって一時的に出力が弱まります。そこで体を休めて糖質やタンパク質などの栄養を摂取すると、疲労から回復し、成長します。

このとき起きるのが「超回復」。前回のトレーニング時よりも、筋力は少しだけ上がっています。それはなぜかというと、筋肉はまた同じ刺激(=筋トレ)がきても耐えられるよう、自ら強くなろうとするからです。

このタイミングで次のトレーニングを行えば、筋肉は超回復をくり返し、順調に成長していきます。

トレーニングから超回復が起きるまでの時間は48時間から72時間というのが一般的。つまり、2~3日おきにトレーニングすれば結果が出やすいということなのです。

体を引き締めて健康体になることが目的なら、一度必要となる筋肉量を獲得したあとは週1回の筋トレで大丈夫。ただ、筋肉を維持するうえで大事なのは「これまでと同じ以上の刺激を与えること」です。

負荷を軽くしたり、回数やセット数を減らしたりしないこと。また、週1ペースにすると、筋トレを1回休むだけで半月あくので、曜日や時間帯を決めるなどして習慣化することも大切です。

(『眠れなくなるほど面白い 図解 筋肉の話: 筋肉のギモンを専門家が解説!』より)

(『眠れなくなるほど面白い 図解 筋肉の話: 筋肉のギモンを専門家が解説!』より)

どれくらい続ければ効果が出てくる?

スポーツジムではよく、「3カ月継続すれば入会金無料」といった特典つきで会員を募集しますが、これには理由があります。入会後3カ月以内に退会してしまう人がとても多いため、ジムはモチベーションを維持する工夫が必要なのです。

短期間でやめる人が多いのは、すぐに効果を実感できないから。

筋トレを始めてから筋肉がつき始めるまで、最低1カ月ほどかかります。筋肉の刺激に対して神経系の適応が起こり、力を出しやすい状態になるため、最初の1~2カ月程度はみるみる重いものが上がるようになります。

日常生活では、いつもの荷物を軽く感じたり階段を楽に上れるようになったりと、筋力アップを実感できます。

しかし、この間は筋肉量の増加はゆるやか。その時期を超えてから、筋肉はタンパク質を取り込んで肥大していき、筋肉量の増加を実感できるようになります。そうなるまでには、個人差はありますが、遅い人だと3カ月ほどかかります。

ここを乗り越え、トレーニングを続けることが勝負の分かれ目です。

3カ月目を過ぎると、自分だけでなく周囲が気づくようになります。「やせた?」「きれいになったね!」といわれることも増えて、モチベーションもアップ。心理的ハードルが下がって、トレーニングは習慣化します。

3カ月の壁を乗り越えて、一生ものの美と健康を目指しましょう!

(『眠れなくなるほど面白い 図解 筋肉の話: 筋肉のギモンを専門家が解説!』より)

(『眠れなくなるほど面白い 図解 筋肉の話: 筋肉のギモンを専門家が解説!』より)

『眠れなくなるほど面白い 図解 筋肉の話: 筋肉のギモンを専門家が解説!』(日本文芸社)

『眠れなくなるほど面白い 図解 筋肉の話: 筋肉のギモンを専門家が解説!』(日本文芸社)

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提供元:効率よくエネルギーを燃やす「速筋」を鍛えるワザ|東洋経済オンライン

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