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2022.09.05

【連載】専門家がずばり解説!健康情報Q&A 第23回 脂質を控えているのに 体脂肪が減らないのはなぜ?


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「気になるけど結局どうなの?」という健康に関するソボクな疑問を、筑波大学体育系 准教授の中田由夫先生に答えてもらう連載の第23回目!

<これまでの質問>

☆第1回「ダイエット中に筋トレしたら腕が太くなりますか?」

☆第2回「部分痩せってできますか?」

☆第3回「糖質コントロールとカロリーコントロール、結局どっちが痩せるの?」

☆第4回「有酸素運動は20分以上続けないと痩せないってホント?」

☆第5回「筋肉を増やすにはどうすればよいですか?」

☆第6回「筋肉痛があるときは運動しないほうがよいですか?」

☆第7回「“座り過ぎ”の健康リスクを運動で帳消しにできますか?」

☆第8回「“床に座る vs 椅子に座る”どっちが体に悪い?」

☆第9回 体脂肪率が低すぎるのは良くないってホント?

☆第10回 外出自粛のなか、運動するにはどうしたら良いですか?

☆第11回 効果的な運動のタイミングって?

☆第12回 BMIは標準値なのにお腹がぽっこり…解消するには?

☆第13回 体脂肪だけを落としたい!食事制限でやせるには?

☆第14回 体力が低下しているけど運動嫌い…よい方法は?

☆第15回 35歳を過ぎ痩せにくく…健康に食べながら痩せられる方法は?

☆第16回 「お酒を飲む」or「お酒を我慢してストレスをためる」体に悪いのはどっち?

☆第17回 “食前” vs. “食後” 運動するにはどっちが効率的?

☆第18回 一定の体重から1年近く減りません。どうしたらよい?

☆第19回 体脂肪率が減りません。どうしたら順調に減らしていけますか?

☆第20回 糖質制限中、カロリーオーバーした場合、 やせる? 太る?

☆第21回 1日の内、夕食にエネルギー摂取量が偏るのはあり?

☆第22回 一生リバウンドしないための秘訣は?

今回は、ユーザーさんからいただいた質問で、脂質の摂取量と体脂肪についてお伺いしました。

この連載について――――
「専門家がずばり解説!健康情報Q&A」では、健康に関するソボクな疑問を、食事と運動が健康に及ぼす影響について研究されている、筑波大学体育系 准教授の中田由夫先生に解説していただきます。ダイエットや運動など幅広く質問していくので、楽しみにしていてください☆
――――――――――――

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中田先生の回答

体脂肪が蓄積される原因は“脂質のとり過ぎ”だけではない

“体脂肪=脂質のとり過ぎ”という側面は確かにあるのですが、必ずしも脂質を控えたからといって、体脂肪が減るとは限りません。

 まず、体脂肪がつくプロセスを考えてみましょう。人は、体を動かすためにエネルギーが必要です。必要なエネルギーは食事によってまかなわれます。その食事量が多い場合、余ったエネルギーを捨ててしまうのはもったいないので、体脂肪として貯蓄されます。

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体を動かすために必要なエネルギー量とは?

体を動かすために必要なエネルギー量は、体重×運動強度×時間で計算することができます。じっとしていたとしても、心臓を動かし、血液を送り、脳や内臓が活動するためにエネルギーが必要です。これが基礎代謝です。このときの運動強度を1メッツと呼びます。1日24時間、じっとしていたとしても、体重×1メッツ×24時間のエネルギーが必要です。体重60 kgであれば、1440 kcalとなります。

 1日に必要なエネルギー量は、活動レベルの低い人では基礎代謝量の1.5倍、活動レベルの高い人では2倍になります。体重60 kgであれば、活動レベルの低い人で2,160 kcal、活動レベルの高い人で2,880 kcalとなります。

エネルギー源となるのは脂質だけではない

これだけのエネルギーをまかなうために、朝・昼・夕、3食の食事をとります。エネルギー源となるのは、食事に含まれる、炭水化物、たんぱく質、脂質です。それぞれ1 gあたり、4 kcal、4 kcal、9 kcalとなります。一般的には、必要なエネルギー量の60%を炭水化物から、25%を脂質、15%をたんぱく質からとることが推奨されています。

“脂質のとり過ぎ”だけではなく総エネルギー摂取量で考えることが大切

体脂肪がつくということは、必ずしも脂質をとり過ぎたためではなく、総量としての摂取エネルギー量が、必要なエネルギー量を超えた場合に、余ったエネルギー量を効率的に(軽い状態で)体に貯蓄するために、体脂肪に変換されているのです。

 ダイエットはこの逆です。必ずしも脂質を減らす必要はありません。もちろん、1 gあたりのエネルギー量が多い脂質ですので、必要以上にはとり過ぎない方がよいです。しかし、最も重要なことは、総量としての摂取エネルギー量を減らすことです。そのうえで、エネルギー消費量が高まるように身体活動レベルを高めてもらえれば、必ず体脂肪は減少します。

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著者:中田由夫(筑波大学体育系 准教授 博士 体育科学)

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2004年3月筑波大学大学院博士課程体育科学専攻修了。筑波大学大学院人間総合科学研究科助手、助教、筑波大学医学医療系助教、准教授を経て現職。食事と運動を中心とした行動変容が生活習慣病の予防および改善に及ぼす影響を明らかにする研究を進めている。

【主な論文】
Nakata Y et al. Web-based intervention to promote weight-loss maintenance using anactivity monitor: A randomized controlled trial. Preventive Medicine Reports 14:100839, 2019.

【主な書籍】
江口泰正, 中田由夫(編著). 産業保健スタッフ必携 職場における身体活動・運動指導の進め方. 大修館書店, 東京, 2018.

【主な所属学会】
日本運動疫学会(理事・編集委員長)、日本健康支援学会(理事長)、日本体力医学会(評議員・編集委員)、日本疫学会(代議員)など。

記事提供:リンクアンドコミュニケーション

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