2023.05.15
【連載】専門家がずばり解説!健康情報Q&A第31回「ストレッチを毎日、ウォーキングと階段上り下りの痩せ効果について」
「気になるけど結局どうなの?」という健康に関するソボクな疑問を、筑波大学体育系 准教授の中田由夫先生に答えてもらう連載の第31回目!
<前回の質問>
今回は、ユーザーさんからいただいた2つの質問に、それぞれアドバイスをお伺いしました。
この連載について――――
「専門家がずばり解説!健康情報Q&A」では、健康に関するソボクな疑問を、食事と運動が健康に及ぼす影響について研究されている、筑波大学体育系 准教授の中田由夫先生に解説していただきます。ダイエットや運動など幅広く質問していくので、楽しみにしていてください☆
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Q:ストレッチを毎日するだけでもダイエットにつながりますか?
それではまず、最初の質問からお答えしていきましょう。
中田先生の回答
A. ダイエットにはつながりませんが、運動の習慣化にはつながります。
運動がダイエットにつながるかどうかは、その運動で消費されるエネルギー量を計算すれば判断できます。計算式は、「体重(kg)×運動強度(メッツ)×時間(時)」です。運動強度については、国立健康・栄養研究所が公開している「身体活動のメッツ(METs)表」を参照してください。
「身体活動のメッツ(METs)表」 ※外部サイトに遷移します
「ストレッチ」で検索すると、「2.3メッツ」であることが分かります。安静状態が1メッツ、掃除や買い物で3メッツ、自転車やウォーキングで4メッツ、ジョギングは7メッツですので、運動強度としては高くありません。そのため、エネルギー消費量も大きくはならないので、ダイエットにつながるとは言えません。
では意味がないか、と言えばそうではありません。毎日、決まった時間にストレッチをすることで、自分の体と対話(体話)する時間が生まれます。そうすることで、ちょっとした体調の変化に気づきやすくなるメリットがあります。
また、毎日、ストレッチをすることで、運動に対する意識が向上します。できれば、ストレッチだけでなく、ウォーキングや筋トレ、スポーツなどをセットで実施すると、運動効果はさらに高まります。
忙しくて時間がないとき、体調がイマイチなとき、天気が悪くて外に出たくないときは、ストレッチだけで構いません。毎日、体を動かす習慣がある、ということが、将来の健康のためにも、とても大切なことなのです。
Q. ウォーキングと階段上り下りはどちらが痩せやすいですか?
では次に、2つ目の質問にお答えしていきましょう。
中田先生の回答
A. 長く続けられるかどうかによります。
運動がダイエットにつながるかどうかは、その運動で消費されるエネルギー量を計算すれば判断できます。計算式は、前述の通りです。
「階段を上る」で検索すると、「ゆっくり」で4.0メッツ、「速い」で8.8メッツであることが分かります。また、「階段を降りる」で検索すると、3.5メッツであることが分かります。安静状態が1メッツ、掃除や買い物で3メッツ、自転車やウォーキングで4メッツ、ジョギング7メッツですので、ウォーキングと階段下りは同じくらいで、階段上りはウォーキングの2倍の運動強度ということになります。
運動強度が2倍ということは、消費されるエネルギー量も2倍ということになります。ウォーキングと同じ時間、例えば30分間、階段を上り続けられるのであれば、ウォーキング1時間に相当するエネルギーを30分で消費できることになります。
しかし実際には、階段上りはきつい運動なので、すぐに疲労困憊となってしまい、余程の体力がない限り、すぐに続けられなくなるでしょう。たくさんのエネルギーを消費するためには、強度が高ければよいということではなく、長く続けられることも大切な要素なのです。
仕事の休憩時間など、短い時間で効果を高めるためには階段上りは効果的です。時間がしっかりとれるときは、ウォーキングくらいの運動強度で、長く継続することを優先してください。
著者:中田由夫(筑波大学体育系 准教授 博士 体育科学)
2004年3月筑波大学大学院博士課程体育科学専攻修了。筑波大学大学院人間総合科学研究科助手、助教、筑波大学医学医療系助教、准教授を経て現職。食事と運動を中心とした行動変容が生活習慣病の予防および改善に及ぼす影響を明らかにする研究を進めている。
【主な論文】
Nakata Y et al. Web-based intervention to promote weight-loss maintenance using anactivity monitor: A randomized controlled trial. Preventive Medicine Reports 14:100839, 2019.
【主な書籍】
江口泰正, 中田由夫(編著). 産業保健スタッフ必携 職場における身体活動・運動指導の進め方. 大修館書店, 東京, 2018.
【主な所属学会】
日本運動疫学会(理事・編集委員長)、日本健康支援学会(理事長)、日本体力医学会(評議員・編集委員)、日本疫学会(代議員)など。
記事提供:リンクアンドコミュニケーション
リンクアンドコミュニケーションは、最新の健康情報の発信や健康課題を解決するサービスを提供します。最新の健康情報を医療・健康分野の専門家が評価し、コメント付きで紹介するサービス「HEALTH NUDGE」もチェックしてみてください。
<これまでの質問>
☆第3回「糖質コントロールとカロリーコントロール、結局どっちが痩せるの?」
☆第4回「有酸素運動は20分以上続けないと痩せないってホント?」
☆第7回「“座り過ぎ”の健康リスクを運動で帳消しにできますか?」
☆第8回「“床に座る vs 椅子に座る”どっちが体に悪い?」
☆第10回 外出自粛のなか、運動するにはどうしたら良いですか?
☆第12回 BMIは標準値なのにお腹がぽっこり…解消するには?
☆第15回 35歳を過ぎ痩せにくく…健康に食べながら痩せられる方法は?
☆第16回 「お酒を飲む」or「お酒を我慢してストレスをためる」体に悪いのはどっち?
☆第17回 “食前” vs. “食後” 運動するにはどっちが効率的?
☆第18回 一定の体重から1年近く減りません。どうしたらよい?
☆第19回 体脂肪率が減りません。どうしたら順調に減らしていけますか?
☆第20回 糖質制限中、カロリーオーバーした場合、 やせる? 太る?
☆第21回 1日の内、夕食にエネルギー摂取量が偏るのはあり?
☆第23回 脂質を控えているのに 体脂肪が減らないのはなぜ?
☆第25回 筋肉をつけて体脂肪を減らす効果的な筋トレ教えて!?
第26回 食事制限と運動で一日のエネルギー収支がマイナスでも体重が減りません⁈
第28回 太りにくい身体づくりについてのアドバイスVer.2
第29回 激しい運動やきつい食事制限なしで短期間で簡単に痩せられる方法とは?