メニュー閉じる

リンククロス シル

リンククロス シルロゴ

2023.04.17

【連載】専門家がずばり解説!健康情報Q&A第30回「食事制限しても下半身が全然痩せないのは?」


記事画像

「気になるけど結局どうなの?」という健康に関するソボクな疑問を、筑波大学体育系 准教授の中田由夫先生に答えてもらう連載の第30回目!

<前回の質問>

☆第29回 「激しい運動やきつい食事制限をしなくても、短期間で簡単に痩せられる方法とは?」

今回は、ユーザーさんからいただいた質問で、食事制限しても下半身が全然痩せないということについてアドバイスをお伺いしました。

この連載について――――
「専門家がずばり解説!健康情報Q&A」では、健康に関するソボクな疑問を、食事と運動が健康に及ぼす影響について研究されている、筑波大学体育系 准教授の中田由夫先生に解説していただきます。ダイエットや運動など幅広く質問していくので、楽しみにしていてください☆
――――――――――――

記事画像

記事画像

中田先生の回答

下半身を痩せられますか?

ご質問の回答としては、体重を落とすことは比較的簡単ですが、体型を変えることは難しいです。

肥満の分類として、男性型肥満と女性型肥満、リンゴ型肥満と洋ナシ形肥満、内臓脂肪型肥満と皮下脂肪型肥満という呼称があります。最初に男性型、女性型とあるように、体脂肪のつきかたには性差があります。

リンゴ型肥満と洋ナシ形肥満

記事画像

男性型肥満=リンゴ型肥満=内臓脂肪型肥満となりますが、これは腹部に脂肪が過剰に蓄積するタイプで、下半身よりもウエストまわりが大きくなります。女性よりも男性で多く、指でつまめる皮下脂肪ではなく、腹筋と背筋で囲まれた筋肉の層の内側(内臓の周囲)に脂肪(内臓脂肪)が蓄積する特徴があります。

一方、女性型肥満=洋ナシ形肥満=皮下脂肪型肥満となりますが、これは下半身に脂肪が過剰に蓄積するタイプで、ウエストまわりよりも下半身が大きくなります。男性よりも女性で多く、指でつまめる皮下脂肪が蓄積しやすい特徴があります。

この皮下脂肪のつきやすさには、女性ホルモンが影響しています。女性ホルモンが分泌されていると、いわゆる女性らしい体型として、バストやヒップが大きくなります。逆に、男性や閉経を迎えた女性では、内臓脂肪が増え、ウエストが太めになります。

内臓脂肪の数値が悪くなければ、体型は気にしないで

記事画像

内臓脂肪が過剰に蓄積すると、高血糖や脂質異常、高血圧などのいわゆる生活習慣病につながりやすいため、注意が必要です。一方、質問者の方は、上半身は理想通りになったということですので、健康に対するリスクは十分に軽減されたものと思われます。

もちろん、下半身が痩せないことをストレスに感じる気持ちも理解できますが、下半身の脂肪だけを減らすことは不可能です。皮下脂肪はからだ全体についていて、基本的にはたくさんあるところから多く減っていきます。さらに減量に取り組めば、徐々に下半身も細くなっていくと思われますが、過度な減量は健康を害することもありますので、慎重に判断する必要があります。

むしろ、下半身が太めであることは遺伝的なもの、自分の特徴として前向きに受け入れてもよいのではないでしょうか。最近はルッキズムという言葉をよく聞くようになりましたが、必ずしもやせ型のモデルさんのような体型が好まれるわけではありませんし、適正な体重や体型は人によって異なります。健康的な生活習慣を継続することが、体型よりもずっと大切なことですので、良い生活習慣を是非このまま継続してください。

著者:中田由夫(筑波大学体育系 准教授 博士 体育科学)

記事画像

2004年3月筑波大学大学院博士課程体育科学専攻修了。筑波大学大学院人間総合科学研究科助手、助教、筑波大学医学医療系助教、准教授を経て現職。食事と運動を中心とした行動変容が生活習慣病の予防および改善に及ぼす影響を明らかにする研究を進めている。

【主な論文】
Nakata Y et al. Web-based intervention to promote weight-loss maintenance using anactivity monitor: A randomized controlled trial. Preventive Medicine Reports 14:100839, 2019.

【主な書籍】
江口泰正, 中田由夫(編著). 産業保健スタッフ必携 職場における身体活動・運動指導の進め方. 大修館書店, 東京, 2018.

【主な所属学会】
日本運動疫学会(理事・編集委員長)、日本健康支援学会(理事長)、日本体力医学会(評議員・編集委員)、日本疫学会(代議員)など。

記事提供:リンクアンドコミュニケーション

リンクアンドコミュニケーションは、最新の健康情報の発信や健康課題を解決するサービスを提供します。最新の健康情報を医療・健康分野の専門家が評価し、コメント付きで紹介するサービス「HEALTH NUDGE」もチェックしてみてください。

<これまでの質問>

☆第1回「ダイエット中に筋トレしたら腕が太くなりますか?」

☆第2回「部分痩せってできますか?」

☆第3回「糖質コントロールとカロリーコントロール、結局どっちが痩せるの?」

☆第4回「有酸素運動は20分以上続けないと痩せないってホント?」

☆第5回「筋肉を増やすにはどうすればよいですか?」

☆第6回「筋肉痛があるときは運動しないほうがよいですか?」

☆第7回「“座り過ぎ”の健康リスクを運動で帳消しにできますか?」

☆第8回「“床に座る vs 椅子に座る”どっちが体に悪い?」

☆第9回 体脂肪率が低すぎるのは良くないってホント?

☆第10回 外出自粛のなか、運動するにはどうしたら良いですか?

☆第11回 効果的な運動のタイミングって?

☆第12回 BMIは標準値なのにお腹がぽっこり…解消するには?

☆第13回 体脂肪だけを落としたい!食事制限でやせるには?

☆第14回 体力が低下しているけど運動嫌い…よい方法は?

☆第15回 35歳を過ぎ痩せにくく…健康に食べながら痩せられる方法は?

☆第16回 「お酒を飲む」or「お酒を我慢してストレスをためる」体に悪いのはどっち?

☆第17回 “食前” vs. “食後” 運動するにはどっちが効率的?

☆第18回 一定の体重から1年近く減りません。どうしたらよい?

☆第19回 体脂肪率が減りません。どうしたら順調に減らしていけますか?

☆第20回 糖質制限中、カロリーオーバーした場合、 やせる? 太る?

☆第21回 1日の内、夕食にエネルギー摂取量が偏るのはあり?

☆第22回 一生リバウンドしないための秘訣は?

☆第23回 脂質を控えているのに 体脂肪が減らないのはなぜ?

☆第24回 ウォーキングで効率良く脂肪燃焼する方法とは?

☆第25回 筋肉をつけて体脂肪を減らす効果的な筋トレ教えて!?

第26回 食事制限と運動で一日のエネルギー収支がマイナスでも体重が減りません⁈

第27回 太りにくい身体づくりについてのアドバイスは?

第28回 太りにくい身体づくりについてのアドバイスVer.2

第29回 激しい運動やきつい食事制限なしで短期間で簡単に痩せられる方法とは?

おすすめコンテンツ

関連記事

体にいいけど太りやすい飲み物とは?~特徴や要注意の飲料一覧も紹介~

体にいいけど太りやすい飲み物とは?~特徴や要注意の飲料一覧も紹介~

【連載】専門家がずばり解説!健康情報Q&A第40回「いつまで食事制限をしなくてはならないの?」

【連載】専門家がずばり解説!健康情報Q&A第40回「いつまで食事制限をしなくてはならないの?」

鍋でダイエットを成功させる秘訣は?~オススメの具材やレシピをご紹介~

鍋でダイエットを成功させる秘訣は?~オススメの具材やレシピをご紹介~

「今年こそやせる」失敗し続けた人がやるべきこと|良質なオイルを摂って「脂肪燃焼体質」になる

「今年こそやせる」失敗し続けた人がやるべきこと|良質なオイルを摂って「脂肪燃焼体質」になる

戻る