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2020.05.21

長引く休校でも子どもを元気にする食事の秘訣| 3食の栄養バランスを考えて摂取するには?


休校が長引く中、家庭での食事はどうすればよいのでしょうか(写真:プラナ / PIXTA)

休校が長引く中、家庭での食事はどうすればよいのでしょうか(写真:プラナ / PIXTA)

学校が休校となり、朝食、昼食、夕食の3食を家庭で用意することとなってから2カ月が経過しました。延長された期限としている5月31日まで緊急事態宣言が続けば、休校期間は3か月に及びます。

日々の子どもの食事の用意に大変な思いをされている方も多いと思います。そんな中、家庭での食事が子どもの成長に必要な栄養素が足りているのか不安に思われている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

食事には、栄養素を摂取するという役割以外にも、家族と一緒に食事をとること(共食)が生活態度や精神的健康などと関連してよい影響があります。特に子どもの時には、何を食べるのかだけではなく、家族と一緒に楽しく食事をすることができているか、という点が非常に大切です。それを踏まえて、食事のバランスを整えるためには、

・主食、主菜、副菜を揃える
・おやつなどに果物を取り入れる
・牛乳などカルシウムを摂取できる食品を取り入れる
・鉄が豊富に含まれる食品を取り入れる

といった4つのポイントを意識することが大切です。小学生のお子さんについて、不足しがちな栄養素を確認し、日々の食事に取り入れるためにはどうすればよいのでしょうか。
以下、具体的に見ていきましょう。

子どもに不足しがちな栄養素

日本人の食事摂取基準2020年の子ども(小学生)の各栄養素摂取量の指標となる値と、「平成30年国民健康・栄養調査の栄養素摂取状況」の平均値、中央値を比較すると、ビタミンB1、ビタミンB2、カルシウム、鉄、ビタミンC、食物繊維が不足しがちな栄養素と考えられます。

日本人の食事摂取基準と国民健康・栄養調査では、年齢階層の区分が違うため、あくまでも傾向ですが、これらの栄養素の働きは以下のようになります。

・ビタミンB1:糖質がエネルギーとして利用される時に働くなど
・ビタミンB2:糖質、たんぱく質、脂質がエネルギーとして利用される時に働く、たんぱく質の合成を助けるなど
・カルシウム:骨や歯の成分、筋肉の収縮、神経刺激伝達など
・鉄:赤血球中の構成成分、酸素を全身に運搬するなど
・ビタミンC:酸化を防ぐ、コラーゲンの生成に必要、鉄の吸収を促進するなど
・食物繊維:腸内環境を整えるなど

いずれも必要な栄養素ですが、こうした栄養素をできるだけ不足なく摂取する分かりやすい食べ方は、主食、主菜、副菜(野菜やきのこ、海藻を中心としたもの)を揃えた食事にすることと言えます。ビタミンB1やB2は、肉や魚などの主菜に使う食材に多く含まれ、食物繊維は、主食である穀類や副菜に使う野菜、きのこ、海藻に多く含まれているためです。

主食、主菜、副菜を揃えることでビタミンB1、B2、食物繊維を摂取しやすくなると考えられます。

カルシウムを効率よく摂取するためには?

カルシウム、鉄、ビタミンCをしっかり摂取するためには、主食、主菜、副菜を揃えること以外に、もう少し気をつけることがあります。

(カルシウム)

子どもの時期にカルシウムをしっかり摂取する必要があるのは、骨の構成成分として体に蓄積できる時期は、おおむね20歳位までであるためです。20歳ころに最大となった骨量は、その後年齢を重ねるにしたがって徐々に減っていき、増えることはありません。つまり、子どもの時期に骨量をしっかり増やしておくことが大変重要なのです。

日本人の食事摂取基準におけるカルシウムの推奨量(集団に属するほとんど(97~98%)の者が充足している量)は、小学生で最も多いのは10~11歳の女子の1日あたり750mgです。1日750mgのカルシウムをとるためには、どんな食品を摂取すればよいのでしょうか。

食品に含まれるカルシウムの量は、おおむね牛乳200ml:220mg、ヨーグルト(全脂無糖)100g:120mg、チーズ1切れ(30g):140mg、小松菜(生)50g:85mg、しらす干し20g:42mgなどがあげられます。乳製品や小魚類、豆腐などの大豆製品、小松菜などの野菜類、海藻類、ごま、アーモンドに多く含まれています。

このように見るとカルシウム750mgを毎日とるには、意識して食材を選ばなければならないことが分かります。健康のために牛乳のかわりに豆乳を使われている家庭もあると思いますが、豆乳は、100mlでカルシウム15~30mg程度とカルシウムの含有量は多くないため、注意が必要です。

また、カルシウムの吸収を助ける働きを持つ栄養素にビタミンDをとることも大切です。ビタミンDは、日光を浴びることにより体内で作ることもできます。食品では、いわし、しらす、さんま、鮭といった魚に多く含まれていますので、日々の食事に魚を取り入れるようにすると良いでしょう。

(鉄)

鉄は、子どもだけではなく、大人も足りていない栄養素のひとつなので、しっかり摂取したいです。

鉄摂取の推奨量は、10~11歳で1日あたり8.5mg(月経ありの場合は、12.0mg)です。

食品に含まれる量を見ると、鶏レバー100g:9.0mg、あさり50g:1.9mg、がんもどき50g:1.8mg、牛肉(赤身)100g:2.8mg、納豆1パック(40g):1.3mg、小松菜(生)50g:1.4mg、ホウレンソウ(生)50g:1.0mg、きくらげ(乾)5g:1.8g、カツオ100g:1.9mgなどです。こうした食品を日々の食事に必ず取り入れるようにしたいものです。

(ビタミンC)

ビタミンCを摂取する理由は、鉄の吸収を良くするためでもあります。植物性食品に含まれる鉄(非ヘム鉄)は、ビタミンCによって吸収率が高まるからです。 

ビタミンC摂取の推奨量は、10~11歳で85mgです。食品に含まれている量をみると、パプリカ50g:85mg、ブロッコリー50g:70mg、いちご50g(3~5粒):31mg、オレンジ50g:30mg、キウイ1個:35mgです。ビタミンCは、野菜をしっかり摂取し、おやつなどにフルーツを取り入れることで比較的簡単に摂取することができるでしょう。

1週間を目安に買い物の時に意識してみる

これまで紹介した栄養素ごとの摂取量の目安を見て、毎日の栄養素摂取量を確認したり、気をつけたりするのは、大変だな……と思われた方も多いと思います。しかし、食事は日によって食べる内容や量が違うのは当たり前のことです。

そのため、1週間程度を目安に食品に偏りがないか、不足しがちな栄養素が含まれる食品を買い物の時に購入することで食事のバランスを整えることができます。

毎日3食の食事の用意は大変なことです。時には、子どもと一緒に昼食を作って、昼食の準備と遊びの時間を兼ねるようにするのもよいでしょう。こだわりすぎず、楽しく家族で食事をすることが最も大切なことです。

(参考文献)
1) 衛藤久美、他. 小学5年生の児童における家族との共食頻度及び食事中の自発的コミュニケーションと食態度、食行動、QOLとの関連. 日健教誌, 2012;20(3):192-206.
2) Kusano-Tsunoh A, Nakatsuka H, Satoh H, et al. Effects of family-togetherness on the food selection by primary and junior high school students: family-togetherness means better food. Tohoku J Exp Med. 2001 Jun;194(2):121-7.
3) Yuasa K, Sei M, Takeda E, et al. Effects of lifestyle habits and eating meals together with the family on the prevalence of obesity among school children in Tokushima, Japan: a cross-sectional questionnaire-based survey. J Med Invest. 2008 Feb;55(1-2):71-7.

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提供元:長引く休校でも子どもを元気にする食事の秘訣|東洋経済オンライン

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