2023.05.17
【糖尿病の人必見】筋トレは血糖値の改善に有効〜オススメの筋トレを紹介〜
当記事を監修した専門家:健康運動実践指導者 河内義紀、編集長 森下りの(詳しいプロフィールはこちらをご覧ください) ※外部サイトに遷移します
ダイエットやボディメイクなど、さまざまな目的で行われる筋力トレーニング(以下「筋トレ」)。
そんな筋トレは、糖尿病の治療にも効果があるのをご存じでしょうか?糖尿病治療の一環に運動療法がありますが、中でも筋トレは血糖値の改善に有効です。しかし、適切な強度や正しいフォームで行えていないと、運動の効果を最大限発揮することができません。
そこで、今回は血糖値の改善に向けて、筋トレの強度設定からオススメのトレーニングまでご紹介します。運動のポイントをわかりやすく解説していますので、ぜひ最後までお付き合いください。
筋トレをするとなぜ血糖値が下がるのか
筋トレをすると血糖値が下がる理由、それは筋肉への血流増加がカギを握っています。
血流量が増えると、エネルギー源となる糖が血液中から筋肉の細胞内へ取り込まれるため、血糖値が低下します。
通常、血糖値が下がるためにはインスリン(※)というホルモンが必要です。ところが、筋トレなどの運動をして筋肉を使うと、インスリンに頼らなくても血糖値が下がるのです。
また、筋トレによって筋肉量が増加するとともにインスリン抵抗性(※)が改善し、血糖値の低下にもつながります。
※インスリンとは、血液中の糖を一定に保つホルモン
※インスリン抵抗性とは、インスリンが十分に発揮できない状態
筋トレと有酸素運動を合わせて行おう
筋トレは、自分の体重を負荷として鍛える自重運動や、ダンベルなど重しを使用して負荷をかける運動のことをさします。トレーニング種目が多くあり、あなたの体力レベルや目的に合わせて行うことが可能です。
血糖値を改善するために、筋トレのみでも効果はあります。さらに、運動の効果を高めたい方は筋トレと有酸素運動を併用することが良いとされています。(有酸素運動の例:ウォーキングやジョギングなど)
運動に慣れてきたタイミングで両方の運動を組み合わせ、血糖値の改善を目指しましょう。
糖尿病の方にオススメ!筋トレの頻度と回数
筋トレの頻度や回数は目的によって異なってきます。そこで、今回は糖尿病の方にオススメの運動強度を解説します。
運動頻度は週2〜3 回を目安にしよう
筋トレの頻度は、週2〜3回程度(連続しない日程で実施)が血糖値の改善に効果的です。
毎日運動しなくては効果がないのではと思う方もいらっしゃいますよね。実は、運動による糖の利用は運動時だけでなく、運動後24〜48時間程度続くと考えられています。
そのため、休みの日をはさみながら週2〜3回程度が効果的ですよ。
回数は10〜15回を1セットから始めよう
筋トレの回数は、1種目10〜15回を1セットから始めましょう。少ないと思うかもしれませんが、日々の継続が大切なので初めのうちは負担になり過ぎない程度がよいですよ。
また、トレーニングを正しい姿勢で目的の回数(1種目10〜15回を1セット)行えるようになってきたら、回数を増やしていきます。目安の回数は、1種目8〜12回を1〜3セット実施しましょう。
なぜ回数を増やすのかというと、筋肉に負荷をかけ続ける必要があるためです。
同じ負荷でトレーニングを続けてしまうと、身体が負荷に慣れてしまい筋肉がつきづらくなってしまいます。そのため、筋肉量を増やすには、徐々に負荷を高めることが大切です。
しかし、急に負荷を高めてしまうと、関節や筋肉を痛めてしまう可能性があるため、あな たの体力レベルに合わせて少しずつ増やしていきましょう。
大きな筋群を鍛えて、筋肉量を増やそう
筋トレによって筋肉量を増やすことは、インスリン抵抗性を改善し、血糖値の低下につながります。また、筋肉量を増やすためには、大きな筋群(筋肉の体積の大きさ)を鍛えることが運動の効果を高めます。
代表的な大きな筋群とは、胸の筋肉(大胸筋)、肩の筋肉(三角筋)、背中の筋肉(広背筋)、もも前の筋肉(大腿四頭筋)、お尻の筋肉(大臀筋)です。
また、下半身は全身の筋肉量の約70%を占めています。そのため、もも前の筋肉やお尻の筋肉を鍛えて、効率良く筋肉量を増やしていきましょう。
運動時の注意点として、心臓疾患(狭窄症・弁膜症など)、脳疾患(脳卒中など)をお持ちの方は、必ず主治医に相談してから運動を行ってください。
参考記事:糖尿病の運動にヨガを取り入れよう〜効果・ポーズ・やり方をカンタン紹介〜 ※外部サイトに遷移します
背中を中心に -上半身トレーニング編-
上半身のトレーニングで紹介するのはタオルを使った「プルダウン」です。鍛えられる筋肉は背中の筋肉になります。
なぜ背中を鍛える必要があるかというと、背中の筋肉は姿勢の維持に関わる大事な箇所だからです。良い姿勢を保ちながらトレーニングを行い、効率良く筋肉をつけていきましょう。
【やり方】
(1)両足を肩幅に開き、タオルのはじを持ちバンザイする。
(2)「1、2、3、4」とカウントしながら、頭の後ろをタオルが通るようにひじを曲げ肩甲骨を寄せ、肩のラインまでタオルを下げる。
(3)「5、6、7、8」と数えながら、肘を伸ばし、(1)に戻る。
【ポイント】
常にタオルを引っ張りながら行う
タオルが緩むと背中の活動量が落ちやすくなります。
軽くあごを引き、目線は正面に向ける
頭が前に出た状態で行うと首を痛める原因になります。
太ももとお尻を強化 -下半身トレーニング編-
下半身のトレーニングで紹介するのは「スクワット」です。鍛えられる筋肉はもも前の筋肉、もも裏の筋肉、お尻の筋肉になります。
なぜ太ももとお尻を鍛える必要があるかというと、大きな筋群で筋肉がつきやすい箇所だからです。筋肉量を増やして、血糖値の改善を目指していきましょう。
【やり方】
(1)両足を肩幅に開き、手は腰にそえる。
(2)「1、2、3、4」とカウントしながら、膝と股関節を同時に曲げ、太ももと床が平行になる手前くらいまで真下にしゃがむ。
※難しい方はしゃがむ深さを浅くする。
(3)「5、6、7、8」と数えながら、膝と股関節を同時に伸ばし、(1)に戻る。
【ポイント】
お尻を後ろに引きながらしゃがむ
膝が前に出すぎると活動量が落ちやすくなります。
膝はつま先と同じ方向を向ける
膝が内側に入ると膝を痛める原因になります。
胸を張り、肩甲骨を内側に寄せる
背中を丸めて行うと腰を痛める原因になります。
少し腰を丸め、お腹に力を入れる
腰を反ると腰を痛める原因になります。
まとめ
以上、筋トレが血糖値の改善に有効なことを解説しました。筋トレは、血糖値の改善に効果的です。
また、糖尿病の人にオススメの運動強度を意識することで、筋トレの効果が高まります。
以下の数値を参考にしてみてください。
さらに、大きな筋群を正しいフォームで鍛えることで、筋肉量が増え、血糖値が低下しやすくなります。ぜひ意識して、取り組んでみてくださいね。
それでは当記事を参考に、日々の生活に筋トレを取り入れて、糖尿病の治療に役立てていただけるとうれしいです。
【参考文献】※外部サイトに遷移します
国立国際医療研究センター 糖尿病情報センター 糖尿病の運動のはなし
糖尿病ガイドライン2019 日本糖尿病学会(編集・著者)
監修:編集長 森下りの
名古屋大学医学部保健学科看護学専攻卒業。在学中はヘルスケア領域の知識や経験ををグローバルな視点で深めるために、リーズ大学(イギリス)への長期留学や、エリザベス病院(タンザニア )でのインターンシップなどを経験。卒業後は、看護師として疾患知識やコニュニケーション力を培う。医療業界のIT化遅れへの危機感や、疾病予防には個人の主体的な行動が不可欠と感じ、H2株式会社に入社し、マーケティングと広報を担当。 看護師、保健師、メンタル心理カウンセラーの資格を保有。
執筆者:健康運動実践指導者 河内 義紀
帝京平成大学現代ライフ学部経営マネージメント学科トレーナー・スポーツ経営コース卒業(現在、人文社会学部経営学科)。在学中、スポーツ医科学を中心に学び、大学男子バスケットボール部や社会人ラグビーチームなどでスポーツ現場を経験。卒業後は、疾病予防運動施設にて、パーソナルトレーニングや施設運営に従事。指導している中で、「自ら健康管理できる世の中にしていきたい。」と考えるようになり、H2株式会社に入社。フィットネストレーナーとして、運動面からのサポートを行っている。健康運動実践指導者、日本トレーニング指導者協会認定トレーニング指導者の資格を保持。
記事提供:H2株式会社
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提供元:【糖尿病の人必見】筋トレは血糖値の改善に有効〜オススメの筋トレを紹介〜|【シンクヘルスブログ|H2株式会社】