2019.01.24
【特集/現代人のための“菌活”】モデル菜月さんの発酵ライフ<後編>
モデルや女優として活動していた菜月さんは、発酵食品と出合い現在は発酵マイスターとして活躍中。前編に続き後編では、菜月さん流「菌活」スタイルをお聞きしました。
前編 ※外部サイトに遷移します
発酵素材を使って、料理のバリエーションを広げる
売っているグラム数単位が大きい酒粕は、なかなか使い切れない人もいると思います。私の場合、あまった酒粕は、ラップして冷凍庫に保存し、いつでも好きな時に使います。そのほかにも使いやすいように、酒粕とお水、少しのお塩をフードプロセッサーや小鍋(弱火でアルコールを飛ばすとお子さんも食べやすくなります)でペースト状にしておくと使いやすいですよ。豆腐と混ぜたものはコクのある白和えに、味噌と混ぜたものは、これからの季節春キャベツに添えたり、鶏肉や魚を漬けておくと酒粕西京漬としても重宝します。
塩麹も好きで常備していますが、最近滋賀の出張時にいただいた「ふな鮨」(塩漬けしたふなと炊いたごはんをミルフィーユ状に重ね1年以上寝かせた発酵食)のおいしさにハマりました。この乳酸菌の刺激的な酸味とチーズのような旨味を、なんとか家で簡単に再現できないかと試行錯誤し、お刺身、塩麹と豆乳ヨーグルトを混ぜたもの、ビーツと、これも重ねて漬けておいたら、おいしかったです。発酵食品を使ってレシピを考案するのも楽しいものです。
発酵のサイクルに"人生"を学ぶ
私は、以前発酵をテーマに個展を開いたことがあるのですが、そのときはNTTコミュニケーション科学基礎研究所の渡邊淳司さんたちが開発した、"心臓ピクニック"という展示をしました。心臓の鼓動を、視覚や聴覚ではなく、触れるという装置で、発酵における微生物の命のリレーの過程をいろんな野菜や果物にまとう乳酸菌や酵母を育てた瓶とその瓶の中で繰り広げられるメカニズムをイラストにしたのです。
発酵のサイクルは、まるで人間の人生のようです。<前編>でご紹介したリンゴ発酵ソーダで例えると、りんごの表面にいる植物性乳酸菌がハチミツやりんごの糖分をエサにして、このときは甘酸っぱい香りでフレッシュ感満載。人間なら青春期といった感じですね。乳酸菌でいっぱいの瓶のなかでは、腐敗菌は生きられません。乳酸菌がオナラのように出した乳酸を食べる酵母が、芳醇な香りとシュワっと炭酸を放ち広がるのが、次のステップです。芳醇な香りを放つ酵母の時期は、大人の女性の成熟感を思わせます。そして次は酵母が出したアルコールを食べながら生きる"酢酸菌"の時代。少しずついい具合に枯れながらも味わいも深まる。まるで老年期ですね。そして、瓶中の微生物は分解しつくして水に戻るとのこと。まるで命のリレーのような発酵の課程、微生物の生き様はかっこいいなと感じます。
発酵のサイクルは、まるで人間の人生のようです。<前編> ※外部サイトに遷移します
微生物の生きやすい環境のため、日々のお掃除が日課に
お味噌や酒粕、お酒..、.家にはたくさんの発酵食品や発酵料理がありますし、常に仕込みもしているので、私の毎日は発酵に欠かせない微生物とともにあります。少しでも、微生物にいい環境をつくろうと思うと自然と掃除の回数も増えました(笑)。でも、神経質にストイックにするのではなく、あくまで微生物がよく育ちますようにと思いながら、ゆるくやっています。
除菌ではなく、"助菌"の毎日
私たちの体内やからだの表面には常在菌といって、多種多様な微生物が生きています。微生物を愛する私としては、自分のまわりにある常在菌も大切にしたいので(笑)、手や顔やからだを必要以上に洗いません。洗顔はお米のとぎ汁に少しオイルをまぜて乳化させて優しくなでてメイクを落とす程度で、手洗いも水のみ。必要以上の除菌はいい菌まで排除してしまいます。私の菌に対する姿勢は、除菌ではなく"助菌"です(笑)。
瞑想で心身を整える
微生物が発酵しやすいように、家の掃除をすること以外は、ほとんど運動らしいこともせず、美の習慣も特にないのですが、瞑想だけは行っています。ヴィパッサナー瞑想といって、過去には千葉で行われる10日間の合宿に2度参加しました。10日間は、携帯もペンもノートも一切の持ち込み禁止。毎日、朝4時から夜9時までひたすら瞑想を行います。慣れるまでの苦しさは並大抵ではありませんが、限界値を超えてからは、感情もからだも静寂に包まれ、このままいくらでも瞑想ができる状態に。今思い出しても、贅沢な時間だったと思います。
菜月
俳優・モデルとして活動しながら、2012年、ファスティングマイスターと発酵マイスターの資格を取得。2016年、日本で初めての発酵をテーマにした個展「醸し醸され〜春うらら♡」開催。発酵食のワークショップ「Natsukiʼs HaCcOoo Lab」主宰。2017年、発酵食をベースとした緩やかな断食「Yurudan」スタート。
http://beautyflow.sunnyday.jp/ ※外部サイトに遷移します
語り/菜月(発酵マイスター、モデル)
取材・文/大庭典子
撮影/高木亜麗
※この記事の内容について、株式会社ワコールは監修を行っておりません。
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提供元:【特集/現代人のための“菌活”】モデル菜月さんの発酵ライフ<後編>|ワコール ボディブック