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2024.11.02

「夜型の人」が朝スッキリ目ざめるルーティン3つ|体内時計は自分で簡単にコントロールできる


夜型の人でも、体内時計を朝型に変えることはできるという(写真:USSIE/PIXTA)

夜型の人でも、体内時計を朝型に変えることはできるという(写真:USSIE/PIXTA)

すっかり秋めいてきた今日この頃。読書や動画鑑賞などで夜更かしがすっかり習慣化してしまい、朝起きるのがつらい、という人も多いのではないでしょうか。そんな乱れた睡眠の習慣を正し、すっきりと目ざめられるようにするには、睡眠についての正しい知識に基づいた「熟睡スキル」を身に付けることが大切だと、上級睡眠健康指導士の角谷リョウ氏は説きます。
そんな角谷氏が提唱する、「夜型の人」が「朝型の人」に変わるために取り入れるべき3つのルーティンとは。

※本稿は、角谷氏の著書『超熟睡トレーニング: 15万人の“日本人”のデータを集め、睡眠改善をしてきた「上級睡眠健康指導士」だけが知っている』から、一部を抜粋・編集してお届けします。

「朝型の人」と「夜型の人」はここが違う

朝、すっきり目覚めたいというのは多くの人が思っていることでしょう。寝起きがいいか悪いかは「朝型人間か夜型人間か」で決まると考えられています。

では朝型と夜型では、何が違うのでしょうか。その判別方法は、「体温」と「コルチゾール」というホルモンが上昇する時間帯にあります。

コルチゾールは起床前後でいちばんたくさん分泌されるホルモンで、血糖値維持や肝臓での糖新生促進などの作用があります。日中、活発に過ごすために使われるホルモンです。朝大量に分泌され、夕方に向かって分泌量が少なくなっていきます。朝型の人は早朝にコルチゾールが分泌されるので、目覚めたときにはすでに活動状態に入れる態勢が整っているというわけです。

これに対して夜型の人は、朝型の人に比べて2時間くらいあとになってからコルチゾール分泌が始まります。たとえば朝型で6時起床のAさんという人がいて、起き抜けから頭も体も動くとしましょう。一方で、Aさんの友人のBさんは夜型で、起床時刻はどうしても8時近くになってしまいます。

自分が朝弱いことにコンプレックスを抱いていたBさんは、あるとき一念発起して朝型人間になることを決意。Aさんを真似て6時起床を習慣にしようと考えました。
ところがあえなく挫折。いったん6時に目覚めることはできるのですが、頭も働かず体も動かず、全く使いものになりません。

それもそのはず。AさんとBさんでは、そもそも活動ホルモンであるコルチゾールを最大分泌する時間が、2時間ずれているからです。

ゆえにAさんは朝6時に最大分泌に達しますが、Bさんの場合は長年の習慣で2時間遅れの朝8時となってしまいます。Bさんが理想の起床時刻とした朝6時は、まだ「コルチゾールの量は少ない状態=体が目覚める準備ができていない状態」ということになるのです。つまりAさんとBさんとでは、体内時計に2時間のズレがあるということになります。

体内時計は自分でコントロールできる!

では、夜型の人が体内時計を朝型に変えることはできるのでしょうか。結論から言うと、やろうと思えば誰でもできます。きちんと段取りを踏んでトレーニングしていけば、ほとんどの方が朝型になるのです。

と言うのも体内時計は、自分で動かすことができるからです。まずはそのことをしっかり心に留めておいてください。

たとえば旅行で時差のあるところに行ったとき、最初のうちは辛いですがそのうち慣れてきますよね。これは人間の体内時計は、環境によって合わせる仕組みが備わっているからです。体内時計を自分でコントロールするには、少しずつ時間をずらしていくのがポイントです。

私がおすすめしているのは、30分ずつ早めていく方法。30分というと大した時間ではないように感じられるかもしれませんが、実際にやってみると意外に苦戦するかもしれません。中には2〜3日やってみて、「やっぱり自分には無理」と挫折する人がいますが、それはいくらなんでもあきらめが早すぎです。まずは、1週間は続けるようにしましょう。

挫折する人は決まって「やっぱり自分は夜型みたいで、朝は使い物になりません」と言います。でも安心してください。それはごく当たり前のこと。人間の体はそういうふうにできているものなんです。「夜型だから朝動けない」というわけではありません。

起床時間を早めるということは、自分の体内時計に逆らったことをやろうとしているわけです。体温も活動ホルモンであるコルチゾールも、いちばん低い状態、つまり1日でいちばんパフォーマンスの低い時間に無理やり起きることになるので、使い物になるはずがありません。

だから「そういうものだ」と思って、朝、頭が働かずボーッとしているだけの自分を「ダメなやつ」とか「結局、早起きは向いていない」などと決めつけないようにしましょう。

人はいつもと同じパターンの行動をしているのが、体も心もいちばん安定します。ところが早起きできるようになりたくて、起床時刻を普段よりも30分ずらすということは、これはもう体にとって「事故(非常事態)」以外のなにものでもありません。頭が働かなかったり体が動かなかったりするのは「想定内」と思ってください。実際、サマータイムを導入している国では、切り替わってから1週間くらいは交通事故が増えるそうです。

だから大切なのは、実践し始めて2~3日で「自分には無理」とあきらめたりしないことです。そこでやめてしまったら、永遠に早起きできる日はやってこないと腹をくくり、まずは1週間頑張りましょう。

では、どうしたら夜型から朝型へ変えていくことができるのか、具体的なトレーニング法をご紹介していきますね。

起きたい時間に「強制的に」光を浴びる

体内時計を変える【ステップ1】光を浴びる

人は光で覚醒します。ですから起きたい時間に強制的に、光を浴びられるようにセッティングすることが大切です。本来は太陽の光を浴びるのがベストなのですが、ただでさえ朝の弱い人が起き抜けにカーテンを開けるというのはしんどいかもしれないので、代替品を使うようにします。

●光目覚まし時計を使う

光目覚まし時計とは、発光体を搭載した目覚まし時計のこと。その発光体が、アラームが鳴る30分くらい前から次第に明るくなるため、目を覚ましやすくなるという仕組みです。3000円程度から購入でき、1万円以上のものだと1万ルクスの明るさのものがあります。なお睡眠学では、2500ルクス以上で体内時計がリセットされることになっていますが、現実にはそれより低いルクスの光目覚まし時計でも効果を感じられることがほとんどです。

●天井照明を使う

寝室の照明を使う方法もあります。寝室照明にリモコン機能が付いているとベストです。目覚まし時計の横に照明のリモコンを置いておきます。目覚まし時計が鳴って目が覚めたら、すかさずリモコンで照明をつけるようにします。

寝室の照明にリモコンがない場合は、製品によっては後付けでリモコンを設置することができる場合があります。取扱説明書やインターネットで、照明器具の品番などから調べてみてください。Amazonなどでは1000円台半ばくらいから購入可能です。

光目覚まし時計と天井照明は、併用すると効果が上がります。寝起きに光を浴びるのは、体内時計を変えるのに必須なので若干のコストはかかりますが、両方を活用するために購入を検討されることをおすすめします。

体内時計を変える【ステップ2】胃に飲食物を入れる

次に覚醒を促すのが、体内に飲食物を入れること。光の次のスイッチになるのが、食事というわけです。とはいえ、そもそもまだ胃が動いていないので、すぐに食事を摂るというのはあまり現実的とは言えません。

たいていの人は、起き抜けに固形物を食べるのは困難なのではないでしょうか。起きてから1時間経っても「食べる気になれない」という声はよく聞きます。

そこでおすすめなのが、温かい白湯を飲むことです。体が内側から温まり、体温が上がって覚醒していきます。また白湯が胃に入ることで、結腸(大腸の主要部分であり、盲腸と直腸の間)が反応します。脳と腸は「脳腸相関」といって密接に影響を及ぼし合っているので、ここで脳が目覚めるというわけです。

「脳」と「腸」の関係をうまく活用しよう

ここで、脳腸相関について簡単にご説明しましょう。人に限らず多くの動物は、ストレスを感じるとお腹が痛くなり便意をもよおします。これは脳が自律神経系を介して、腸にストレスの刺激を伝えるためです。逆に腸が病原菌に感染すると不安感を増すのは、脳が腸の危機を感じ取っているからだと言われています。

脳と腸はこのような相関関係を持っているので、朝いちばんに腸に白湯を入れることで脳が目覚めやすくなるのです。白湯はあまりに温度が高いと飲めないので、自分にとって飲みやすい温度でかまいません。水も悪くはないのですが、体が冷えてしまい体温が上がりにくくなります。じわっと体の内側から温まってくるのを感じるくらいの、飲みやすい温度の白湯がいいでしょう。

分量もあまりこだわる必要はありません。カップ1杯などと決めつけず、半分でも3分の1でも飲みやすい分量で大丈夫です。もちろん起き抜けから固形物を食べられるのであれば、食べてもかまいません。

朝のフルーツもおすすめ

パンやご飯は受け付けないけれど、フルーツなら食べられるという人はたくさんいます。フルーツは消化にエネルギーをあまり使わずに済むので、食べやすいのでしょう。イチゴでもキウイでも、食べられるのならば好きなものを食べてください。

シャワーの刺激で「交感神経」を優位にさせる

体内時計を変える【ステップ3】シャワーを浴びて、掃除などルーティンをする

飲食物を摂ったら、次はシャワーです。シャワーの水滴の刺激で体が目覚めます。お湯の温度はそれなりに高くするといいでしょう。交感神経が優位になります。42度以上を目安にしてください(熱くてつらい場合は、我慢せずできる範囲での高めの温度にしてください)。

筋肉が発達している男性の場合、アイスシャワーも効果的です。冷水を浴びると、体の中で反射的に熱を上げる作用が起こるからです。ただし筋肉がしっかりついている人向けなので、女性には向いていない人のほうが多いかもしれません。

なお、お湯のシャワーを浴びた場合、湯冷めが心配だと感じるかもしれません。でも大丈夫! 夜は体温が下がっていく時間帯なので湯冷めを起こしますが、時間の経過とともに体温が上がっていく朝は湯冷めすることはありません。

ただし繰り返しになりますが、シャワーの温度は高めにしてください。ぬるめのシャワーだとかえってボーッとしてしまうのでおすすめできません。起き抜けに光を浴び、腸の蠕動(ぜんどう/うごめくこと)運動を呼び起こし、シャワーで肌に刺激を受けた段階で、体はかなり目覚めた状態になっています。

さらに体と頭の動きを活発化させるために、掃除などのルーティンの作業をするのがおすすめです。私はクイックルワイパーを使って、床の拭き掃除をすることにしています。掃除機と違って音がうるさくありませんから、家族や近所の人がまだ寝ていてもできます。

何よりも頭を使わず、激しくない体の動かし方ができるのがいいのです。この「何をするかを考えなくていい」というのは、朝の寝起きの「儀式」としてはかなりポイントが高いです。起き抜けから「えーと、何するんだっけ?」と考えなければならないとなると、それだけで疲れてしまいますから。あらかじめ、朝のルーティンを決めてしまうことが大切です。

『超熟睡トレーニング: 15万人の“日本人”のデータを集め、睡眠改善をしてきた「上級睡眠健康指導士」だけが知っている』(Gakken)

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提供元:「夜型の人」が朝スッキリ目ざめるルーティン3つ│東洋経済オンライン

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