2024.08.06
健康診断、受けただけで安心していませんか?数値の見方や対策について徹底解説
健康診断を受けたけれど、数値の見方がよく分からずそのまま放置してしまった経験は、ありませんか?健康診断の結果が書かれている健康診断書には、今の自分の体の状態を知る情報がたくさん詰まっています。
この記事では、健康診断書の読み解き方や結果が芳しくなかった時の対策について解説します。
健康診断にはどんなメリットがあるの?
健康診断を受けることで疾患の予防や早期発見につながるため、将来的に長期的な入院をしなくて済むというメリットがあると言えるでしょう。視野を広げてみると、自分だけではなく家族の負担を減らすことにもつながります。加えて、今の健康状態を知ることで、ダイエットや生活習慣を改善するきっかけにもなるなど、そのメリットは数え切れないほどです。
「健康診断は毎年受けなくてもいい」と思っている方も多いかもしれません。
しかし、定期的に健康診断の記録をしておき、後で経年変化を確認することで自分の体の状態の変化が分かりやすくなります。
健康診断は、元気な時から受けておくようにしましょう[1]。
必ずチェックしたい検査項目とは?
健康診断の項目は、さまざまありますが、ここでは代表的な生活習慣病である糖尿病、高血圧、脂質異常症と関わりが深い検査値について解説します。
1.血糖値
血糖値とは、血液中に含まれるブドウ糖の濃度のことをいいます。血糖値が高い状態が続くと、糖尿病を発症するリスクが高まるため、注意が必要です。
血糖値は健康な人でも食前と食後で変化しますが、通常であれば空腹時の基準値は99mg/dL以下です [2]。
2.ヘモグロビンA1c
血糖値は、食事から採血までの時間の影響を受けやすい特徴がありますが、ヘモグロビンA1cは、過去1~2カ月の平均的な血糖値が分かります。
ヘモグロビンA1cは、血糖コントロール状態の評価に重要な値であり、基準値は5.5%以下です[2]。
3.血圧
高血圧は、脳卒中や心疾患、腎臓病などの最大のリスク因子といわれています。高血圧の有病率は加齢とともに上昇し、50歳以上の男性と60歳以上の女性では、50%を超えています。
血圧の基準値は、収縮期血圧129mmHg以下、拡張期血圧84mmHg以下です[2,3]。
4.中性脂肪
中性脂肪は、肝臓で余分な糖質から作られます。我が国の疫学調査では、血液中の中性脂肪が高値だと冠動脈疾患の発症が増加することが明らかにされています。さらに、脳梗塞のリスクが上昇するという報告も多くあるのです。
中性脂肪の基準値は、30~149mg/dLです[2,4,5]。
5.LDLコレステロール
LDLコレステロールは悪玉コレステロールと呼ばれ、血液中に増えすぎると、冠動脈疾患の発症のリスクが高まるといわれています。特に、アテローム血栓性脳梗塞の発症リスクと関わっていることが明らかにされています。
LDLコレステロールの基準値は、60~119mg/dLです[2,5]。
6.HDLコレステロール
LDLコレステロールは増えすぎると冠動脈疾患のリスクが高まりますが、善玉コレステロールと呼ばれるHDLコレステロールは、少なすぎると冠動脈疾患や脳梗塞のリスクが高まるといわれています。
HDLコレステロールの基準値は、40mg/dL以上です[2,5]。
数値改善のために食事で意識することとは?
ここでは数値改善のために、今すぐできる日々の食事で意識すると良い食事のポイントを3つご紹介します。
1.食べ過ぎ、飲み過ぎに気を付ける
体重が増えている人は、食べ過ぎや飲み過ぎに気を付け、適正体重を目指して減量することが大切です。肥満は、糖尿病や高血圧、脂質異常症などの発症・重症化のリスクを高めてしまいます。加齢により基礎代謝が落ちてくると今までと同じように食べたり、飲んだりしていても、体重が増えてしまう場合もあるため、注意が必要です。特に、意識しないとカロリーオーバーの原因になる恐れがある間食やお酒などの摂りすぎには気を付けましょう [6]。
2.減塩を意識する
日本人の高血圧の最大の原因は、食塩の摂りすぎです。食塩摂取量を 1 g/日減らすことで、収縮期血圧で約 1 mmHg 強の降圧が期待できることが明らかにされています。
1日の食塩摂取量は、男性では7.5g未満、女性では6.5g未満にすることを推奨されています。練り物製品(ちくわやかまぼこなど)、加工肉(ハムやソーセージなど)、パンや麺類などには、目に見えない食塩が含まれているため、注意が必要です。例えば、ソーセージ1本(20g)を我慢することで、0.4gの減塩が可能になります。味の濃い加工食品を控えたり、外食の頻度を減らすなど日頃から食塩摂取量を意識するようにしましょう[6,7]。
3.食物繊維をしっかり摂る
食物繊維には、血糖値上昇を抑えたり、血液中のコレステロール濃度を低下させるなどの働きがあります。生活習慣病予防のために積極的に摂りたい栄養素のひとつです。
食物繊維を摂るためには、野菜類、果実類、きのこ類などさまざまな植物性食品を意識して食べるようにしましょう。1回の摂取量が多い主食を玄米ごはん、麦ごはん、胚芽米ごはん、全粒小麦パンなどに置き換えると、効率良く食物繊維が摂取できます[8]。
健康診断の結果は必ず確認しよう!
生活習慣病予防のためにチェックする検査項目や数値改善のために意識すると良い食事のポイントについてお分かりいただけたでしょうか。
生活習慣の改善で数値も改善される場合もありますが、要精密検査、要治療と診断された方はなるべく早く医療機関を受診するようにしましょう。
【参考文献】(すべて2024年06月30日閲覧)※外部サイトに遷移します
[1]厚生労働省:スマート・ライフ・プロジェクト|「健診」の基礎知識
[5]一般社団法人日本動脈硬化学会:動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版|第2章 動脈硬化性疾患予防のための包括的リスク評価
[7]文部科学省:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年|肉類/<畜肉類>/ぶた/[ソーセージ類]/ウインナーソーセージ/ウインナーソーセージ
【プロフィール】管理栄養士 落水陽香里
調剤薬局で栄養指導業務を経験後、フリーランス管理栄養士として独立。栄養指導を行う中で間違った健康情報に振り回されている人が多いことを実感し、危機感を感じていた。その経験から現在は、世の中の人々が間違った健康情報に振り回されることなく、正しい健康情報を入手できるように科学的根拠のある健康情報を分かりやすい言葉で発信するライターとして活動している。
記事提供:株式会社Wellmira
『世界中の誰もが、自然に健康になれる社会を創る』をミッションとし、「テクノロジー・エビデンス・専門家ネットワークを活用し毎日の健康を自然にサポートできる社会システムの構築」を目指しています。
株式会社Wellmira ※外部サイトに遷移します
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