2023.01.06
健康のターニングポイントは、50代!老後も元気に過ごすためにできること
50代は、子育てなどが一段落して、老後や第二の人生について考える世代といえるのではないでしょうか。50代を人生のターニングポイントと捉えると共に、これからも健康に過すために、身体作りの見直しをする好機とも考えられます。今回は、50代から始めたい生活習慣の改善について解説します。
50代からはどんな病気に注意が必要?
50代は、今までの生活習慣が原因で糖尿病や高血圧、脂質異常症などを発症しやすくなります。このような生活習慣病は自覚症状がない場合が多いため、定期的に健康診断を受け、その結果に基づく生活習慣の改善が大切です。日常生活における不適切な食生活、運動・睡眠不足、喫煙習慣をチェックして、生活習慣病の進行をより早期の段階で防いでいきましょう[1]。
今も老後も元気に過ごすための4つの食事ポイント
食べすぎに注意して肥満予防
健康作りにおいて肥満を予防することは重要なポイントです。肥満は、ただ体重が多いだけではなく体脂肪が過剰に蓄積した状態を指します。
肥満のタイプは内臓脂肪型肥満と皮下脂肪型肥満に分けられ、隠れ肥満といわれる内臓脂肪型肥満のほうが生活習慣病を発症するリスクが高いことがわかっているのです。
肥満の予防には、食べ過ぎ(カロリー過多)に注意し、体を動かして活動量を増やすことが必要になります[2]。
塩分を控えて高血圧予防
日本人に多い高血圧の最大の原因は、食塩のとりすぎです。日本人の食生活は、食塩が多くなりやすい傾向があるため、今までの食習慣を振り返って食塩をとりすぎていないか確認してみましょう。味付けが濃くならないよう薄味を心掛け、しょうゆやソースなどを“かける”習慣がある方は、少量を“つけて”食べるようにするだけでも、食塩摂取量を減らすことができます[3]。
食物繊維が豊富な食材をとる
食物繊維をしっかりとることで、2型糖尿病や心血管疾患などの生活習慣病の発症予防が期待できます。生活習慣病の発症予防を目的として、現在の日本人が当面の目標とすべき食物繊維の摂取基準値は、18~64歳で男性21g/日以上、女性18g/日以上となっています。食物繊維は、野菜類、海藻類、きのこ類、豆類などに多く含まれていますが、効率よくとりたい場合は、主食を胚芽米や玄米、麦ご飯などに変えて摂取量を増やしましょう[4,5]。
脂質の種類に気をつける
脂質異常症になると動脈硬化をきたして、心筋梗塞や脳梗塞を発症する心配があります。肉類の脂身やラード、バターなどの飽和脂肪酸の過剰摂取は、脂質異常症の原因になりやすいので注意が必要です。しかし、これらの脂質は、体にとって必要な栄養素であるため、極端に制限するのではなくEPA・DHAが含まれる青魚類や植物性のオイルを選んで、適量をとるようにしましょう[6]。
筋力アップにチャレンジ
身体活動量が多く心肺持久力の高い人は、脳や心肺機能が高まり、心血管疾患、2型糖尿病、一部のがんを予防できることがわかっています。
運動は、一回30分息が弾むくらいの有酸素運動を週2〜5回、有酸素運動に合わせて週2〜3回筋力トレーニングを行うとより効果的です。また、室内で僅かな空き時間でもできる、関節可動域を広げるストレッチを習慣化することもおすすめです。
ただし、普段、運動しない方や久しぶりに運動する時は、軽い強度と短めの時間から始め、4~6週間は強度をそのままに徐々に時間を延ばして筋力を上げていきましょう[7]。
身体だけではない!心の健康も大切
実は、急性心筋梗塞をはじめとする循環器疾患は、老化や高血圧、喫煙、肥満、糖尿病など血管の動脈硬化をきたす疾患が原因とされていますが、発症の引き金としてストレスやうつなどの影響が大きいことが知られています。
ストレスを溜めない暮らしを実現させるために規則正しい生活、バランスのとれた食事、良質な睡眠、適度な運動などの習慣を維持することが基本です。
日常生活の中で、もしストレスがたまったら好きな音楽を聞く、軽くストレッチするなどリラックスできる時間を作ってみましょう。それでもなおつらいとき、困ったときは考え方やものの見方を少し変えてみるだけで、気持ちが少し楽になることがあります。また、信頼できる人に相談することもおすすめです[8,9]。
まとめ
老後も元気に過ごすためには、なるべく早く生活習慣を改善することが大切です。まずはできそうなことから少しずつ改善していきましょう。
【参考文献】(すべて2022年11月13日閲覧)※外部サイトに遷移します
[4]厚生労働省:日本人の食事摂取基準(2020年版)|糖尿病
[5]厚生労働省:日本人の食事摂取基準(2020年版)|炭水化物
[6]厚生労働省:日本人の食事摂取基準(2020年版)|脂質異常症
[8]厚生労働省:e-ヘルスネット|心筋梗塞発症の危険因子:抑うつとストレス
[9]厚生労働省:みんなのメンタルヘルス|ストレスをためない暮らし方
【プロフィール】管理栄養士 落水陽香里
調剤薬局の管理栄養士として栄養指導業務を経験後、フリーランス管理栄養士として独立。糖尿病や高血圧などで厳しい食事制限がある方を対象に「どんな状況でも食事を楽しめるような栄養指導」をコンセプトに個別の食事サポートしている。また、管理栄養士にとって就職後スキルアップする場が少ないことを痛感し、自信を持って栄養指導をするための専門家向け通信講座を開講中。
記事提供:リンクアンドコミュニケーション
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