2022.08.05
病気の予防ができる食物繊維って?何を食べたら良いの?
毎日の食事で食物繊維を摂ることを意識できていますか?
食物繊維とは、小腸で消化・吸収されずに大腸まで達する食品成分のことです。便秘の予防をはじめとする整腸作用だけでなく、さまざまな病気の予防に貢献することが明らかにされています。日本人の多くが不足している現状がありますが、工夫次第で摂取量を増やすことができます。
今回は、食物繊維を豊富に含む食品や効率良く摂取するための方法を紹介していきます[1]。
食物繊維の摂取で病気が予防できるって本当?
食物繊維を摂取することが、心筋梗塞や脳卒中などの循環器疾患、2型糖尿病、がんの発症の予防につながることが明らかにされています。
日本人の平均食物繊維摂取量は、1950年頃には1人あたり1日20gを超えていましたが、穀類、いも類、豆類の摂取量の減少に伴い減少傾向にあります。最近の報告によれば平均摂取量は1日あたり14g前後と推定されていますが、厚生労働省策定の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、1日あたりの目標量は、18~64歳で男性21g以上、女性18g以上となっています[1,2]。
食物繊維を摂るためにはどうしたら良いの?
2つの食物繊維の種類を意識しよう!
食物繊維は、野菜類、穀類、豆類、きのこ類、いも類、海藻類、種実類、果物に多く含まれています。大きく分けて、不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の2種類がありますが、種類によって働きが違うため、不溶性・水溶性のどちらか一方を摂取するのではなく、さまざまな食品を組み合わせて両方をバランス良く摂取することが大切です。
水溶性食物繊維は水に溶けてドロドロの状態になることで小腸や大腸内に張り付いたコレステロールや糖質などの栄養素の吸収をおだやかにする働きがあります。一方、不溶性食物繊維は水に溶けずに水分を吸収して便のかさを増やす働きがあります。
食物繊維を効率良く摂取する3つのポイント
(1)野菜は加熱する
野菜は生のままだとかさが多く、たくさん摂ることができないため、加熱してかさを減らしましょう。その方が効率的に食物繊維を摂取することができます。
(2)全粒穀物をとる
食物繊維が多く含まれている未精製の全粒粉や玄米、大麦などを主食にすると効率良く摂取できます。
(3)乾物をとる
栄養素が凝縮している乾物を摂取することで食物繊維も効率良く摂取できます。日々の食事に簡単に取り入れられる切り干し大根、干しシイタケ、きな粉などがおすすめです[3]。
毎日の食事で食物繊維を摂るための工夫を!
食物繊維の摂取で病気の予防ができることをおわかりいただけましたでしょうか。食物繊維は、意識しないと不足しやすい栄養素です。まずは、毎日の食事に食物繊維を豊富に含む食品を取り入れることから始めてみましょう。
【参考文献】(すべて2022年4月28日閲覧)※外部サイトに遷移します
[2]厚生労働省:日本人の食事摂取基準2020年版|炭水化物
【プロフィール】管理栄養士 落水陽香里
調剤薬局の管理栄養士として栄養指導業務を経験後、フリーランス管理栄養士として独立。糖尿病や高血圧などで厳しい食事制限がある方を対象に「どんな状況でも食事を楽しめるような栄養指導」をコンセプトに個別の食事サポートしている。また、管理栄養士にとって就職後スキルアップする場が少ないことを痛感し、自信を持って栄養指導をするための専門家向け通信講座を開講中。
記事提供:リンクアンドコミュニケーション
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