2022.07.01
本当に怖い心筋梗塞!予防する・原因になる食事とは?
心筋梗塞と聞くと、とても怖いイメージをもつ方が多いのではないでしょうか。心筋梗塞は、そのイメージ通り主に動脈硬化によって心臓の血管が詰まり、突然死に関わる病気です。
心筋梗塞のリスクが高いのは、LDLコレステロール値が高い、高血圧がある、メタボリックシンドロームなどの心臓の動脈硬化が進行しやすい疾患がある方なので、当てはまる場合は特に注意が必要です。今回は、心筋梗塞を予防するための食事のポイントやそのほかにできる予防法について解説していきます[1]。
心筋梗塞を予防する食事の5つのポイント
心筋梗塞を予防するためには、危険因子となる高血圧、脂質異常症による動脈硬化の発症予防に努めることが大切です。これらを視野に入れ、心筋梗塞の発症リスクを下げるために意識したい5つのポイントを紹介します。
(1)食べ過ぎない
食べ過ぎによる肥満は、心筋梗塞の発症を促進することが明らかにされているため、適正な体重を維持する必要があります。健康を維持し心筋梗塞を予防する適正な体重は、最も疾病の少ないBMI 22を基準とする標準体重(理想体重)を参考に、個人ごとに決定する必要があります。必ずしもBMI 22が適正体重であるとは限りませんが、BMIが22よりも高い方は、減量の必要性があると言えるでしょう。しかし、BMIは低ければ良いというわけではなく、BMI 18.5以下の痩せすぎも心筋梗塞の発症リスクを高めてしまいます。 BMIは、体重÷身長(m)×身長(m)で計算できます。この機会に一度自分のBMIを計算して日々の食事を見直してみましょう [2] 。
(2)塩分を控える
心筋梗塞の発症リスクを下げるためには、高血圧を予防することが大切です。食塩に含まれるナトリウムの過剰摂取が血圧上昇に関連していることが多くの研究で明らかにされています。
健康な日本人の成人男女が当面目標とすべき1日の食塩摂取量は男性7.5g未満、女性6.5g未満とされています。既に高血圧と診断されている方は重症化予防のために1日6g未満が推奨されています。高血圧予防には食事で塩分を控えるのが大切ですが、単に塩分を減らすだけだと食事が美味しくなくなり継続ができません。食事は毎日のことなので美味しく減塩するためにお酢や柑橘類、香辛料や香味野菜などを使って味にメリハリをつけてみましょう。また、麺類の汁をなるべく残すことや調味料のかけすぎを避けることにも注意を向けてみましょう[3]。
(3)食物繊維を積極的にとる
食物繊維の摂取量は、心筋梗塞の発症リスクに関連していることが明らかにされています。食物繊維のなかでも粘調度の高い水溶性食物繊維(ペクチン・マンナン・β-グルカンなど)は、血液中のコレステロールを低下させる作用があるため、心筋梗塞のリスクを上げる脂質異常症の予防に役立つ栄養素の1つです。食物繊維を多く含む食品として全粒の穀類、野菜類、豆類、果物、ナッツ類などがあります[2]。
(4)抗酸化物質をとる
細胞にダメージを与える活性酸素の発生や働きを抑制させる抗酸化物質の摂取により、心筋梗塞の予防ができることが報告されています。食品に含まれる代表的な抗酸化物質は、ビタミンE、ビタミンC、カロテノイド(β-カロテンなど)、ポリフェノール(カテキン、アントシアニン、イソフラボン、クロロゲン酸など)です。野菜、果物、茶、穀物などに含まれているため、毎日の食事に積極的に取り入れてみましょう[2]。
(5)ほどほどの飲酒量にする
少量の飲酒は心筋梗塞の発症を低下させますが、大量の飲酒習慣は心筋梗塞のリスクを高めることが報告されています。
ほどほどの飲酒量とは、およそ日本酒1合、ビール中瓶1本、焼酎半合、ウィスキーダブル1杯、ワイン2杯に相当します。飲酒習慣がある方は、一度普段の飲酒量を見直してみましょう[2]。
心筋梗塞を起こす原因になる食べ物があるって本当?
マーガリンやショートニングなどの食品に含まれているトランス脂肪酸や脂身が多い肉類などに含まれる飽和脂肪酸を過剰に摂取するとLDLコレステロール値が上昇し、心筋梗塞の発症リスクを上げてしまう可能性があります[4,5]。
心筋梗塞のリスクを上げる疾患の早期発見も大切!
心筋梗塞は、毎日の生活習慣の改善で予防ができる病気です。食事改善以外にも禁煙、運動習慣、休養(ストレス)などさまざまな面から生活習慣を見直してみてください。
また、心筋梗塞の原因となりやすい高血圧や脂質異常症になるべく早く気づくためにも、定期的に健康診断を受けるようにしましょう。
【参考文献】(すべて2022年4月19日閲覧)※外部サイトに遷移します
[1]厚生労働省:e-ヘルスネット|狭心症・心筋梗塞などの心臓病(虚血性心疾患)
【プロフィール】管理栄養士 落水陽香里
調剤薬局の管理栄養士として栄養指導業務を経験後、フリーランス管理栄養士として独立。糖尿病や高血圧などで厳しい食事制限がある方を対象に「どんな状況でも食事を楽しめるような栄養指導」をコンセプトに個別の食事サポートしている。また、管理栄養士にとって就職後スキルアップする場が少ないことを痛感し、自信を持って栄養指導をするための専門家向け通信講座を開講中。
記事提供:リンクアンドコミュニケーション
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