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2022.04.14

更年期はコレステロールが上昇!?知っておきたい対策とは?


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閉経前後の女性の多くが経験し、さまざまな身体の不調が起こることが知られている更年期障害。実はその不調のなかにLDLコレステロール値の上昇が含まれていることをご存知でしょうか。脂質異常症の発生頻度は、50歳以前では女性より男性の方が高いにも関わらず、50歳以降はそれが逆転する傾向があります。

LDLコレステロールには、肝臓で作られたコレステロールを全身に運ぶ役目があります。増えすぎると血管壁に溜まり、さまざまな病気に繋がる血栓を作る原因となるため、悪玉コレステロールと呼ばれています。

健康診断の数値が正常範囲内(140mg/dl未満)の場合は問題ありませんが、これよりも高値の場合、動脈硬化が進行しやすく、心筋梗塞や狭心症・脳梗塞などといった病気のリスクが高まることが明らかにされています[1, 2]。

そこで今回は、脂質異常症の一つである高LDLコレステロール血症を防ぐ食事法、運動法について紹介します。

更年期にLDLコレステロールが上昇するのはなぜ?

そもそも、なぜ更年期の女性はLDLコレステロールが上昇しやすいのでしょうか?それは、更年期に起こる女性ホルモン(エストロゲン)の減少が関連すると考えられています。エストロゲンは脂質代謝に関わっており、閉経前後にエストロゲンが急激に減少することにより、LDLコレステロールが上昇すると言われています。

また、更年期の時期は、子どもの独立や介護、仕事上の立場などの環境も大きく変わる時期であるため、食生活を含めたライフスタイルが変化し、脂質代謝に影響を与えているのではないかと考えられます[2]。

高値になる前に対策を!

年齢や環境の影響なら仕方がないと諦める前に、LDLコレステロールの上昇を防ぐためにできる対策があります!それは、食生活・生活習慣の改善や運動習慣の改善です。高値になってしまった後に対処するのではなく、日頃から意識をして予防に取り組むことが大切です。

そこで、次はすぐにできる実践方法について詳しく解説していきたいと思います。

すぐに実践!高LDLコレステロール血症を防ぐ食事法

まずは1日でも早く意識したい、高LDLコレステロール血症を防ぐ食事法のポイントを6つご紹介します[3, 4]。

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(1)食べ過ぎない

最近、お腹周りが気になったり、体が重く感じたりすることはありませんか?体重増加は大きなリスクの一つです。

適正体重は、身長(m)×身長(m)×22で計算するとわかります。もし、現在の体重が適正体重よりも重い場合は、この適正体重を保つために食べ過ぎないように意識しましょう。常に腹8分目を意識するのがおすすめです。

(2)脂身が多い肉類や乳製品の脂をとりすぎない

鶏肉の皮、ラード、牛脂などに含まれる肉類の脂身や、バターや生クリーム、牛乳などに含まれる乳脂肪には、血中コレステロールを上げる作用のある飽和脂肪酸が多く含まれているので注意が必要です。脂身の多い肉を控え、赤身肉や脂身をとり除いた肉を食べるように心がけましょう。乳製品は低脂肪乳や無脂肪を選ぶのがおすすめです。

(3)マーガリンやショートニングをとりすぎない

揚げ物類やスナック菓子、パイ菓子やクッキー類などの市販の洋菓子類は食べすぎないよう注意が必要です。近年は含まれる量が減ってきてはいますが、マーガリンやショートニングに含まれているトランス脂肪酸は、とりすぎるとLDLコレステロール(悪玉コレステロール)が増加し、体内の不要なコレステロールを減らしてくれるHDLコレステロール(善玉コレステロール)が減少してしまう恐れがあることが明らかにされています。

(4)食事からのコレステロールの摂取量を減らす

卵類(鶏卵や魚卵)、内臓類(レバーやモツ)などのコレステロールを多く含む食材を食べる習慣がある方は、しばらく食べないようにするか、量を減らしてみましょう。食事からコレステロールをとりすぎると、LDLコレステロールが上昇することが明らかにされています。ただし、ある程度LDLコレステロール濃度が下がったら、2~3日に1回程度は食べても大丈夫です。

(5)DHA、EPAを豊富に含む魚を積極的にとる

青魚の油に多く含まれるDHAやEPAは、血液中のLDLコレステロールを減らし、血液を固まりにくくしてくれます。特にDHA、EPAが豊富に含まれるサバ、イワシ、サンマなどの魚を積極的に食卓に取り入れることをおすすめします。

(6)野菜類、きのこ類、海藻類などから食物繊維をしっかりとる

食物繊維は、体内のコレステロールを便と一緒に排泄してくれるため、LDLコレステロールの低下が期待できます。主食を精製度の低い玄米、胚芽米や麦飯、全粒粉のパン、ライ麦パン、蕎麦などにすると効率よく食物繊維が摂取できます。加えて、毎食ごとに野菜・海藻・きのこ・芋・豆など食物繊維の多い食材を使ったおかずを取り入れてみましょう。

運動にもチャレンジ!

現在、運動習慣はありますか?実は、運動を行うことで、予防につながるだけでなく、すでにLDLコレステロール値が高くて悩んでいる方も改善が期待できます。高LDLコレステロール血症の改善や予防におすすめの運動は、有酸素運動です。

有酸素運動の種目、目安となる運動時間・頻度、強度については次の通りです。

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1回の運動では、高LDLコレステロール血症の改善や予防は期待できないので数ヵ月以上長期的に続けられるようにしましょう[5]。

まずは、日々の生活習慣をよく見直してみましょう

食事と運動で予防や改善が期待できることを知っていただけましたでしょうか。女性はもちろん、男性も食事習慣や運動習慣の見直しをすることが大切です。

食生活の改善や運動は、継続しないとなかなか望む効果を発揮してくれません。よって、いきなり高すぎる目標を立てるのではなく、まずは毎日継続できそうな小さな目標を立てることから始めましょう。

【参考文献】(すべて2022年2月20日閲覧)

[1]厚生労働省: eヘルスネット|LDLコレステロール

[2] 堂地 勉 他: 日本産科婦人科学会雑誌, 13.閉経後脂質異常症(E.婦人科疾患の診断・治療・管理,第6回学術講演会生涯研修プログラム,研修コーナー), 2009; 61(10): N-520

[3]厚生労働省: e-ヘルスネット|脂質異常症(実践・応用)

[4]厚生労働省: 日本人の食事摂取基準2020年版|脂質異常症

[5]厚生労働省: e-ヘルスネット|脂質異常症を改善するための運動

【プロフィール】管理栄養士 落水陽香里

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調剤薬局の管理栄養士として栄養指導業務を経験後、フリーランス管理栄養士として独立。糖尿病や高血圧などで厳しい食事制限がある方を対象に「どんな状況でも食事を楽しめるような栄養指導」をコンセプトに個別の食事サポートしている。また、管理栄養士にとって就職後スキルアップする場が少ないことを痛感し、自信を持って栄養指導をするための専門家向け通信講座を開講中。

記事提供:リンクアンドコミュニケーション

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