2022.03.11
高血圧を放置するとどうなる?今すぐできる予防のための食事と運動
みなさんは、高血圧の予防や改善のために気を付けていることはありますか?今や国民の2人に1人は高血圧と言われるほど、多くの日本人の悩みとなっている血圧。自覚症状が少ないため気が付かないうちに進行していることも多く、放置しているとさまざまな疾患に繋がる可能性があります。
高血圧の予防・改善には日々の食習慣や運動習慣を見直すことが大切です。この記事では、高血圧対策としてすぐにできる食事法や運動法などの生活習慣についてわかりやすく解説していきます[1]。
自覚症状が少ない高血圧、放置すると危険な理由とは?
高血圧は、はじめのうちは自覚症状を伴わないことがほとんどです。しかし、自覚症状がないからと放置するとさまざまな病気に繋がり、命にかかわることもあります。
知らないうちに高血圧が悪化してしまうと、動脈硬化を引き起こし、心臓では狭心症、心筋梗塞、心不全などの原因に、脳では、脳梗塞、脳出血などの脳血管疾患障害や認知症などの原因になることが明らかにされています。症状がなくても定期的に検査・治療をし、生活習慣を改善しましょう[1]。
今すぐできる!高血圧予防のための食生活改善
高血圧を予防するためには食事の偏りを見直すことが大切です。今すぐできることから少しずつ始めていきましょう。
高血圧予防の食生活改善において大切な4つのポイントをご紹介します。
(1)減塩をする
高血圧予防と聞くとすぐに減塩と思いつく方が多いのではないでしょうか。“減塩食”=“まずい”とイメージする方もいらっしゃると思いますが、必ずしもそういうわけではありません。
お酢や柑橘類、香辛料や香味野菜などで味にメリハリをつけることで塩分が少なくても物足りなさが無くなり、美味しく減塩ができます。また、普段麺類のスープを全部飲んでいる方は、残すだけでかなりの減塩が期待できます[2]。
(2)食べ過ぎに注意して適正体重を維持する
エネルギーの過剰摂取は、肥満を生じて高血圧の発症・増悪に関連しているという報告があります。肥満の方は、標準体重の方に比べて高血圧になるリスクが2倍にもなります。近年の研究では、約4kg体重を減らすことにより収縮期血圧で-4.5mmHg、拡張期血圧で-3.2mmHgの血圧低下の報告がされています。まずは、BMIが25kg/㎡以上の方は、高血圧予防のためにもダイエットをすることから始めてみましょう。
さらに、内臓脂肪の増加は高血圧を合併しやすいので、ウエスト周囲長男性85cm未満、女性90cm未満を維持することも大切です。今すぐできることとして常に腹8分目を意識して食事をし、少なくても週1回は体重を測るようにしましょう[1,2]。
(3)ほどほどの飲酒量にする
飲酒習慣は血圧上昇の原因となります。飲酒習慣がある方が飲酒制限をすることで1~2週間のうちで血圧低下が認められています。
“ほどほどの飲酒量”とはどのくらいなのかというと、およそ日本酒1合、ビール中瓶1本、焼酎半合、ウィスキーダブル1杯、ワイン2杯に相当、女性は一般的に男性よりも小柄でアルコール代謝能力が低いことから男性の半分に制限するようにしましょう[1]。
(4)野菜や果物を積極的にとる
野菜や果物類に豊富に含まれるカリウムには、体内のナトリウムの排泄を促進する働きがあることから、野菜や果物などカリウムが豊富な食材を積極的に摂ることで高血圧予防が期待できます。野菜料理は毎食取り入れるようにしましょう。生野菜よりもレンジで加熱すると量が減り、たくさん食べることができます。野菜摂取量の目安は1日あたりで小鉢5~6杯です。果物類はバナナ1本かオレンジ1個を目安に食べることをおすすめします[2,4]。
高血圧を予防するために、運動は何をしたらいいの?
習慣的に有酸素運動を行うことによって収縮期血圧が-3.5mmHg、拡張期血圧は-2.5mmHg低下すると言われています。運動療法には以下のような運動種目・時間・強度がおすすめです。
また、上記のような運動を急に始めると体に負担がかかってしまうため、まずは日常生活のなかで身体活動量を増やすことから意識してみましょう[1,3]。
毎日の食事、運動習慣を見直して高血圧を予防しましょう
高血圧は毎日の生活習慣を見直すことによって予防ができます。年齢を重ねても元気で楽しく過ごせるように今のうちからできることを少しずつ始めましょう。
【参考文献】(すべて2022年1月22日閲覧)*外部サイトに遷移します
[3]厚生労働省: eヘルスネット|高血圧症を改善するための運動
[4]厚生労働省: 日本人の食事摂取基準2020年版|高血圧
【プロフィール】管理栄養士 落水陽香里
調剤薬局の管理栄養士として栄養指導業務を経験後、フリーランス管理栄養士として独立。糖尿病や高血圧などで厳しい食事制限がある方を対象に「どんな状況でも食事を楽しめるような栄養指導」をコンセプトに個別の食事サポートしている。また、管理栄養士にとって就職後スキルアップする場が少ないことを痛感し、自信を持って栄養指導をするための専門家向け通信講座を開講中。
記事提供:リンクアンドコミュニケーション
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