2025.04.16

オーラルフレイルを放置しないで!口の機能低下を防ぐ3つの予防法


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最近、食事中にむせたり、口が渇いたりすることはありませんか? 普段、当たり前に使っている口の機能は、案外意識しにくいものです。しかし、口の健康は心身の健康にも深く関わっています[1]。

本記事では、オーラルフレイルを予防する方法について詳しく解説します。

“オーラルフレイル”って?

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口の機能は、年齢を重ねるとともに衰えますが、足腰の老化に比べると気づきにくいものです。
食べ物が噛みにくくなった、飲み込むときにむせやすくなった、歯が抜けたままになっているなどの、口の機能が衰えた状態を”オーラルフレイル”といいます。“オーラル”は口、“フレイル”は虚弱を意味する造語です[1]。

オーラルフレイルを放置するとどうなるの?

噛みにくさや飲み込みづらさを年のせいとあきらめ、硬いものを避けたりすることで、食べられるものが限られ、栄養不足につながります。これにより、全身の免疫機能が低下し、体重の減少や筋肉量の低下を引き起こします。

さらに、筋肉量が低下すると、外出や人との付き合いを避けるようになり、心身の機能も衰えてしまいます。

このように、口の機能の衰えが全身の健康にも影響を及ぼす悪循環が生じてしまうのです。オーラルフレイルになった人は、ならなかった人と比べて2.4倍も要介護になりやすいと報告されています[1,2]。

オーラルフレイルは予防できる?

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日本歯科医師会「オーラルフレイル対応マニュアル2020」では、口に関するささいな衰えに早めに気づき、適切な対応をすれば、健康な状態に戻せるとされています 。オーラルフレイル予防は、日常的に口の健康を意識することから始まります[1]。

次の6つの症状に当てはまらないか要チェック!

まずは、日本歯科医師会が提唱する6つの”ささいな症状”をチェックしてみましょう。

・1つでも当てはまれば口腔機能の低下が疑われます。

1.むせる・食べこぼす
2.食欲がない・少ししか食べられない
3.柔らかいものばかり食べる
4.滑舌が悪い・舌が回らない
5.お口が乾く・お口のニオイが気になる
6.自分の歯が少ない・あごの力が弱い[1]

オーラルフレイルを予防する3つの大切なこと

口の健康は、自覚しないまま悪化することがあります。オーラルフレイルの予防には、口の健康に関する十分な知識や情報を理解することが大切です。ここからは、日本歯科医師会が推奨するオーラルフレイル予防を3つ解説します[1]。

1.かかりつけ医を持ちましょう

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自分の口で食べ、話し、笑うことは、生涯を通じて続けていきたいことです。歯科医師は、小児から高齢者まで継続的に口腔の健康を管理する存在です。定期的に相談できる“かかりつけ医”を持つことが重要です[1]。

2.口のささいな衰えに気をつけましょう

「硬いものを避けよう。やわらかいものが消化に良い」と思っているうちに自覚せず、口の機能が低下することがあります。
オーラルフレイルの悪循環を防ぐためにささいな口の衰えを放置しないことが重要です[1]。

3.バランスのとれた食事をとりましょう

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65歳以上の高齢者を対象とした4年間の調査では、10の食品群を多様に摂取している人ほど、筋肉量が多く、握力や歩行速度が高いことが報告されています。オーラルフレイルは、身体能力の衰弱である全身のフレイルとも関連するため、食品の多様性を意識しましょう。

「オーラルフレイル対応マニュアル」では、10食品群の摂取頻度を把握するための指標を示しています。10の食品群は、「さあにぎやかにいただく」という語呂合わせで覚えやすくまとめられています。対象となる食品は次のとおりです。

さ(魚)
あ(油)
に(肉)
ぎ(牛乳・乳製品)
や(野菜)
か(海藻)
(に)なし
い(芋)
た(卵)
だ(大豆)
く(果物)

この中から、1週間で毎日食べている食品を1点、食べない日がある食品を0点とし、合計点を算出します。10点が満点で、7点以上が食品の多様性が高いと報告されています。7点未満の人は、今日から7点以上を目指しましょう[1,3,4]。

オーラルフレイルを放置しないで!

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口の機能低下を放置すると、将来的に心身の健康にも悪影響を及ぼす可能性があります。まずはそのことを正しく理解することが、予防の第一歩です。理解を深めることで適切な対策をとることができ、将来の介護予防へとつながっていきます。6つのチェックを見逃さず、3つの予防策を日常生活に取り入れ、いつまでもおしゃべりに花を咲かせられる健康なお口“健口”を目指しましょう。

【参考文献】(すべて2025年2月21日閲覧)※外部サイトへ遷移します。

[1] 日本歯科医師会:通いの場で活かすオーラルフレイル対応マニュアル2020年版

[2] 厚生労働省:e-ヘルスネット, 口腔機能の健康への影響

[3] Yokoyama Y, et al. Dietary Variety and Decline in Lean Mass and Physical Performance in Community-Dwelling Older Japanese: A 4-year Follow-Up Study. J Nutr Health Aging. 2017; 21(1): 11-16.

[4] 東京都福祉局:「食べる」フレイル予防

【プロフィール】管理栄養士・学術修士(医療・福祉マネジメント)なかがわ けいこ

乳幼児から高齢者まで各ライフステージの栄養指導を経験。現在も科学的根拠に基づいたアドバイスをモットーに、現実的で続けやすく、豊かな食生活が送れるようなプランを考え食事のサポートしている。また、生活習慣病や高齢者の健康の情報発信としてコラムの執筆活動も行っている。

記事提供:株式会社Wellmira

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株式会社Wellmira ※外部サイトへ遷移します。

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