2022.08.08
お茶で生活習慣病が予防できるって本当?お茶が大好きな管理栄養士が解説!
毎日お茶を飲む習慣はありますか?実は、日本人にとって身近な飲み物であるお茶が糖尿病や高血圧、脂質異常症といった生活習慣病の予防に良いと言われ、世界から注目を集めています。しかし、本当にお茶で生活習慣病が予防できるのでしょうか?今回は、その真偽について管理栄養士が解説していきます。
お茶が生活習慣病予防に注目されている理由
お茶には、渋み成分のカテキン、アミノ酸の1種でうまみ成分であるテアニン、神経興奮や利尿作用があるカフェイン、ビタミンC、カリウムなどさまざまな栄養成分が含まれます。お茶のなかでも緑茶はカテキンが豊富で、カテキンには動脈硬化を引き起こす原因となる活性酸素を取り除いて体内の酸化を抑える強い抗酸化作用があることから、生活習慣病予防に貢献することが注目されています。そのほかにもカテキンには、抗菌・殺菌作用、抗ウイルス作用、抗アレルギー作用、LDLコレステロール低下作用、体脂肪低減作用などもあることが明らかにされています[1]。
お茶を多く飲む習慣がある人の方が、生活習慣病にかかるリスクが低くなるのかを検証するために、これまでにさまざまな研究が行われてきました。
そのなかでも今回は、生活習慣病の大きなリスク要因の1つである高血圧の予防・改善とお茶の関係に注目して行われた研究を紹介します。
本当にお茶で高血圧が改善できるの?
高血圧は、放置すると狭心症、心筋梗塞などの心血管疾患や脳卒中といった疾病を招くことが明らかにされています。
お茶の摂取が血圧に与える影響を調べた研究をまとめた報告によると、12週間以上の長期間習慣的にお茶を飲んだ場合、収縮期血圧と拡張期血圧どちらも低下することが明らかにされています。ただし、お茶を短期的に飲んだ場合は血圧に影響が見られませんでした。
また、お茶の種類による違いを緑茶と紅茶で比較した場合、どちらも12週間摂取した場合は血圧の低下が見られました。お茶の種類による差はほとんど無く、お茶を飲まない人と、習慣的にお茶を飲んでいる人を比較した場合、お茶を習慣的に飲んでいる人の方が心血管疾患や脳卒中などの生活習慣病のリスクが低下することが明らかにされています[2]。
毎日取り入れたいお茶の楽しみ方
健康のために毎日お茶を取り入れるとしても、せっかくなら美味しく淹れることができたら嬉しいですね。ここでは、日本でよく飲まれている緑茶で、程よい渋みと爽やかな香りが特徴の“煎茶”と甘みとコクのある味わいが特徴の“玉露を”美味しく淹れるための茶葉の量、お湯の温度・量、浸出時間ついて、次の表に示します。
美味しい緑茶を淹れるためにはカルシウムやミネラルを含まない軟水を使用することがおすすめです。
健康的な食事にお茶をプラスして生活習慣病予防を!
身近な飲み物であるお茶には、嬉しい働きがあることをおわかりいただけましたでしょうか。生活習慣病の予防のためには、まずは食事全体や運動習慣を見直すことが大切です。基本的な生活習慣病予防に加えて、甘いジュースや炭酸飲料などを飲む習慣がある方は、無糖のお茶に切り替えることから取り組んでみてはいかがでしょう。この機会に生活習慣を見直してみましょう。
【参考文献】(すべて2022年4月22日閲覧)
[1]日本カテキン学会:カテキンの効果・作用 ※外部サイトに遷移します
【プロフィール】管理栄養士 落水陽香里
調剤薬局の管理栄養士として栄養指導業務を経験後、フリーランス管理栄養士として独立。糖尿病や高血圧などで厳しい食事制限がある方を対象に「どんな状況でも食事を楽しめるような栄養指導」をコンセプトに個別の食事サポートしている。また、管理栄養士にとって就職後スキルアップする場が少ないことを痛感し、自信を持って栄養指導をするための専門家向け通信講座を開講中。
記事提供:リンクアンドコミュニケーション
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