メニュー閉じる

リンククロス シル

リンククロス シルロゴ

2018.11.28

「疲れ」がいつまでも取れない人の根本原因|重要なことは「疲れ」からの急速な回復だ


いつも疲れが取れないと感じている人へ、生活習慣を改善しリカバリーを実感できる3ステップを紹介します(写真:iStock/LeoPatrizi)

いつも疲れが取れないと感じている人へ、生活習慣を改善しリカバリーを実感できる3ステップを紹介します(写真:iStock/LeoPatrizi)

重要なことは「疲れない」ことではなく「疲れからの急速な回復」だ――。疲労の仕組みやリカバリー(回復)方法について、多くのスポーツ選手や経営者の肉体改造に携わるデポルターレクラブ代表の竹下雄真氏の著書『ビジネスアスリートが実践する 最強のリカバリー術』(監修:本間龍介医師)を基に、生活習慣を改善させる3ステップを紹介します。

『ビジネスアスリートが実践する 最強のリカバリー術』 ※外部サイトへ遷移します

いったい、なぜ、現代人の疲労は取りにくいのか。

これを考える前に、疲労についてまずはしっかり定義する必要がある。

疲労とは、風邪や頭痛などと同じように、現代人にとっては当たり前すぎて、取り立てて気にしていないという人も多いが、実は、とても奥が深い。そもそも疲労にはいくつかの種類がある。大きく分ければ、「肉体的」「精神的」「神経的」な疲労だ。

1 肉体的な疲労

筋肉を動かすためのエネルギーが不足し、だるさや筋肉の張りなどが起こっている状態のこと。日頃から運動不足だったり、デスクワークで同じ姿勢を長時間とり続けていたりすることによって起こる。反対に、過度の運動や重労働を続けたことにより、筋肉が疲労していることもある。

2 精神的な疲労

ストレスを原因として心が疲弊している状態のこと。人間関係のトラブルや家庭の不和、仕事での緊張やプレッシャーなどが引き金となっていることが多い。不眠、食欲不振、イライラ、憂うつなどを伴うことが多く、”うつ状態”に似ている。

3 神経的な疲労

長時間デスクワークをしたり、細かい作業をしたりすることによって、目や脳の神経が過度に緊張した状態が続くことによって起こる。集中力が低下したり、物覚えが悪くなったりするほか、不眠や眼精疲労の原因にもなる。

現代では疲労の質が変わっている

特に近年増えているのは、神経的な疲労である。仕事でもプライベートでも、スマホを長時間使用し続けることにより、脳や視神経が過緊張の状態になっているのだ。

これら3つの疲労は単独で表れるのではなく、複合的に発生している。終日、パソコンに向かって作業をしていれば、神経的な疲労にもなるし、運動不足により肉体的な疲労も起こる。社内で人間関係のストレスに悩むことがあれば、精神的な疲労も加わるだろう。

少し前の日本では、肉体的な疲労が圧倒的に多かった。だからこそ、「寝れば疲れが取れる」「精のつくものを食べれば元気になる」という程度で、疲労はとらえられていたのだ。現在は、インターネットやスマホが広く普及しており、現代人は絶えず過密な情報にさらされることになった。

加えて、多くの企業ではリストラが加速し、成果主義の浸透や終身雇用制度の崩壊など、労働環境も大きく変化した。環境が変われば、それにさらされる人間の肉体も精神も変化するのは当然だ。つまり、社会環境の変化が、人間の疲労の質までも変えたのである。

「疲れ」と向き合ううえで大事なのは、まず、「疲労」と「疲労感」は違うと理解することだ。

難しいのは、本人がどれだけ疲れているのか、客観的に測定する”ものさし”が用意されていないということである。

現在では脳機能や血液の検査を行い、生化学的な評価を下すことによって、ある程度、信頼性の高い疲労度を測定できるようになったが、それでもまだ、本人が「どれだけ疲労を感じているか」というのは、あくまでも個人的な感覚であり、検査データと乖離することも少なくない。

つまり、「疲労」とは「物理的な体の疲れ」であり、「疲労感」とは「本人が疲れたと感じる度合い」のことであり、この2つが完全に一致していないということに、疲労を解決する難しさがあるのだ。

これはアスリートのみならず、すべての人に共通する。

たとえば、ものすごく過酷でプレッシャーのかかる仕事をしているときでも、周囲から高く評価され、やりがいを感じているなら、それほど「疲れた」という感覚を持たないだろう。

だがその一方で、単調で面白くない作業を延々と強いられたり、退屈な会議に出席したりするときには、たちまち疲れを感じるはずだ。

このように、「疲労感」という感覚は非常に主観的なものであり、本人の意欲ややる気に大きく影響を受けるのである。

良いリカバリーの条件とは?

しつこい疲れを取るために、ぜひ実践したいリカバリー法を紹介したい。

まず、「良いリカバリー」とはいったいどんなものか、定義してみよう。

「リカバリー」とは直訳すれば「回復する」「取り戻す」という意味だ。ということは、「今は一時的に失ってしまったけれど、以前は元気だったことがある」ということが前提になってくる。

ここ数年、慢性的に体調が悪く、「元気に満ちあふれていたときのことを思い出せない」という場合は、残念ながらリカバリーとはいわない。その場合は、病気を治癒することが必要になるだろう。

人間はそもそも生物学的に、30歳以降になると加齢により体力が衰えるのは当然だ。どんな一流アスリートでも、年齢の壁を越えることは難しい。

なかには頑張って現役生活を続ける選手もいるが、それでもかつての黄金時代に比べればスタミナは落ち、反射神経も衰え、「昔とは何かが違う」という違和感を覚えることはやむをえない。

だが、生活の中で上手にリカバリーの習慣を取り入れると、若かった頃の全盛期とまではいかなくても、ある程度は体力や気力を復元することができる。

疲労してもきちんと疲労回復物質を出すことができれば、疲労する以前よりも心身のパフォーマンスは向上する。つまり、「良いリカバリー」とは、「疲労」と「回復」をスムーズに繰り返すことであり、日頃から疲労回復能力をできるだけ上げておくことが、「良いリカバリー」には欠かせないのである。

リカバリーを考えるうえで大事なのは、疲れをためないということだ。

「疲れ」という負の財産は、ためればためるほど雪だるま式に膨らんで、解消するのが難しくなる。疲労はできるだけ翌日に残さず、「一晩眠ったらスッキリしている」というのが理想だ。

また、自分なりのルールを見つけておくことも、とても大切。たとえば、「起きたら必ず、常温の水を1杯飲む」とか、「夜、寝る前にストレッチを15分間行う」など、なんでもいい。

そういう小さなルールをあらかじめ決めておくと、万が一、不規則な生活が続いて体調が悪くなったとしても、そのルールを再開することで自分のペースを取り戻すことができるはずだ。

「脳をだます」ことも必要になる

それからもうひとつ、リカバリーをうまく行うためには、ときには「脳をだます」ということも必要になる。

人間の体の中で、唯一、自分でだますことができる器官は脳である。風邪をひいて、ぐったりしているときでも、「自分は元気だ」と何度も繰り返し自分に語りかけることで、いつのまにか、具合の悪さを忘れてしまうことがある。もちろん、風邪が治ったわけではない。脳に「元気だ」と思い込ませ、具合の悪さを隠してしまうのである。

「脳をだます」ということを応用して、「自分は体調を回復した」「元気を取り戻した」と、自分に何度も語りかけることも、リカバリーには大事だ。もちろん、体調が絶不調だったり、明らかに病気だったりするときには、脳をだましてもまったく意味がない。むしろ、体調を悪化させてますますリカバリーをしづらくしてしまうだろうから、その場合は考え直したほうがいい。

だが、人間とはそもそも思い込みの激しい動物であり、「なんだか体調が悪い気がする」と思えば本当に体調が悪くなることもある。実際、アスリートも試合の前には、自分自身に「俺は勝つ」「チャンスで打つ」など、鏡に向かって言い聞かせている人も、とても多い。

「勝ちたい」という希望ではなく、「勝つ」と、現在形で脳に言い聞かせることがポイントだ。

繰り返した作業は、いっそう深く脳に刻まれていく。常々、「ありがとう」「おかげさまで」という言葉が口癖になっている人は、いつも感謝の気持ちで心が満たされているだろうし、そういう穏やかなマインドはどんなときでも冷静な心を保ち、気力を充実させるのに役立つ。

脳をどんな状態でキープしたら、いつも最適なパフォーマンスを発揮することができるのか。そのためには、自分にどんな声がけをしたらいいのか。

自己流にマインドを最適化する方法について、改めて考えてみるのもいいと思う。

リカバリーとは、一朝一夕にできるものではない。

疲れのたまらない体を手に入れるため、これからリカバリーを生活習慣に取り入れようとするなら、最低でも1カ月くらいは意識して、誤った生活習慣を見直し、正しい習慣を身に付けようという心構えが必要になる。

だが、意識づけが必要なのは最初だけで、習慣としてなじんでしまえば、あとはそれほど意識しなくても日常的に行えるようになるはずだ。

3ステップのリカバリー法

僕が考えるリカバリー法は、3ステップで進める。

まずは、「悪いものを入れない」という第1ステップ。

たとえば、目の前に汚れた池があるとする。そこには絶えず排水や汚水が流れ込んでいて、どんどん汚くなっていく。

この池の水をきれいにするにはどうしたら良いか? まずは、排水や汚水が流れ込むルートを遮断することが必要だ。どれだけきれいで新鮮な水を池に注ぎ込んでも、絶えず汚い水が流れ込んでくる状態では、いつまで経っても、池の水はきれいにならない。そのため、まずは「悪いものを入れない=上流を断つ」ことが、リカバリーのファーストステップになる。

次に行うのは、「体から毒を出す」ということ。すなわち、解毒である。

先ほどの池の例で考えてみれば、排水や汚水がこれ以上流れ込んでこない状況になったら、次は、水面に浮いたゴミを取り除いたり、底にたまった泥を捨てたり、といった作業を行うだろう。

体もこれと同じで、老廃物や未消化の食べものなどが体内に蓄積している状態では、どれだけ体に良い栄養素やサプリメントを摂取したとしても意味がなくなってしまう。

『ビジネスアスリートが実践する  最強のリカバリー術』(光文社)。

『ビジネスアスリートが実践する 最強のリカバリー術』(光文社)。

クリックするとアマゾンのサイトにジャンプします ※外部サイトへ遷移します

特に現代人は、さまざまな毒性物質にさらされている。農薬、ダイオキシン、内分泌攪乱物質(環境ホルモン)などの人工的な毒もあれば、カビやウイルスなどの微生物のリスクもある。

また、食べものに含まれる添加物も体にさまざまな悪影響をもたらすことがある。

こうした毒素を体外へ排出することは、内臓機能を正常化し、代謝をスムーズにして、疲労がたまらない体を作るベースとなる。

近年はデトックスブームでもあるので、解毒の大切さや必要性は容易に想像できるだろう。

3つ目のステップは、「体に良いものを入れる」ということ。これがリカバリーの最終段階で、悪いものを断ち、体から毒素を出して、初めて体に良いものを入れるのである。

よく、「疲れが取れない」といって、慌てて強力な栄養ドリンクに頼る人がいる。だが、これはまったくの対症療法でしかなく、「疲れを感じている体」を改善するために、本質的な努力を何もしていない。

リカバリーを実践して、体の回復力が上がってくると、自然と毎日エネルギッシュに過ごせるようになり、大げさではなく、世界が違って見えるはずだ。そのためにも最低1カ月間意識して、生活習慣の見直しに取り組んでほしい。

記事画像

【あわせて読みたい】 ※外部サイトに遷移します

日本が「睡眠不足大国」に転落した3つの事情

難病を宣告された41歳男性が陥った貧困危機

キレる寸前で踏みとどまれる人の3つの習慣

提供元:「疲れ」がいつまでも取れない人の根本原因|東洋経済オンライン

おすすめコンテンツ

関連記事

視力や認知機能低下より怖い交通事故になる要因|交通事故率を下げる簡単トレーニングを紹介

視力や認知機能低下より怖い交通事故になる要因|交通事故率を下げる簡単トレーニングを紹介

「コーヒーで疲れを誤魔化し続ける人」迎える末路|疲労を忘れるメカニズム「休養学」博士が解説

「コーヒーで疲れを誤魔化し続ける人」迎える末路|疲労を忘れるメカニズム「休養学」博士が解説

「1日3分!」見るだけで認知症を予防する方法|有効視野を訓練すると脳全体が活性化する

「1日3分!」見るだけで認知症を予防する方法|有効視野を訓練すると脳全体が活性化する

【新連載】国がすすめる健康づくり対策とは?~健康日本21(第三次)を優しく解説

【新連載】国がすすめる健康づくり対策とは?~健康日本21(第三次)を優しく解説

戻る