2024.08.22
国がすすめる健康づくり対策とは?~健康日本21(第三次)を優しく解説
第6回 健康に配慮した飲酒のあり方
健康状態を改善するための個人の行動目標として、これまでに、栄養・食生活、身体活動・運動、休養・睡眠について説明しました。今回は飲酒です。
この連載について――――――――――――
2024年から始まる「健康日本21(第三次)」について、身体活動ガイドラインの策定にも関わられていらっしゃる筑波大学体育系 教授の中田由夫先生に解説していただきます。
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推奨の1日あたりのアルコール摂取量は?
アルコールは、さまざまな健康障害との関連が指摘されていて、肝障害、高血圧、心血管障害、がんと深く関連します。また、不安やうつ、自殺、事故とも関連します。
WHOの試算では、年間300万人がアルコールの有害な使用のために死亡し、全死亡に占める割合は5.3%で、糖尿病(2.8%)、高血圧(1.6%)、消化器疾患(4.5%)を上回っています。
健康日本21(第三次)では、「生活習慣病のリスクを高める量を飲酒している者の減少」を第一の目標として挙げています。具体的には、1日あたりの平均純アルコール摂取量を男性で40 g、女性で20 g以上と定義しています。
アルコール量の計算方法
純アルコール量は、摂取量(ml)×アルコール濃度(度数/100)×0.8(アルコールの比重)で計算することができます。例えば、5%のビール500 mlの場合、500(ml)×0.05×0.8=20 gとなります。
つまり、生活習慣病のリスクを高める飲酒量というのは、1日あたりの平均で、男性ではビール500 mlを2本以上、女性では1本以上ということになります。
飲み方でも工夫を
飲酒によるリスクには個人差があります。お酒を飲んで顔が赤くなるような人は、飲酒の影響を受けやすい体質ですので、ここで示されている量よりも少ない量にとどめることが望まれます。
また、1週間のうちに飲酒しない日を設けることによって、1日あたりの飲酒量を少なくすることができます。毎日飲み続けるような飲酒習慣は避けましょう。
2024年2月19日には、厚生労働省から「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」が公表されました。自らの健康を害し、周囲へ悪影響を与えるような不適切な飲酒を避け、できれば飲まない、飲むとしても適度にとどめるように配慮することが大切です。
健康に配慮した飲酒に関するガイドライン ※外部サイトに遷移します
著者:中田由夫(筑波大学体育系 教授 博士 体育科学)
2004年3月筑波大学大学院博士課程体育科学専攻修了。筑波大学大学院人間総合科学研究科助手、助教、筑波大学医学医療系助教、准教授を経て現職。食事と運動を中心とした行動変容が生活習慣病の予防および改善に及ぼす影響を明らかにする研究を進めている。
【主な論文】
Nakata Y et al. Web-based intervention to promote weight-loss maintenance using anactivity monitor: A randomized controlled trial. Preventive Medicine Reports 14:100839, 2019.
【主な書籍】
江口泰正, 中田由夫(編著). 産業保健スタッフ必携 職場における身体活動・運動指導の進め方. 大修館書店, 東京, 2018.
【主な所属学会】
日本運動疫学会(副理事長)、日本健康支援学会(理事長)、日本体力医学会(常務理事)、日本疫学会(理事)など。
記事提供:株式会社Wellmira
『世界中の誰もが、自然に健康になれる社会を創る』をミッションとし、「テクノロジー・エビデンス・専門家ネットワークを活用し毎日の健康を自然にサポートできる社会システムの構築」を目指しています。
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