2024.06.20
国がすすめる健康づくり対策とは?~健康日本21(第三次)を優しく解説
第4回 身体活動・運動による生活習慣病予防
前回は、健康状態を改善するための個人の行動目標として、栄養・食生活について説明しました。今回は、身体活動・運動について説明します。
この連載について――――――――――――
2024年から始まる「健康日本21(第三次)」について、身体活動ガイドラインの策定にも関わられていらっしゃる筑波大学体育系 教授の中田由夫先生に解説していただきます。
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身体活動とは
最初に言葉の定義ですが、「身体活動」とは、安静にしている状態よりも多くのエネルギーを消費するすべての動きを指します。日常生活において、掃除をしたり、買い物に出かけたり、といったすべての動きを含みます。
「運動」は、スポーツやフィットネスなどの健康・体力の維持・増進を目的として、計画的・意図的に行われるものを指します。運動は身体活動の一部ですが、かなり限定的であることがお分かりいただけると思います。
第1の目標は1日8000歩
身体活動・運動の目標として第一に挙げられているのは、「日常生活における歩数の増加」です。日常生活における歩数は、主として日々の生活活動を反映していると考えられますが、この歩数が多いほど、疾病罹患率や死亡率が低くなることが多くの研究で示されています。1日の目標歩数としては、8,000歩が目安となります。8,000歩を楽々クリアできる人は、10,000歩を目指してください。
第2の目標は運動の習慣化
身体活動・運動の第二の目標は、「運動習慣者の増加」です。運動は「余暇身体活動」とも呼ばれ、余暇時間に行う活動です。忙しい毎日を送っていると、1日のなかで余暇時間がほどんどない、ということもあるでしょう。そのため、まずは余暇時間を作ることから始めないと、運動の習慣化は実現できません。運動習慣を有していると、運動習慣のない人と比べて生活習慣病発症や死亡のリスクが低いことが報告されていますので、日々の歩数を増やすことに加えて、運動の習慣化を目指してください。
第3の目標は運動習慣をこどもにも!
身体活動・運動の第三の目標は、「運動やスポーツを習慣的に行っていないこどもの減少」です。身体活動・運動は、こどもに対しても、身体的・心理的・社会的に良い影響を及ぼすことが報告されています。こども時代の習慣が成人後の習慣に影響しますので、こどもが体を動かすことを楽しめるような環境づくりをしてあげたいですね。
著者:中田由夫(筑波大学体育系 教授 博士 体育科学)
2004年3月筑波大学大学院博士課程体育科学専攻修了。筑波大学大学院人間総合科学研究科助手、助教、筑波大学医学医療系助教、准教授を経て現職。食事と運動を中心とした行動変容が生活習慣病の予防および改善に及ぼす影響を明らかにする研究を進めている。
【主な論文】
Nakata Y et al. Web-based intervention to promote weight-loss maintenance using anactivity monitor: A randomized controlled trial. Preventive Medicine Reports 14:100839, 2019.
【主な書籍】
江口泰正, 中田由夫(編著). 産業保健スタッフ必携 職場における身体活動・運動指導の進め方. 大修館書店, 東京, 2018.
【主な所属学会】
日本運動疫学会(副理事長)、日本健康支援学会(理事長)、日本体力医学会(常務理事)、日本疫学会(理事)など。
記事提供:株式会社Wellmira
『世界中の誰もが、自然に健康になれる社会を創る』をミッションとし、「テクノロジー・エビデンス・専門家ネットワークを活用し毎日の健康を自然にサポートできる社会システムの構築」を目指しています。
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