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2024.04.22

【新連載】国がすすめる健康づくり対策とは?~健康日本21(第三次)を優しく解説


第2回 健康寿命の延伸と健康格差の縮小

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前回は、これまでの日本における健康づくり対策について概説しました。今回は、健康日本21(第三次)が最終的な目標としている健康寿命の延伸と健康格差の縮小について説明します。

この連載について――――――――――――
2024年から始まる「健康日本21(第三次)」について、身体活動ガイドラインの策定にも関わられていらっしゃる筑波大学体育系 教授の中田由夫先生に解説していただきます。
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健康寿命と平均寿命の差をなくしていきたい

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健康寿命とは、「日常生活に制限のない期間」であり、「自分が健康であると自覚している期間」や「日常生活動作が自立している期間」で評価されます。平均寿命と健康寿命の差は、日常生活に制限のある「不健康な期間」を意味し、2019年の調査結果では、男性8.73年、女性12.06年となっています。

 つまり、女性の場合は、例えば介護などが必要になった状態で12年ほどを過ごしているということです。

 平均寿命が延伸するなかで、健康寿命が延伸しなければ、個人の生活の質が低下し、医療費や介護給付費等の社会保障負担が大きくなります。すべての国民が健やかで心豊かに生活できる持続可能な社会の実現に向けて、健康寿命の延伸は重要な課題です。健康日本21(第三次)では、さまざまな取り組みを通じて、平均寿命の増加分を上回る健康寿命の増加を目標に掲げています。

健康格差もなくしていきたい

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健康格差とは、経済状態や教育水準、居住地域などの社会的な要因によって健康状態に差があることです。誰一人取り残さない健康づくりを展開するためには、さまざまな健康格差を把握するとともに、格差の要因を分析し、格差縮小を目指すことが重要です。

健康格差の指標としては、各都道府県別の健康寿命(日常生活に制限のない期間)が利用されます。健康寿命が上位の都道府県の延び以上に、下位の都道府県の健康寿命を延ばすことができれば、全国の健康寿命が底上げされ、健康格差を縮小できたことになります。

2019年の調査結果では、上位4分の1の健康寿命は、男性73.38年、女性76.50年であったのに対し、下位4分の1の健康寿命は、男性71.82年、女性74.63年でした。健康日本21(第三次)では、上位4分の1と下位4分の1の差を小さくすることを目標に掲げています。

具体的な取り組みについて

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では、健康寿命を延伸するためには、どのような取り組みが必要でしょうか?大きく分けると、個人の行動を変えることと社会環境を変えることのふたつがあります。次回以降、より具体的な目標内容について説明します。

著者:中田由夫(筑波大学体育系 教授 博士 体育科学)

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2004年3月筑波大学大学院博士課程体育科学専攻修了。筑波大学大学院人間総合科学研究科助手、助教、筑波大学医学医療系助教、准教授を経て現職。食事と運動を中心とした行動変容が生活習慣病の予防および改善に及ぼす影響を明らかにする研究を進めている。

【主な論文】
Nakata Y et al. Web-based intervention to promote weight-loss maintenance using anactivity monitor: A randomized controlled trial. Preventive Medicine Reports 14:100839, 2019.

【主な書籍】
江口泰正, 中田由夫(編著). 産業保健スタッフ必携 職場における身体活動・運動指導の進め方. 大修館書店, 東京, 2018.

【主な所属学会】
日本運動疫学会(副理事長)、日本健康支援学会(理事長)、日本体力医学会(評議員・編集委員)、日本疫学会(代議員)など。

記事提供:株式会社Wellmira

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『世界中の誰もが、自然に健康になれる社会を創る』をミッションとし、「テクノロジー・エビデンス・専門家ネットワークを活用し毎日の健康を自然にサポートできる社会システムの構築」を目指しています。

株式会社Wellmira ※外部サイトに遷移します

【合わせて読みたい】

第1回 日本における健康づくり対策

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