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2023.12.11

冬場に多いヒートショック!予防のためにできることとは


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寒い時期(冬場)に起こりやすい“ヒートショック”をご存知でしょうか。ヒートショックは、気温が下がり始める11月以降から多発する命に関わる怖い症状です。高齢者を中心に誰にでも起こる可能性がある症状ですが、さまざまな予防法があります。
今回は、寒い季節は特に気をつけたいヒートショックの予防法について解説します。

ヒートショックって何?

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ヒートショックとは、暖かい部屋から寒い部屋に移動した時など、温度の急激な変化で血圧が大きく変動することによって起こる健康被害のことです。
失神したり、心筋梗塞や不整脈、脳梗塞を起こすことがあり、冬場に多く見られます。特に入浴時は、暖かい部屋から、温度が低い脱衣所や浴室で衣服を脱ぎ、温かいお湯に入るという温度変化が激しく、血圧の変動が発生するため注意が必要です。
令和3年の人口動態統計によると浴槽内で亡くなった方の数は、65歳以上の方で5,097人というデータがあります。しかし、ヒートショックは、医学用語ではないので、実際にヒートショックで亡くなった方の正確な統計データはありません。厚生労働省の人口動態調査のデータから、入浴中に亡くなる高齢者の数(5,097人)は交通事故で亡くなる方(3,536人)よりも多いことが分かります[1-3]。

ヒートショックはどんな人がなりやすいの?

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ヒートショックは、誰でも発症する可能性がある症状ですが、特に65歳以上の方がなりやすいことが分かっています。高齢になると、血圧の変動が生じやすくなり、体温を維持する機能も低下するため、リスクが高まります。加えて、高血圧の方は、血圧の激しい上下変動により、低血圧症が起きやすく、意識を失う場合があるため、注意が必要です。他にも糖尿病や脂質異常症の方は、動脈硬化が進行していることがあるため、ヒートショックの影響を受けやすい場合があります。健康な方であっても、油断は禁物です。しっかりと予防に努めましょう[2]。

ヒートショックを予防するために今すぐできること

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1.脱衣所や浴室を温める

急激な温度変化を避けるため、入浴前には脱衣所や浴室を温めておくことが大切です。暖房設備がない場合は、お湯を浴槽に入れる時にシャワーを使用したり、お湯が沸いたら十分にかき混ぜて蓋を外しておくと浴室内を温めることができます。また、お湯につかる前にかけ湯を入念に行うことでもヒートショックの予防につながるでしょう。

2.こまめに水分補給をする

入浴による発汗により脱水症状や熱中症を防ぐため、入浴前に十分な水分補給
をしましょう。入浴中でも喉が渇いたらこまめに水分補給ができるように、飲み物を近くに準備しておくことも大切です。

3.食後すぐ、飲酒後、服薬後の入浴は避ける

食後に血圧が下がりすぎる食後低血圧によって失神することがあるため、食後すぐの入浴は良くないです。また、飲酒によっても一時的に血圧が下がるので、飲酒後はアルコールが抜けるまでは入浴しないようにしましょう。体調の悪い時や精神安定剤、睡眠薬などの服用後に入浴をしないこともヒートショックの予防につながります。

4.お湯の温度は、41度以下、浸かる時間は10分までにする

42度で10分入浴すると体温が38度近くに達するため、高体温による意識障害が起きる場合があります。意識障害により、浴槽から出られなくなったり、浴槽内にしゃがみ込んだりして溺水してしまうおそれがあるため、お湯の温度は41度以下、お湯につかる時間は10分までを目安にしましょう。

5.浴槽から急に立ち上がらないようにする

入浴中は、お湯で体に水圧がかかっています。その状態から急に立ち上がると体にかかっていた水圧がなくなり、圧迫されていた血管は一気に拡張してしまいます。体の血管が一気に拡張すると、脳に行く血液が減り、脳が貧血状態になることで意識障害を起こすことがあるのです。浴槽内に倒れて溺れる危険があるため、浴槽から出る時は、手すりや浴槽のへりを使ってゆっくり立ち上がるようにしましょう[2]。

ヒートショックの予防は、周りの人の協力も大切!

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ヒートショックの予防は、周りの人の協力も大切です。同居人がいる場合は、入浴前に誰かに声をかけて体調に異変があった場合、すぐに助けてもらうようにしましょう。また、高齢者と同居している場合は、高齢者の入浴中は長時間入浴している、 音がしない、突然大きな音がした、などの異常に気が付いた場合には、ためらわずに声を掛けるようにしましょう[2]。

まとめ:特に冬は、ヒートショックの対策を!

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ヒートショックは命に関わる怖い症状ですが、上記の通り、さまざまな予防法があります。特に冬の入浴時に起こりやすいので、一度、家の中の寒暖差がある場所を確認したり、浴室や脱衣所を温めるなど、まずは、できそうな予防法から始めてみましょう。

【参考文献】(すべて2023年10月17日閲覧)※外部サイトに遷移します

[1] 消費者庁:高齢者の事故に関するデータとアドバイス等

[2] 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター:冬場の住居内の温度管理と健康について

[3] 厚生労働省:人口動態調査 人口動態統計 確定数 死亡

【プロフィール】管理栄養士 落水陽香里

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調剤薬局の管理栄養士として栄養指導業務を経験後、フリーランス管理栄養士として独立。糖尿病や高血圧などで厳しい食事制限がある方を対象に「どんな状況でも食事を楽しめるような栄養指導」をコンセプトに個別の食事サポートしている。また、管理栄養士にとって就職後スキルアップする場が少ないことを痛感し、自信を持って栄養指導をするための専門家向け通信講座を開講中。

記事提供:リンクアンドコミュニケーション

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