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2023.02.06

その症状フレイルかも!高齢期を元気に過ごす食事のポイントを管理栄養士が解説


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最近、病気でもないのに痩せてきたとか、何をするのも面倒に感じるなど、このような傾向に当てはまっていませんか?もし65歳以上の方で、これらに適合する場合は”フレイル(虚弱)”への可能性があるので注意が必要です。
 
今回は、フレイルとは何か?そして、その予防のために気を付けたいこと、特に食事で意識したいポイントについて解説します。

高齢期の痩せは、なぜ危険か?

ご自身の体格指数BMI(Body Mass Index)を計算したことはありますか?BMIは、[体重(kg)÷身長(m)2]で求められる標準的な体格指数のことで、肥満や低体重(やせ)の判定に用いられます。65歳以上の場合、健康に長生きするために目標とするべきBMIの範囲は 21.5〜24.9とされています。21.5未満や最近痩せてきたという方は注意が必要です。

高齢期になると食が細くなったり、食事の準備をする気力がなくなってしまいがちです。そのような状態が続くと1日に必要な量を食べられなくなり、”低栄養”になるリスクが高まります。”低栄養”の状態になると、ウイルスに対する抵抗力が弱まり病気にかかりやすくなってしまいます。次第に体力も低下し、外出がおっくうになり人と会う機会が減ることで、心の健康まで影響を及ぼすことが考えられます。
高齢期の痩せ・低栄養から生じる体力と気力の低下は、フレイルに陥る入り口となる可能性があります。それではフレイルについて詳しく説明していきます。 [1,2,3]。

元気に長生きするために避けたい”フレイル”とは?

フレイルとは健康な状態と要介護状態の中間の段階のことをいい、大きく次の3つに分類されます。一つ目は“身体的フレイル”で加齢に伴い筋力が低下し、移動が困難になるなどの状態です。二つ目は“精神・心理的フレイル”で仕事を退職したことや、パートナーとの死別などが原因で引き起こされる、うつや軽度の認知症の状態をいいます。三つ目は“社会フレイル”で加齢により社会との関わりが薄くなることで生じる、独居や経済的に困難な状態をいいます。

この3つのフレイルは、いずれの状態から始まるかは人によりさまざまですが、3つが連鎖しながら進行することで自立度が一気に低下します。また、フレイルは“生活の質”(Quality Of Life:QOL)を落とすのみならず、さまざまな合併症を引き起こす原因となり、機能低下や死亡する危険性を高めることが明らかになっています。
“社会参加しながら毎日を送る”そんな高齢期を過ごすには、フレイルの予防・対策が肝心です。フレイルの傾向になるべく早く気づき、早急に対策をしていくことが大切です。 [4,5]。

フレイル予防のために取り組みたい3つのこと

フレイル予防の3つの柱は“身体活動”、“社会参加”、“栄養”です。この3つの柱は1つでも欠けると、他の柱に影響を及ぼすので、この三本柱それぞれに対して予防を行うことが重要です。あくまでも、無理のない範囲で取り組みやすいことから始めてみましょう。

身体活動

体を動かすことは、筋肉の発達だけでなく食欲や心の健康にも影響します。家の中で座っている時間が長いという方は、なるべく立ち上がってみたり、ストレッチで身体を動かしたり、無理のない範囲で散歩に出掛けるなどを習慣にできたらいいですね。

社会参加

趣味やボランティアなどを通じて社会とのつながりを持つことは、フレイル予防に効果的です。人との関わり合いを持ち、閉じこもらないことが身体・精神的な健康を保つ上で大切ですので、ご自身に合った活動を行いましょう。

栄養

バランスのとれた食事を3食しっかりとること、お口の健康(口腔ケア)も意識しましょう。歯に何らかの異常がある場合、硬いものが食べづらくなり、肉・魚・野菜・果物などの食品をとる割合が減少するという報告があります。つまり、筋肉量に関係するたんぱく質や、体の調子をととのえるビタミン・ミネラル類の不足が起きる可能性も考えられます。ご自身や周りの方が、食べ物が噛みづらい、むせることが増えてきたなど、変化を見落とさないことが大切です[1,2]。

では、次に食生活における摂取不足を回避するには、具体的にどんなことに気を付けばよいかについてご紹介します。

フレイル予防のための食事のポイント

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フレイル予防のために食事で気を付けることは特別、難しいことはありません。意識してとりたい栄養素を手軽に取り入れる方法も紹介しますので、参考にしてください [6]。

3食しっかり食べる

必要な栄養素を確保するために、朝、昼、夕と1日3食を欠かさずに食べることが理想です。しかし、食が細くなり1回に食べられる量が減ってきた場合には、間食で補うと良いでしょう。間食=甘いものを連想される方も多いですが、次の項目で紹介するたんぱく質が豊富なものを取り入れられると良いですね。

たんぱく質を十分にとる

たんぱく質が不足すると筋肉量が減少し、身体活動にも影響するため、高齢の方は特に意識してとる必要があります。乳製品(牛乳・ヨーグルト・チーズなど)や、大豆製品(豆腐、納豆など)は手軽にたんぱく質をプラスできるので常備しておくと便利です。他に手軽な方法として、汁物にお肉・厚揚げ・卵などを入れるのもおすすめです。ただし、腎臓に疾患のある方は、たんぱく質のとり方について注意が必要ですので、主治医に相談してください。

いろいろな食品をとることを意識する

毎日決まった食べ物ばかりを食べると、栄養バランスが偏りやすくなってしまいます。いつも行くスーパーで同じような食品をつい買っていませんか?多様な食品を組み合わせることで、必要な栄養素を偏りなくとることができます。旬のものは栄養価も高いので積極的に取り入れましょう。また普段、買わないものにチャレンジすることも気分転換にもなるので、おすすめです。

いつまでも健康でいるために、早めの対処を

フレイル予防のために食事内容を意識するのも大事ですが、何より食事を楽しむことを忘れないようにしたいですね。会話をしながら食事をすることは、食欲の増進や気分のリフレッシュにもなります。一人で食事をとることが多い方は、意識的に誰かと共に食べる機会を作りましょう。一度フレイルの状態と診断されても早めに気づき、対処すれば健康な状態に戻れます。ご自身やご家族の少しの変化を見落とさないようにしましょう。

【参考文献】(すべて2022年11月17日閲覧)※外部サイトに遷移します

[1]農林水産省:みんなの食育,しっかり食べて老化を防ぐ

[2]厚生労働省:日本人の食事摂取基準(2020 年版)

[3]厚生労働省:集まろう!通いの場,食べて元気にフレイルを予防するために

[4]厚生労働省:健康長寿に向けて必要な取り組みとは?100歳まで元気、そのカギを握るのはフレイル予防だ

[5]厚生労働省:e-ヘルスネット,口腔機能の健康への影響

[6]厚生労働省:食べて元気にフレイル予防

【プロフィール】管理栄養士/便秘改善アドバイザー 南田さとみ

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15年悩み続けた辛い便秘をたった3ヶ月で卒業できたオリジナルの食事法、10分以内で作れる「スルっと快便!ガチ速!腸改革メシ」で、便秘でお悩みの方をサポートする「腸改革講座」主宰。管理栄養士の資格取得後、委託給食会社、介護施設での栄養管理に携わり、現在はフリーランスとして、レシピ開発、コラム執筆など幅広く活動中。

記事提供:リンクアンドコミュニケーション

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