2023.01.10
【特集】年明け早々から始めたい健康寿命を延ばすコツ
長寿大国日本!となって久しいわが国ですが、“平均寿命”と、介護などを必要とせずに日常生活を送れる“健康寿命”に大きな差があることはご存知ですか?
令和元年度の調査によると、日本人の健康寿命は、平均寿命に比べて男性で約9年、女性で約12年短いことがわかっています。
それではいかに、日常生活に制限のある不健康な期間を減らし、健康な期間を延伸できるのでしょうか。
今回は、いつまでも健康でイキイキとした未来を迎えるために、日常生活の中で実行できる運動と食事面でのちょっとしたコツや、ストレス対処法についてもご紹介します。
平均寿命と健康寿命の差
平均寿命と健康寿命との差は、日常生活に制限のある「不健康な期間」を意味します。
厚生労働省によると、平均寿命と健康寿命(日常生活に制限のない期間)の差は、
令和元年で、男性8.73年、女性12.06年でした。
つまり、この期間は病気などによって介護や支援が必要な期間ということになります。
日本は、厚生労働省が示す最新のデータでも男女ともに平均寿命が80歳を超えており、世界一の長寿大国です。
しかし、平均寿命と健康寿命の差を見てみると、“健康に長生きしている”とは言えなさそうです。
それでは、どのように健康寿命を延ばしていくとよいのでしょうか?
まずは10分!すき間時間に体を動かしましょう
将来の病気や要介護状態のリスクを減らすには、生活習慣の改善が大切です。
普段の食事や運動、喫煙、飲酒、休養などが鍵となりますが、今回は今日からでも実行できることとして、まずは10分、いつもより体を動かすことをおすすめします。
1日10分からでOK
普段から運動習慣がない人でも取り入れやすいのはウォーキング。 食後にテレビを見る時間、通勤でバスや電車に乗る時間を、 10分だけウォーキングの時間に変えてみませんか? いつものスーパーに遠回りして行くのもよいですね。
日本人がやりがちな「寿命を縮める」3大悪習慣
「人生100年時代」という言葉を、最近よく耳にします。
筆者のもとには、「そんなに長生きしたくない」という意見も届いていますが、
ほとんどの人は100歳まで生きられません。
100歳まで生きられる人というのは、あくまでも健康に気遣った「良い生活習慣」を送った上で、
進歩した医療や科学技術を享受できる人です。
たとえば、糖尿病、高血糖、過度の肥満など、生活習慣病を抱えた人が、
90歳や100歳まで生きるのは、かなり難しい。
また平均寿命に対して、「健康寿命」という考え方があります。
大きな病気を抱えず、生活に制限を受けずに生きられる期間が健康寿命です。
病気で入退院を繰り返したり、要介護状態になったりしても、果たしてそれは幸せな老後と言えるでしょうか。
健康寿命を伸ばすためにどんな習慣が必要か。どんな悪習慣を優先して改善すべきか。
筆者は精神科医なので、今回は体だけでなくメンタル面の健康も配慮した上で、
健康寿命を伸ばすための3つのポイントを紹介します。
死亡率を大きく上げる「運動不足」
「日本人の健康寿命を削る習慣」は大きく分けて3つあります。
まずは3位から紹介していきましょう。
第3位 運動不足 運動習慣が健康に与える影響はかなり大きい。たとえば、死亡率なら50%、心臓疾患なら60%、がんなら30%。糖尿病なら58%、認知症なら50%のリスクを減らせるという研究結果があります。逆に、運動不足の人は、正常な人の2倍以上の病気のリスクを抱えているという見方もできます。 しかし、医者が「健康のために、運動してください」と言ったとしても、ほとんどの人は「時間がありません」と拒絶します。 運動をそこまでハードルの高いものと思わないでも大丈夫です。健康のために必要な運動量と運動時間についてはさまざまな研究がありますが、最近の研究複数によれば「1日20分の早歩きでOK」というものが多い。また、アメリカ国立がん研究所によると、1日10分の早歩きで、寿命が1.8年延び、週に150分の早歩きで、4年半寿命が延ばせることも明らかになっています。 1日10分で効果あり。1日20分(おおよそ週150分に相当)で4年半の延命効果。すごい効果です。毎日の通勤時間を「早歩き」にするだけで、この基準は楽々クリアできます。運動不足と感じる人は、まずは「1日20分の早歩き」を実践してみてはどうでしょうか。
健康と長寿を守る「3つ習慣」
健康を守るためには、やれることからやっていくことが重要です。
今回紹介した「7時間以上の睡眠」「つながりを大切にする生活」「20分の早歩き」は
食事制限や禁煙よりも比較的取り組みやすいものなので、ぜひ実践してみてください。
さらに、健康的に若さを保つ”ポジティブエイジング”での、毎日の工夫について考えてみましょう。
【ポジティブエイジングとは?】食事の工夫で充実した毎日を♪
最近では、人生100年時代と言われるようになっています。
その中で、アンチエイジングという考え方は、ポジティブエイジングというものに変わってきています。
今回は、いくつになっても充実した毎日を過ごすための食事の工夫について考えていきましょう。
ポジティブエイジングとは
アンチエイジングとポジティブエイジングの違い
アンチエイジングとは、心身の老化を抑え、若さを保つといった意味を持っています。
アンチエイジングに対して、ポジティブエイジングは老化を受け入れ、
年齢を重ねることを楽しみながら、充実した内面の輝きが見える美しさを目指すという考え方です。
年齢に抗うのではなく、ありのままの自分を受け入れることで肩の力が抜けて、居心地の良さを感じるのではないでしょうか。
ありのままの自分を受け入れるためには、心身の健康が大切です。
元気な毎日を過ごすには食事が基本
気を付けたい食事のポイント5箇条
(1)3食しっかり食べよう
(2)1日2回以上、主食・主菜・副菜を組み合わせて食べよう
(3)いろいろな食材を食べよう
(4)間食を味方につけよう
(5)噛み応えのある食材で口の状態をチェックすることも忘れずに
心身の健康を維持するためには日々の食事が基本です。 食事に偏りがでてしまうと心のバランスの乱れや体調不良を招くことになります。 よく笑い、よく動くためには、食事を整えることが大切です。
「ストレスを放置する人」が招く最低最悪の結末
人生に「ストレス」はつきもの。
できることなら「ストレスはないほうがいい」と思う人も多いでしょうが、
ストレスは心や体の不調を示すアラームの役割を担っています。
では、もしストレスを我慢や放置してしまうと人はどうなってしまうのか?
落ち込んでいるときや疲れているとき、風邪を引きやすいことを実感している人も多いのではないでしょうか。
「そういうときは免疫力が落ちているからだ」といってしまえばそれまでですが、実はそれを実証したアメリカの実験があります。
18〜54歳の健康な男女334人を対象として、ポジティブな気持ちをスコア化したうえで、
全員の鼻に風邪のウイルス(ライノウイルス)をたらし、その後の風邪の発症状況を見たのです。
ポジティブな人ほど「風邪をひかない」
その結果、ポジティブな気持ちが少ない人に比べて、ポジティブな気持ちが多い人ほど
その後風邪になる頻度が少ないことがわかりました(Cohen S, et al. Psychosom Med,2003)。
さらに、インフルエンザウイルスを用いた実験でも、同様の結果が得られました。
ちなみに、この研究では、参加してくれたボランティアに対して1人あたり800ドル支払ったそうです。
この金額をもらったら、読者のみなさんなら喜んで実験に参加しますか?
話を戻しますが、以上のことから、気持ちが前向きな人、ポジティブな気持ちを持っている人が、
免疫力を上げて風邪を予防するといわれているのは確かだということがわかりました。
こういうケースは、私たちの日常生活でもよくあります。
例えば、仕事が順調なときには風邪を引かないのに、仕事でミスをしたときに風邪をひいてしまったり、
熱が出たりすることがあります。
疲れが関係しているケースでは、普段は元気なのに、年末になると寝込んでしまったり、
お子さんを産んで職場復帰をしたお母さんが、平日は仕事と子育てと家事をバリバリやっているのに
なぜか週末になると寝込んでしまうといったこともあります。
したがって、ある程度緊張感を持ってその状態を持続させることも、免疫力を上げるといえます。
逆にいうと、気持ちが緩んだときに免疫力が下がって、病気になりやすくなるということです。
「ストレスがないほうが健康」といえば簡単ですが、私たちが生きている以上、
ストレスがゼロになるということはあり得ません。
実はストレスには、いいストレスと悪いストレスがあります。
試験や仕事のプレッシャーといった適度な刺激のストレスは、
それを乗り越えることで自分が成長できたり人生を豊かにしてくれたりします。
一方で、ハードワークや人間関係のトラブルといった不快なストレスが多くなってくると、
心にも体にもダメージが出てきます。
ストレスがかかったとき、それがメンタル面に出る人と、体に出る人がいます。
これは昔からよくいわれていることですが、みなさんのまわりにもどちらかのタイプがいませんか。
ストレスというと、どうしても心に影響が出る印象が強いかもしれませんが、メンタルが強い人、あるいは感じにくい人というのは確かにいます。そのような人は、得てして体に影響が出る場合が多いようです。
ストレスの放置は「命にかかわる」
問題はそういった体や心の変化に自分で気づかないこと。
先ほどの失体感症の人のように、自分の体のアラームに気がつきにくい人の場合に特にそうなりやすいのですが、
ストレス信号を放っておくと、ある日突然、心筋梗塞になる、うつになるなど、病気と直結してしまいます。
自分の体の声に耳を傾け、自分の体を感じ取る力を上げる必要があります。
そうした自分の気持ちや体の変化に鈍感な人は、血圧でも脈拍でも体重でもいいので、
客観的な数値をチェックするようにする(家で毎朝血圧を測る、健康診断を受けるなど)のもおすすめです。
自分のことを健康にできるのは、自分しかいません。
日頃から自分の心と体の状態に意識を向けることが、大病を小病に、あるいは未病にすることにつながるのです。
いかがでしたでしょうか?
”健康でいる期間をより長く”誰もがそのように願っているはずです。
ポイントは、普段からの生活習慣。
新たな年明けに、出来ることから始めましょう!
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