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2022.06.10

【よくわかる!糖尿病講座(5)】食べても血糖値が上がらない食材はこれ!知っておきたい食材の見分け方と落とし穴


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「食べることが怖い…。」健康診断で“血糖値が高い”と指摘された方や、すでに糖尿病を患っている方のなかには、そんな風に感じたことがある方も少なくないかもしれません。

今回は「食べても血糖値が上がらない食べ物が知りたい…!」そう願う方に向けて、具体的な食品例と併せて知っておきたい落とし穴をご紹介したいと思います。

食べても血糖値が上がらない食品は、ズバリこれ!

先に結論からお伝えすると“血糖値が上がらない”または“上がりにくい”と表現される食べ物は、大きく以下2つのどちらかに該当するケースが多いです。

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それぞれ順に深く解説していきたいと思います。

(1)“糖質が少ない” 食品の例

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血糖値とは、血液中に含まれるブドウ糖(グルコース)の濃度のこと。そのため、糖質量が少ない食べ物、いわゆる低糖質な食品は食べても血糖値が上がりにくいものとなります。たとえば、タンパク質や脂質をメインに含む、肉類、魚介類、卵、チーズ、その他葉物野菜などが該当します [1]。

(2)“糖質はある程度あるが、食物繊維が含まれている”食品の例

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食物繊維を豊富に含む食品を例に挙げると、野菜やきのこ、海藻類、穀類では玄米、雑穀米、大麦ごはん、全粒粉パンやオートミールなどが該当します。食物繊維を含む食品を食べると、消化・吸収のスピードが穏やかになることから、血糖値の上昇も緩やかになります。また、食物繊維の摂取により満足感が増すことも食後の高血糖を改善する要因と考えられています。日本人の2型糖尿病患者を対象に行われた研究では、食物繊維の摂取量が多いほどHbA1c(過去1、2ヵ月の平均血糖値を反映する値)のレベルが低いことが示されました[2]。

食べても血糖値が上がらない食品なら、いくら食べても良い?

結論、いくら食べても良いといわけではありません。血糖値変動に対するメリットはありますが、注意すべき点もあります。
必ず知っておいていただきたい、注意すべき“落とし穴”を順に解説していきたいと思います。

(1)“糖質が少ない” 食品を食べるときの注意点

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大切なのは“糖質量とカロリーはイコールではない”ということです。先ほど例に出した食品を、もう一度振り返ってみましょう。肉類、魚介類、卵、チーズなどです。これらには、タンパク質や脂質が豊富に含まれているため、低糖質な食材である一方、低カロリーではありません。低糖質だから…と摂取量が増えてしまうと、体重増加の要因ともなり得ます。さらに、これら動物性の脂質は、動脈硬化や糖尿病の発症リスクを増大させると考えられています[3]。

(2)“糖質はある程度あるが、食物繊維が含まれている” 食品を食べるときの注意点

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白米を玄米に、白いパンを大麦パンに変えることで、食物繊維の摂取量は増えますが、ここで注意したい大きな落とし穴が2つあります。

一つは“食物繊維量は増えるが糖質量は大きく変わらない”ということ。

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確かに、全粒粉パンの方が食物繊維量は多いものの、糖質量はそれなりにあります。全粒粉パンだからいくらでも食べていい!と考え食べ過ぎてしまうと、かえって血糖値の上昇を招いてしまうかもしれません。

二つ目は、“早食いしたら水の泡”ということです。せっかく食物繊維を含む食材を一緒に食べても、食べるスピードがそもそも速い場合、自ずと消化吸収のスピードが速くなります。せっかく食品選びにこだわったとしても、食後の血糖値が改善されない…なんてことも。血糖値の上昇を考慮するなら、何を食べるかも大事ですが、“どう食べるか“も意識したいですね[2, 3] 。

メリットとデメリットも理解したうえで、心地よく食材を選んで

食べても血糖値が上がらない、と言われる食品とその落とし穴についてまとめました。本日紹介した落とし穴は、1型糖尿病患者である私自身も、過去見落としていた部分でもあり、血糖値管理に苦労した経験がありました。食品や食事法に関して学ぶ際は、良い面だけでなく注意点も一緒に知り、食品をもっと自由に、快適に選択していきたいですね。

【参考文献】(すべて2022年4月8日閲覧)※外部サイトに遷移します

[1] Fujii H, et al.: Impact of dietary fiber intake on glycemic control, cardiovascular risk factors and chronic kidney disease in Japanese patients with type 2 diabetes mellitus: the Fukuoka Diabetes Registry. Nutr J, 2013, 12:159-165

[2] 日本糖尿病学会:診療ガイドライン, 食事療法 (2019)

[3] 文部科学省 日本食品標準成分表 2020年版(八訂)

【プロフィール】料理教室Health Table 代表 土岡由季

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13歳で発症した“1型糖尿病”を機に、幼い頃から食や健康についての学びを深め大学では生命科学を、大学院では食品化学を専攻。大学院修了後は製薬会社開発職に4年半勤務。糖尿病や肥満症をはじめ、数々の新薬開発に携わる。現在は [糖尿病でも大丈夫、大切な人と笑顔溢れる食卓を]をモットーに、血糖値管理のための正しい知識や実践法を“料理”を通じて伝えている。
血糖値や料理を題材にしたお役立ち記事が並ぶInstagramも人気。

https://health-table.com ※外部サイトに遷移します

https://www.instagram.com/yuki_health_table/ ※外部サイトに遷移します

記事提供:リンクアンドコミュニケーション

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