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2022.06.03

【よくわかる!糖尿病講座(4)】食後の“血糖値スパイク”を抑えるための4つの方法


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前回の【よくわかる!糖尿病講座(3)】糖尿病予備軍も意識したい!血糖値スパイクって知ってる?にて、“血糖値スパイク”とは何か?またどんなリスクが潜んでいるのか?について解説しました。

【よくわかる!糖尿病講座(3)】糖尿病予備軍も意識したい!血糖値スパイクって知ってる?はコチラ

今回は血糖値スパイクを防ぐための方法を、具体例も含めながらご紹介いたします。今日から簡単に実践できる方法も交えておりますので、ぜひ最後までご覧ください。

食後の血糖値スパイクを抑えるためのポイント4つ

食後の血糖値スパイクが起こる主な要因は、“食後に血糖値が高くなること”ですが、この食後高血糖を防ぐために、どのような工夫ができるでしょうか。
意識したいポイントを4つまとめました。

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上から順に詳しく解説していきます。

(1)糖質の摂取量を意識する

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血糖値の上昇は、糖質が消化・吸収され血液に流れ込むことでもたらされます。そのため、食後の血糖値を管理するには糖質の“食べる量”を考慮することがとても大切です。
では、どのくらいの量を摂取すれば良いのでしょう?

目標とすべき糖質の摂取量については、現在さまざまな議論がなされていますが、参考として糖尿病の方の食事について書かれた “日本糖尿病学会の食事療法に関する提言”をご紹介いたします。この提言では、総エネルギー(カロリー)のうち炭水化物の割合を目安として50〜60%とすることが記載されており、1日に1,800kcalを摂取する人の目安量は、約900〜1,000kcal、糖質量に置き換えると220〜250g/日程度となります。

※資料中では炭水化物の量とされていますが、炭水化物のうち主にエネルギーになるのが糖質であるため、おおよそ糖質量として考えて良いでしょう。

なお、糖質量の目安を算出するために必要となる総エネルギーは、個々の背景や食事の目的に応じて目標と値が大きく異なります。そのため、実際に糖尿病の治療を行う際は、患者さんの体重や血糖値の管理状況、血圧、脂質、生活様式などを考慮して個別にエネルギー量および糖質量が設定されています。

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目安量について触れましたが、まずは第一ステップとして“自分が1日どれくらいの糖質を摂取しているか?”を把握することが大切です。買い物の際は、パッケージの裏に記載されている栄養成分表示を確認したり、健康アプリを使用して、食べたものの栄養価を計算したりしてみるのも良いでしょう。食品に含まれる糖質量を把握することが、食べる量を上手に調整できるようになるための近道です [1, 2]。

(2)食物繊維を含む食材から食べる

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炭水化物のなかでも食物繊維は、摂取してもほとんど消化されず、エネルギーとなりません。さらに、一緒に摂取したほかの食材の消化•吸収も遅らせることが知られており、食後の血糖値の上昇を穏やかにする作用があります。食物繊維の摂取により満腹感を高めることも期待されるため、食事の前半に摂取することで、食べ過ぎを防ぐ手助けもしてくれます。料理の例としては、サラダや野菜たっぷりのスープ、もずく酢やわかめスープなど、海藻類にも食物繊維が多く含まれます [1-3]。

(3)よく噛んでゆっくり食べる

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血糖値の上昇を考慮するときは、食べる内容に加えて“食べ方”を考慮することもとても大切です。理由は、よく噛んでゆっくり食べることで“糖質の消化・吸収スピードを遅らせることができる”=“血糖値の急上昇を防ぐことができる”ため。そうとわかっていても、どうしても早食いになってしまう…。そんなあなたは、以下の方法を試してみてはいかがでしょうか。

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早食いの習慣をすぐに修正することは、容易でないかもしれません。ですが、毎日少しずつでも意識をしていくことで、今後の習慣が大きく変わっていきます[1, 2]。

(4)軽い運動を食後や日々の生活で取り入れる

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食後に運動を取り入れることで、高血糖が改善されることが示されています。運動により筋肉への血流が増加し、ブドウ糖が筋肉に取り込まれるためです。2型糖尿病患者さんを対象とした臨床研究では、食後に20〜30分の有酸素運動を行うことにより、食後の高血糖が改善されることが示されています。また食後だけでなく、日々の生活のなかに運動を取り入れることも大切です。2型糖尿病患者さんを対象とした研究で、30分に1度、歩行やハーフスクワットなど軽い運動を取り入れると、座った状態を維持したときよりも、食後の高血糖が改善することが示されています。“運動”と捉えると、ハードルが高く感じられるかもしれませんが、歩行や家事など“活動量を増やす”ことを意識すると、無理なく実践できるかもしれませんね[2]。

実践あるのみ!“できることから一歩ずつ”

血糖値スパイクを防ぐための、4つの方法をご紹介いたしました。今回あげた事例を一度に全て実施しようとせず、できることから日々の生活に取り入れてみてはいかがでしょう。小さな工夫でも毎日実践することにより、食後の血糖値も少しずつ変化してくるかもしれません。

【参考文献】(すべて2022年4月8日閲覧)※外部サイトに遷移します

[1] 日本糖尿病学会:診療ガイドライン, 食事療法 (2019)

[2] 日本糖尿病学会:糖尿病専門医研修ガイドブック (第8版)

[3] Fujii H, et al.: Impact of dietary fiber intake on glycemic control, cardiovascular risk factors and chronic kidney disease in Japanese patients with type 2 diabetes mellitus: the Fukuoka Diabetes Registry. Nutr J, 2013, 12:159-165

【プロフィール】料理教室Health Table 代表 土岡由季

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13歳で発症した“1型糖尿病”を機に、幼い頃から食や健康についての学びを深め大学では生命科学を、大学院では食品化学を専攻。大学院修了後は製薬会社開発職に4年半勤務。糖尿病や肥満症をはじめ、数々の新薬開発に携わる。現在は [糖尿病でも大丈夫、大切な人と笑顔溢れる食卓を]をモットーに、血糖値管理のための正しい知識や実践法を“料理”を通じて伝えている。
血糖値や料理を題材にしたお役立ち記事が並ぶInstagramも人気。

https://health-table.com ※外部サイトに遷移します

https://www.instagram.com/yuki_health_table/ ※外部サイトに遷移します

記事提供:リンクアンドコミュニケーション

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【合わせて読みたい】

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