2022.05.20
【よくわかる!糖尿病講座(3)】糖尿病予備軍も意識したい!血糖値スパイクって知ってる?
“血糖値スパイク”という言葉を聞いたことがありますか?血糖値とは、血液中に含まれるブドウ糖(グルコース)の濃度、スパイクとは靴の底につけるとがったくぎのことを意味します。今日は、糖尿病のない人も知っておきたいキーワード“血糖値スパイク”についてお話したいと思います。[1]
“血糖値スパイク”ってなに?
血糖値スパイクとは、食後に血糖値が高くなることをいい、一般には血糖値140mg/dL以上と定義されています。
血糖値は、食事や運動などの影響を受けて日々の生活のなかで変動する値です。食べ物を食べると、食材に含まれる糖質が消化吸収の過程を経てブドウ糖となり、血液中に流れ込むことで血糖値が上昇します。すると、膵臓からインスリンというホルモンが分泌され、血液中にあったブドウ糖が肝臓や筋肉、脂肪組織に取り込まれ、血糖値が下がります。
この血糖値の変動をグラフで表してみましょう。
青色の線は健康な人の血糖値の変動を示しています。インスリンの働きにより、食後でも血糖値が140mg/dL未満です。一方、インスリンの分泌や効きが十分でない人の場合、赤色の線で示すように食事により血糖値が大きく上昇することがあります。このように、血糖値が大きく上昇・低下することで波形がくぎのように鋭くなり、スパイクに似ていることから、“血糖値スパイク”と呼ばれるようになりました [1, 2] 。
血糖値スパイクが起きると、どうなるの??
では、食後に血糖値が高くなると、どのようなことが体内で起こるのでしょうか?その答えを一言で表すと“血管が傷ついてしまう”のです。その結果、血管がつまりやすくなる動脈硬化を引き起こし、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞などが起こるリスクが高まります[2] 。
血糖値スパイクは、糖尿病のない人でも起きるの?
結論からお伝えすると、糖尿病のない人でも起こる可能性があります。通常の健康診断では、空腹時血糖値とHbA1cのみを測定するため、食後の血糖値を直接確認することが困難です。そのため、健康診断で “正常”と判断された場合でも、食後に高血糖となっている=“血糖値スパイクが起きている”可能性があるのです。近年の研究では、糖尿病ではない人も食後血糖値が高い場合は心筋梗塞や脳梗塞などを起こすリスクが増大することが示唆されています。糖尿病と診断されていないから大丈夫だと思っていても、体の中では徐々に血管が傷ついているかもしれません[1-3] 。
血糖値についてもっと知りたい方は【よくわかる!糖尿病講座(1)】血糖値ってなに?基準値と異常値について知りたい!で詳しく解説しています。
血糖値スパイクは誰でも起こりうる
“血糖値スパイク”とは何か?また“どんなリスクが潜んでいるのか?”についてご理解いただけましたでしょうか?「血糖値スパイクって怖い…」そう思った方もいらっしゃるかもしれません。そんなあなたへ、次の記事では“血糖値スパイクを防ぐための方法”をご紹介いたします。具体例を紹介しながら、日々の生活で実践できる方法をまとめていきます。
それでは、次の記事でもお会いしましょう。
【参考文献】(すべて2022年4月8日閲覧)※外部サイトに遷移します
【プロフィール】料理教室Health Table 代表 土岡由季
13歳で発症した“1型糖尿病”を機に、幼い頃から食や健康についての学びを深め、大学院で食品化学を専攻。大学院修了後は製薬会社開発職に4年半勤務。糖尿病や肥満症をはじめ、数々の新薬開発に携わる。現在は [糖尿病でも大丈夫、大切な人と笑顔溢れる食卓を]をモットーに、血糖値管理のための正しい知識や実践法を“料理”を通じて伝えている。
血糖値×料理を題材にしたお役立ち記事が並ぶInstagramも人気。
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記事提供:リンクアンドコミュニケーション
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