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2021.12.09

すでに糖尿病の方も必見!心血管リスクも下げる!?低GI食品で血糖コントロール


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2型糖尿病の発症予防やダイエットなどの目的において“血糖コントロール”の重要性が日本でも広く認識されるようになりました。血糖値の急上昇を避け、日頃の食生活でも“低GI”な食品の選択を意識している方が増えているようです。

このような流れのなかで「すでに糖尿病になってしまっていても、低GIな食事を意識した方が良いのでしょうか?」 というご質問をよくいただきます。そこで、今回は低GI/GL食が糖尿病患者の血糖コントロールに与える影響について、最新のエビデンスに基づきお伝えしていきます。

そもそも「低GI/GL」食ってなに?

はじめに、GIおよびGLについて確認をしておきましょう。GIとは、食品のグリセミック指数(Glycemic Index)の略で、“食後血糖値の上昇しやすさ”を示す指数のことをいいます。

一般的に、GIは以下のように分類され、

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低GI食は食後の血糖値の上昇がおだやかで、インスリンの急激な分泌を防いでくれることから、肥満や2型糖尿病の予防への効果が期待されています。

一方、GLはグリセミックロード(Glycemic Load)の略で、食品に含まれる炭水化物量とGI値をかけ合わせた値のこと。日本ではGI値の方が注目されていますが、欧米ではすでGL値の考え方がより現実的な指標として主流になりつつあります[1,2]。

糖尿病は決して、他人事じゃない!

今はまだ糖尿病を患っていなかったとしても、この記事を他人事と思うことなかれ。今や、疑いがある人を含めると、日本人の5~6人に1人が糖尿病に罹患しているといわれています。きっと、ご家族や身近な人のなかに1人は糖尿病の方がいるのではないでしょうか。糖尿病は決して他人事ではなく、誰にとっても身近な病気なのです。

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さらに、糖尿病は初期の段階では自覚症状がないことが多く、気が付いたら進行していたということも珍しくありません。さらに恐ろしいのが合併症で、網膜症・腎症・神経障害の三大合併症のほかにも、さまざまな疾病のリスクを高めます。網膜症が重症化すると失明する可能性もあり、神経障害や血管障害などは、足の壊疽(組織が腐ってしまうこと)を引き起こすため、最悪の場合は手足を切断しなくてはならないことも。

このように、糖尿病は誰でもかかる可能性がある病気で、放置するとさまざまな合併症を引き起こす怖い病気なのです。まだかかっていない方は予防を、すでに罹患している方は手遅れにならないよう重症化予防に注意を払いましょう[3,4]。

「低GI/GL食」は糖尿病になってからも意識した方がいいの?

カナダ・トロント大学のLaura Chiavaroli氏らによる研究論文で、この疑問に対してこれまで行われた臨床研究のデータをまとめて解析した結果が、今年の8月に、世界的に権威のある英医学誌ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(BMJ)に掲載されました。その結果によると、1型および2型糖尿病の成人患者が、低GI/GL食をとり入れると、HbA1c値[※]のほか、空腹時血糖値や血中脂質、体重といった心血管代謝リスク(心血管疾患および糖尿病にかかるリスク)因子の改善がもたらされることが明らかになりました。すなわち、低GI/GLの食事は、1型および2型糖尿病になった後の血糖コントロールや心血管代謝リスク因子の改善に有用であると考えられます[1]。

※HbA1c値:血液中のブドウ糖がヘモグロビンと結合している割合。直近1~2ヵ月の血糖値を反映する。

「低GI/GL食」って具体的にはどんなもの?

基本的には、食品に含まれる炭水化物の精製度がGI/GL値に大きな影響を与えます。精製度が低いほど低GI/GL、高いほど高GI/GLとなります。つまり精製がされておらず、含まれる食物繊維の量が多ければ多いほど「低GI/GL」な食品と言えるのです。

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たとえば、白米より玄米の方が低GI/GL、白パンよりも全粒粉パンやライ麦パンの方が低GI/GLとなります。そして、食物繊維が豊富な食品を食べると食事全体の食後血糖値の上昇をゆるやかにできるため、野菜、芋類、豆類、海藻類、きのこ、全粒の穀物、種実類、果物などの植物性の食品を積極的に毎日の食事に取り入れるようにしてみると良いでしょう[5]。

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日々の食習慣を見直し、糖尿病の予防&重症化対策を!

私たちにとって他人事ではない糖尿病。若い頃から食習慣に意識を向け、問題がある方はなるべく早く改善に取り組むことが大切になります。糖尿病にかかってしまった後も、気付かぬうちに進行してしまわないよう、より一層気を引きしめて口にするものに注意を向けるようにしましょう。

【参考文献】(すべて2021年11月20日閲覧)

[1] L Chiavaroli, et al.: Effect of low glycaemic index or load dietary patterns on glycaemic control and cardiometabolic risk factors in diabetes: systematic review and meta-analysis of randomised controlled trials. BMJ, 202126; 374: n2114. ※外部サイトに遷移します

[2] The Glycemic Index Foundation: What Affects The GI Value? ※外部サイトに遷移します

[3]厚生労働省│平成30年版 厚生労働白書 -障害や病気などと向き合い、全ての人が活躍できる社会に ※外部サイトに遷移します

[4] 厚生労働省│糖尿病 ※外部サイトに遷移します

[5] The Glycemic Index Foundation: Top Tips To Go Low GI ※外部サイトに遷移します

記事提供:リンクアンドコミュニケーション

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