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2021.11.29

【管理栄養士が解説】糖と脂肪の吸収を抑える!?難消化性デキストリンの正体とは?


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「糖の吸収をおだやかにする」「脂肪の吸収を抑える」、これらはトクホ(特定保健用食品)の飲料や機能性表示食品のCMでよく耳にするキャッチフレーズです。ダイエットなど美容健康に興味がある方であれば、印象に残っているはず。

そんな魔法のようなことがあり得るのなら、こってりラーメンや焼肉など、少し罪悪感のある食事を楽しんだときのお供にすると少し救われた気分になりますよね。ですが、本当にこの言葉を信じて良いのでしょうか?今回は、健康食品に含まれている機能性成分の正体や取り入れる際の注意点などについてお伝えしていこうと思います。

魔法のような働きをする成分の正体は?

同様なキャッチフレーズで販売されているものでも、特定保健用食品や機能性表示食品の商品によって、含まれる機能性成分はさまざまですが、最も一般的なのは “難消化性デキストリン”という、水溶性食物繊維の一種です。難消化性デキストリンとは、人間は消化吸収できない難消化性のデンプンの分解物で、トウモロコシなどを原料に作られます。その使いやすい物性、安全性、生理機能のエビデンスの豊富さから、日本国内のみならず世界中で利用されています。

糖の吸収をおだやかにするって本当?

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難消化性デキストリンは糖質の多い食事と一緒に摂取すると、食後の血糖値の上昇を抑え、インスリン分泌を穏やかにすることが明らかになっています。一方で、空腹時に単独で摂取しても血糖値にはほとんど影響せず、低血糖を誘発しないことも確認されており、安全性が確認されているのも利用が広がっている理由の1つです。

脂肪の吸収を抑えるって本当?

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脂肪を含む食事と一緒に、難消化性デキストリンを摂取すると、食後の中性脂肪の上昇が抑制されたという報告が複数の研究からされていることから、脂肪の吸収を抑える作用があることが認められています。

注目すべき難消化性デキストリンの働きはほかにも!

実は、難消化性デキストリンのもつ生理機能は、「糖の吸収をおだやかにする」「脂肪の吸収を抑える」だけではないことは、ご存知でしょうか?
ほかにも代表的なものとして、コレステロールを低下させる作用や、内臓脂肪の蓄積を低減する作用、おなかの調子を整える整腸作用、ミネラル吸収促進作用があることが報告されています。

従来、食物繊維はミネラルの吸収を阻害すると認識されてきましたが、低粘度で腸内細菌に利用されやすい難消化性デキストリンは、大腸でミネラルの吸収を促進することが明らかにされています。また、難消化性デキストリンは腸内でビフィズス菌などの善玉菌を増やし、腸内菌叢を改善することも明らかとなっているため、今話題の“腸活”にも役立つ成分と言えるでしょう。

知っておきたい注意点

しかし、これらの働きに期待しすぎるのは厳禁です。当たり前ですが「糖と脂肪の吸収を抑える」と言っても、食べたものが全てリセットされるわけではありません。難消化性デキストリンの入った特定保健用食品や機能性表示食品を一緒に摂るからといって油断は禁物。過信して、糖質や脂質が多い食品をたくさん食べすぎてしまうと、ダイエットや健康のためには逆効果になることも。また、多量摂取により疾病が治癒したり、より健康が増進したりするものではありませんので、とりすぎにも注意してください。

日々の食習慣を見直し、上手に活用しよう!

健康的な食習慣の基本は、エネルギーや栄養素の過不足を防ぎ、バランスよく食べること。残念ながら、食べたものをなかったことにしてくれるような、魔法のような健康食品やサプリメントは存在しません。効果を過剰に期待しすぎず、食生活を見直すことが最優先ということをしっかりと念頭に置いたうえで、特定保健用食品や機能性表示食品などの保健機能食品を健康の維持増進のために上手に役立てましょう。

【参考文献】(すべて2021年10月20日閲覧)

[1] 独立行政法人農畜産業振興機構:難消化性デキストリンの特性と用途 ※外部サイトに遷移します

[2] 消費者庁: 表示を確認して、 保健機能食品を適切に利用しましょう ※外部サイトに遷移します

【プロフィール】管理栄養士 藤橋ひとみ

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株式会社Food & Health Labs(フードアンドヘルスラボ)代表取締役
毎日の食事で心身のトラブルを予防・改善できる社会の実現を目指し、フリーランスの管理栄養士として活動中。 東京大学大学院、医学博士課程在籍。EBN(科学的根拠に基づく栄養学)の考え方を大切に、コラム執筆・監修、メディア出演等、健康情報を伝える活動や、食と健康の専門家のスキルアップ支援を行う。大の大豆・発酵好きで、国内外にてその魅力を発信している。著書「おいしく食べてキレイになる!おから美腸レシピ」

記事提供:リンクアンドコミュニケーション

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