2022.05.06
【よくわかる!糖尿病講座(1)】血糖値ってなに?基準値と異常値について知りたい!
“血糖値”といえばテレビやインターネットでよく聞く言葉ですが、「血糖値ってなに?」「血糖値が高いと、糖尿病と診断されるの?」そんな疑問をもつ方も、多いのではないでしょうか。
本日はその“血糖値”について、どんな検査値なのか、また基準値と異常値を解説しながら深掘りしていきたいと思います。
血糖値ってなに?
血糖値は、血液中に含まれるブドウ糖(グルコース)の濃度のことで、単位はmg/dLで表します。食べ物を食べると、食材に含まれる“糖質”が消化吸収され“ブドウ糖”となり血液に入ります。このため、食事の後は血液の中のブドウ糖の濃度が高くなる(=血糖値が上昇する)のです。このブドウ糖は、脳をはじめ体の各組織のエネルギー源として使用されるため、生きるうえで重要な栄養素となります。
血糖値が上昇すると、すい臓から“インスリン”というホルモンが分泌されます。このホルモンの働きにより血液中にあったブドウ糖が、肝臓、筋肉、脂肪組織に取り込まれ、血液中の糖の濃度が下がります(=血糖値が下がる) [1] 。
基準値と異常値について知りたい!
先にも述べたように、血糖値は食事により変動します。
そのため、空腹時と随時(空腹以外)で各々基準が設けられています。
<正常値>
空腹時血糖値:100mg/dL未満
随時血糖値:140mg /dL未満
空腹時血糖値
健康診断を受ける際に「朝食抜きで来てください」と言われた経験はありますか?これは、食事の影響を受けていない“空腹状態”を作るため。健康診断では一般的に、この空腹時血糖値を測定します。空腹状態を作るために、通常の検診では、最後の食事から採血までの時間を10時間以上あけることとされています。
空腹時の血糖値が100mg/dL未満なら正常型ですが、100mg/dLを超えると糖尿病の発症リスクが上昇することが示唆されています。 100-109mg/dLは“正常高値”、更に110-125mg/dLでは“糖尿病予備軍(境界型)”となり、126mg/dLを超えると“糖尿病型”と定められています [2, 3, 4] 。
随時血糖値
空腹状態でない場合の血糖値のことを指します。食事の影響を受けている可能性があるため、正常値は140mg /dL未満と空腹時血糖値と比べて高く設定されています。近年では、空腹時血糖値が正常ないし境界域であっても、食後に血糖値が上昇しやすい"食後高血糖”が糖尿病予備軍や動脈硬化のハイリスクとして注目されています。食後高血糖をより厳密に確かめるためには、経口ブドウ糖負荷試験(50gまたは75gのブドウ糖液を飲んで血糖値の変化を調べる検査)を行います。この試験で140-200mg/dLとなると糖尿病予備軍(境界型)となり、200mg/dLを超えると糖尿病型と定められています [4, 5] 。
血糖値が“糖尿病型”だと、“糖尿病”なの?
糖尿病の診断を行う際、血糖値だけをみて診断することは稀です。もう一つ重要な検査項目があります。それはHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー、グリコヘモグロビン)。
HbA1cとは、赤血球のヘモグロビンにブドウ糖が結合した割合を示すもので、過去1, 2ヵ月の平均血糖値を反映すると言われています。血糖値は、食事やその他の要因により変動しやすいものですが、このHbA1cは1日のなかでの変動がなく、糖尿病の診断や治療を行う上で広く用いられています [4] 。
血糖値が高い状態はどうしていけないの?
血糖値を下げる唯一のホルモンである“インスリン”の分泌が不足したり、分泌されていても効きが悪くなったりすると、血液中のブドウ糖の濃度が高い “高血糖” の状態が続きます。
“高血糖”が続くと血管が傷ついて動脈硬化を引き起こし、さまざまな病気を発症する危険性が高まるのです [1] 。
まとめ:読者へのメッセージ
健康診断で血糖値が高いと指摘されたら、ドキッとするかもしれません。でも、大抵の人は「自覚症状もないし…大丈夫でしょ…」こんな風に思いがち。
そうして高血糖を野放しにすると、血管が痛み、糖尿病や動脈硬化に伴うほかの疾患を発症するリスクが高まります。後回しにせず、医療機関を適切に受診するようにしましょう。
【参考文献】(すべて2022年3月30日閲覧)※外部サイトに遷移します
[2] 厚生労働省:標準的な検診・保健指導プログラム【平成30年度版】
[4] 日本糖尿病学会編・著:糖尿病治療ガイド (2020-2021)
【プロフィール】料理教室Health Table 代表 土岡由季
13歳で発症した“1型糖尿病”を機に、幼い頃から食や健康についての学びを深め、大学院で食品化学を専攻。大学院修了後は製薬会社開発職に4年半勤務。糖尿病や肥満症をはじめ、数々の新薬開発に携わる。現在は [糖尿病でも大丈夫、大切な人と笑顔溢れる食卓を]をモットーに、血糖値管理のための正しい知識や実践法を“料理”を通じて伝えている。
血糖値×料理を題材にしたお役立ち記事が並ぶInstagramも人気。
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記事提供:リンクアンドコミュニケーション
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