2020.06.23
夏至(げし)/気力の衰えは旬の食で養生を
夏本番に向けて災厄を追いはらう
いよいよ夏らしい暑さの始まりです。夏至は6月21日~7月6日のころ、心身が疲れたり気力が衰えるなどして、古くから病気の流行期と考えられてきました。そこで、きたる夏本番に、病気をすることなく乗り越えられるようにとの願いを込めて、各地の神社では「茅の輪(ちのわ)くぐり」が行われます。茅(かや)でつくった輪っかをくぐり、汚れをはらうという意味があります。ちなみに、茅の輪を一本引き抜き、輪をつくって持ち帰ると、災厄を避けられるといわれています。
京都では、6月30日になると1年の残り半分の無病息災を祈念して、「水無月(みなづき)」というお菓子を食べる習慣あります。水無月は白い外郎(ういろう)に小豆を乗せた三角形のお菓子。小豆には悪魔払いの意味があり、三角形は暑気払いの氷を表しているとされています。
香川ではうどん、関西ではたこを食べる習慣が
夏至の始まりの初候(6/21〜6/25ころ)は、鮎や夏みかんが旬を迎え、野山にはうつぼ草など薬草をたくさん見かけるようになります。季節が進んで次候(6/26〜6/30ころ)になると、みょうがやかんぱちが旬を迎え、あやめの美しい紫の花が咲き乱れます。夏至の終わりである末候(7/1〜7/6ころ)は、おくらや鱧(はも)が旬を迎え、半夏(はんげ)という植物が生え始める時期です。半夏は田植えを終わらせる時期のサインともいわれ、農事の節目であるともいわれます。農業の労をねぎらい疲れを癒す目的で、香川ではうどんを、関西ではたこを食べる風習があります。
この季節は心とからだを整え、水分代謝をよくして利尿作用のある小豆を食べるとよいでしょう。上で紹介したお菓子の水無月でも使われる小豆は、散血作用があるため、血液の滞りを解消するとともに、解毒、抗酸化作用もあることから、デトックス食材といえます。この時期の水分補給には、お茶がおすすめです。お茶の種類によって効果は異なりますが、脂肪の分解にはウーロン茶、デトックスには抗酸化作用のある日本茶などを試してみてください。
こころとからだの二十四節気2019年<夏至>の記事はこちら ※外部サイトに遷移します
伊藤和憲(いとうかずのり)
鍼灸師・明治国際医療大学教授・鍼灸学部長・鍼灸臨床部長
1972年生まれ。鍼灸学博士。全日本鍼灸学会理事。明治国際医療大学鍼灸学部教授。明治国際医療大学大学院鍼灸学研究科教授、同大学大学院研究科長。2012年~2014年、厚生労働省科学研究費助成事業 地域医療基盤開発推進事業「慢性疼痛患者に対する統合医療的セルフケアプログラムの構築」, 2014年~2015年同研究助成事業「鍼灸における慢性疼痛患者の治療方針ならびに医師との連携に関するガイドライン」の研究班班長を務める。また、2016年より過疎化対策の一環として京都府南丹市にて養生の体験教室「MIYAMA 森の湯治場」、さらには奈良県宇陀郡曽爾村の美人プロジェクトを監修。明治国際医療大学附属鍼灸センター長を務め、「はり・きゅう」の治療に当たるとともに、慢性痛患者のためにセルフケアを指導している。
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文/伊藤和憲(鍼灸師・明治国際医療大学教授)
イラスト/中根ゆたか
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提供元:夏至(げし)/気力の衰えは旬の食で養生を|ワコール ボディブック