2019.08.05
大暑(たいしょ)/暑さで疲れがピークになるとき
腸内環境を整えよう
大暑は7月23日~8月6日の時期で、1年の中でいちばん暑く、真夏日や熱帯夜が始まります。そのため、土用のうなぎや浴衣、風鈴や花火など、夏を乗り切るためのさまざまな工夫が見られます。暑さはそれだけでも体力を奪うため、からだも心も疲れさせます。次から始まる秋に備えて、夏の疲れは夏のうちに解消しましょう。
この時期は、疲れにともないおなかを壊しやすいのが特徴です。夏バテでごはんが食べられなかったり、食中毒でおなかを壊したり、下痢や便秘などの消化不良などを頻繁に起こすでしょう。食べ物を消化吸収することでエネルギーを得る我々にとって、おなかの調子はとても重要で、おなかの調子が悪いと疲労回復ができない上、気分をコントロールしてくれるような脳内物質も合成することができなくなります。
おなかの調子を整えるために必要なことは、おなかのコンデション、腸内フローラの調整です。一般的に、肉類や魚介類、乳製品などに含まれている動物性たんぱく質や脂肪が多い食事に偏ってしまうと、腸内に悪玉菌が増えてしまいます。しかし、このような食品を取らないというわけにもいきません。そこで、腸内を元気にしてくれる善玉菌を多く摂取し、腸内フローラを整えることが大切です。善玉菌は、ビフィズス菌や乳酸菌、納豆菌などの発酵食品に多く含まれており、腸内環境を整えてくれます。納豆や乳製品(ヨーグルト、チーズなど)、麹類(味噌、醤油、みりん、日本酒など)に加えて、善玉菌のエサとなる食物繊維(ゴボウ、ニンジン、オクラ、ホウレンソウなど)やオリゴ糖(玉ねぎ、ゴボウ、ネギ、バナナ、大豆など)を積極的に摂取し、からだを整えるようにしましょう。
正常な状態では善玉菌のほうが悪玉菌よりも多く存在しているとされていますが、肥満の人はこの分布が大きく崩れていることが知られています。近年では、ガンや糖尿病なども腸内フローラのバランスが影響していることが知られるようになりました。このように、腸内環境の変化は、栄養を吸収できないだけでなく、病気にも発展するので注意が必要です。
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足三里のツボで疲労回復
食事だけでなく、おなかの活動のサポートも大切です。特に足の外すねにある足三里(あしさんり)というツボ。場所は、ひざの外側でお皿の下から指4本分下がった部位で、いちばんくぼんでいるところです。昔から足三里にお灸をすえることは、疲労回復につながると考えられています。なお、内臓の調子を整えるには、ツボを圧迫するより、お灸のほうが効果的です。熱さを感じるまで何個かお灸をすえてみましょう。
最後に大暑を乗りきるためのおすすめのツボとして、労宮(ろうきゅう)を紹介します。労宮は手のひらの中央に位置し、全身の元気がたまる場所です。気功では、この部位からエネルギーが外に向かって放出されると考えられています。
疲れがたまったときは時間を見つけ、気持ちがよい程度にこの部位をもんだり、お灸をするなどしましょう。また、自分でもむよりは他人にもんでもらうほうが、気持ちいいものです。周りの友達や家族で疲れている人がいたら、このツボを積極的にもむことでコミュニケーションを取り、心の疲れも解消しましょう。
伊藤和憲(いとうかずのり)
鍼灸師・明治国際医療大学教授・鍼灸学部長・鍼灸臨床部長
1972年生まれ。鍼灸学博士。全日本鍼灸学会理事。明治国際医療大学鍼灸学部教授。明治国際医療大学大学院鍼灸学研究科教授、同大学大学院研究科長。2012年~2014年、厚生労働省科学研究費助成事業 地域医療基盤開発推進事業「慢性疼痛患者に対する統合医療的セルフケアプログラムの構築」, 2014年~2015年同研究助成事業「鍼灸における慢性疼痛患者の治療方針ならびに医師との連携に関するガイドライン」の研究班班長を務める。また、2016年より過疎化対策の一環として京都府南丹市にて養生の体験教室「MIYAMA 森の湯治場」、さらには奈良県宇陀郡曽爾村の美人プロジェクトを監修。明治国際医療大学附属鍼灸センター長を務め、「はり・きゅう」の治療に当たるとともに、慢性痛患者のためにセルフケアを指導している。
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ワコールスタディホール 伊藤先生のお話を聞きながら養生体験!
★東洋医学が導く美のメソッド~2019秋のレッスン~ 全5回 ※外部サイトに遷移します
8月21日(水)・9月4日(水)・9月18日(水)・10月2日(水)・10月16日(水)
第1回のみ 19:00~20:30
第2~5回 19:15~20:30
文/伊藤和憲(鍼灸師・明治国際医療大学教授)
イラスト/中根ゆたか
※この記事の内容について、株式会社ワコールは監修を行っておりません。
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提供元:大暑(たいしょ)/暑さで疲れがピークになるとき|ワコール ボディブック