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2018.11.30

「嫌な話」は15秒にまとめるとすごく伝わる|万能「ハンバーガーのフォーマット」とは何か


相手を逆立てることなく、言いにくいことを伝えるコツとは(写真:PHP提供)

相手を逆立てることなく、言いにくいことを伝えるコツとは(写真:PHP提供)

日々の仕事や暮らしの中で、他人に態度を変えてもらいたい、言いにくい一言を言いたいと思う場面はしょっちゅうあります。

上司や取引先からの理不尽な叱責、勉強しない子ども、家事を手伝わない夫、さらには、話の長いお年寄り、などなど。さらに深刻なケースをいえば、パワハラを繰り返す上司、DVを繰り返す男。

そんな人たちに対して、「そんなことはやめてほしい」と言いたくとも言えず、悩みを抱えているという方に拙著『15秒あれば人間関係は変えられる』から伝え方のコツをご紹介します。

『15秒あれば人間関係は変えられる』 ※外部サイトに遷移します

嫌な話なら、15秒で終わらせよう

まずい状況を先送りしないために、いま、とにかく伝えたいことがある。でも、相手からの評価が下がることを恐れたり、怒られたり嫌われたりしたくないと思ったり、相手の気持ちを慮(おもんぱか)ったりして、伝えたくても伝えられない場合があります。また、自分の言いたいことがきちんと伝わるかどうかを心配する人も多いでしょう。

その場合、どんなふうに伝えればいいのでしょうか。その答えは、15秒で話をまとめ、提案のかたちで終わらせることです。

ほとんどすべての場合において、15秒あれば十分にメッセージを伝えることができます。「はい」や「いいえ」のような一言ではなく、スピーチのようなひと講釈でもなく、テレビCMの長さに相当する15秒が、意味のある内容を伝える最小単位としてちょうどいいのです。

また、15秒くらいであれば、覚えることができます。言いにくいことを言おうとして、事前に何を言おうか考えていたとしても、あまり長々とした内容になると覚えられません。結局、言おうとしたことの半分も言えずに誤解されてしまう、ということになりかねません。そうではなく、15秒にまとめて伝えることを心がければ、まず伝え漏れはないでしょう。

15秒なら相手も全部話を聞いてくれます。人はとかく、相手の話を途中で遮って口をはさみがちです。自分にとって都合の悪いことなら、なおさらです。相手に途中で話を遮られてしまうと、伝えたいことがすべて伝えられず、現状は変わらないままになってしまうかもしれません。そういったことを避けるために、言いにくいことほど、短く伝えなければならないのです。

そして「提案のかたち」で終わらせれば、相手も納得し、評価も下がらず、怒りを呼ぶことはありません。

ここで私が述べたいことは、言いにくいことを15秒で伝える技術を身につければ、いま抱えている問題を劇的に改善させるための強力な武器になる、ということです。

論語の説明でさえ15秒でできる

10年ほど前、私は『1分で大切なことを伝える技術』(PHP新書)を上梓(じょうし)して、たいへんな好評をいただきました。

同書では、「川のフォーマット」という伝え方の基本パターンを紹介しました。

何か相手に伝えたいことがあるときに、まず相手との間に1本の川が流れていることを想像します。向こう岸にあるのは「相手の理解」。このときに、川に3つほど石を置いて、その石をぴょんぴょんと歩いて向こう岸にたどり着く、というイメージを持ちます。つまり説明を三段階に分けて行うということですね。

この「川のフォーマット」の実践トレーニングを、私は大学でも社会人向けのセミナーでも行ってきましたが、最初に取り組んでもらっているのは「15秒で1つの話をする」ということです。この部分をマスターすれば、3つ重ねて45秒になり、さらに前振りと締めの言葉を加えて1分で終わる、というわけです。

言い換えるなら、15秒あれば必要最小限の話は伝えられる。私はこのトレーニングを通じて、しだいにそう確信するようになったのです。たとえば『論語』の説明でさえ、以下のようにまとめられます。読み上げれば15秒もかかりません。

人間にとって大切な徳を、『論語』は「智・仁・勇」と説いています。智は頭の働き・判断力。仁は人に対する優しさ・真心。勇は行動力・あきらめない心です。

15秒で話を完結できるなら、話題を増やすことで30秒でも1分でも話せます。あるいは3分のスピーチでも難なくこなせるでしょう。一般的な話術を鍛えたければ、最小単位である15秒の感覚を磨くのがもっとも効率的なのです。

1分で話すときは、「川のフォーマット」でしたが、15秒で話すときはどのような構成が有効なのでしょうか。ここで読者の皆さんに想像していただきたいのは、ハンバーガーです。

ハンバーガーは肉をパンではさんだ料理ですが、この場合、「肉」は言いにくいこと、「パン」は話しかけるための一言と締めの一言を指します。(下図参照)

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たとえば、以下のような場合。

「課長、たいへん申し訳ないのですが、そういう言い方をされると仕事のモチベーションが下がってしまいます。別の言い方をしていただけないでしょうか。私も、必ず態度を改めますので」

話しかけの一言は相手との関係などで変わる

この言葉の場合、まず「課長、たいへん申し訳ないのですが、」が話しかけの一言になります。

ほかのケースだと、たとえば夫に対して「買い物で相談したいことがあるんだけど、」友人に対して「あのさ、お金のことでちょっと困ったことになっちゃって」といった言葉が考えられます。

話しかけの一言は、相手との人間関係や、話しかけるときのシチュエーションによって変わってきます。

大事なのは、ここで長々とした前置きを入れないようにすること。そのためには、話す前に何を話すかをしっかりまとめておかなければなりません。たとえて言うなら、体操の跳馬(1メートル強の高さに設定された「馬体」に手をついて跳び越し、演技のスケールと美しさを競う競技)のようなもので、どんな演技をするかを助走の段階で考えている選手はいません。みな、走り出す前に演技のイメージを頭に思い浮かべています。

先に話す内容を整理しておけば、話し始めでもたつくことはありません。だから話し慣れていない人は、言いたいこと、言うべきことのメモをつくってから話しかけるとよいと思います。

「頭の整理が心の整理」というのが私の持論です。この本で言いたいことの1つが、「頭の中を整理すると心が楽になる」ということです。のちのち詳しく述べますが、私は教鞭をとっている明治大学で、学生たちに15秒で話す練習を徹底的に課しています。その結果わかったことは、「15秒を意識すると頭の整理が進みやすい」ということです。

15秒にまとめることで、はじめて頭の整理ができるのです。

話し始めは前置きを話すのではなく、「これから話したい内容はこのことです」と明確にすることで、まず相手の意識をそちらに向けさせることがポイントになります。ビジネスシーンではだいたい「~の件ですが、」といった言い回しになるでしょう。

これはメールの件名でも、同様のことがいえます。「齋藤です」といった件名よりは、「勉強法の本の打ち合わせについて」といった具体的な件名のほうが、相手にひと目で「話したい内容」が伝わるので望ましいといえます。

さて、「話し始め」のあとが「肉」の部分になります。ここが言いにくい部分、いわば「そのまま素手でつかむのはためらわれる肉の塊(かたまり)の部分」です。素手でつかむことがないように、パンではさむわけですね。

くどくどと自分の事情を述べない

「肉」の部分はさまざまなケースが考えられますが、共通して重要なのは「くどくどと自分の事情を述べない」ということです。

人は、自分は悪くないということを主張したいと思うあまりに、客観的にみると本筋とは関係のない細々とした「自分の事情」や言い訳を入れ込みたがるものです。「以前はそんなことなかったのですが」とか、「ちょっと仕事が重なってしまって」など。しかし相手にしてみれば、現状の問題解決には不必要な情報ですし、「もしかしたら、この人は自分の都合のいいように解釈しているのでは」と思われてしまう危険性もあります。

言いにくいことほど、なるべく客観的な事実だけを述べて、相手の信頼感を得られるようにしたほうがよいでしょう。

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『15秒あれば人間関係は変えられる:自分の言いたいことをきちんと伝える技術』 クリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします

そして、締めの一言。先ほどのケースでは「別の言い方をしていただけないでしょうか。私も、必ず態度を改めますので」がそれにあたります。

言いにくいことを言う場合、最後は「提案の形で切り上げる」のが望ましい終わり方になります。

言いにくいことを言うということは、結局いま起こっている何らかの問題を取り上げることを指します。1つの問題に対して、「困ったね」「どうしよう」という状態のまま終わらせることは難しく、「とりあえず先延ばしにしておこう」などと強引に終わらせるしかありません。対処策が生まれないと、コミュニケーションが完結しないのです。

以上のように、「話しかけの一言」+「言いにくい内容」+「提案の形で終わる締めの一言」。これが、言いにくいことを話すときの基本フォーマットになります。

記事画像

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提供元:「嫌な話」は15秒にまとめるとすごく伝わる|東洋経済オンライン

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