2023.03.09
「インプットが得意な人」のスキマ時間の作り方|楽しみを我慢せず、少しずつ積み重ねている
働きながら勉強時間を確保することは大変そうなイメージがありますが、コツ次第です(写真:asaya/PIXTA)
読売新聞社記者などを経て、働きながら独学で司法書士試験、公認会計士試験に合格した石動龍氏による連載「あらゆるスキマ時間で集中学習! 無駄ゼロ独学術」。エンターテインメントコンテンツのポータルサイト「アルファポリス」とのコラボによりお届けする。
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喜びや楽しみの時間を確保するために、スキマ時間の活用しよう
生きているとつらいこと、嬉しいこと、楽しいこと、悲しいことが起こります。
私は若い頃から継続して、人の心の移り変わりに興味を持っています。
最初のキャリアに新聞記者を選んだ理由の一つは、世の中を知りたい、自分の知らない人々の暮らしを知りたい、というものでした。
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自分の心を平穏に保つ方法を学ぶきっかけにしたいと考え、社会人になってから大学に入り直し、心理学を学びました。
答えはまだ見つかっていませんが、理解できたこともあります。
当たり前ですが、つらいことや悲しいことだけの日々に耐えるのは難しいということです。喜びや楽しいことがあってこそ、日々の苦しさを乗り越えられます。
資格試験で失敗するケースで多いのは自分に厳しくしすぎ、楽しみを我慢してしまうパターンです。年末年始も勉強、休日もなく趣味もやめてしまうとすぐに心の限界が来ます。休むときはしっかり休んでリフレッシュしましょう。
特に、働きながら合格を目指す人はストレスが相当に強くなります。日々の仕事をこなすだけでも楽ではないのに、仕事が終わった後に、もう一度自分を追い込まなければなりません。
難易度の高い試験であれば、苦しくなるほどしっかり学ばなければ結果は出ません。詰め込んだスケジュールを作っても、続けられなければ意味がありません。無理なく続けられる水準の負荷を見極め、合格まで走り切る計画が大切です。
仕事も家庭もあって、なかなか時間が取れない人もいると思います。
資格試験に合格するには、時間を確保し、勉強を習慣化することが大切です。
テキストを開かない日が一日、二日と続くと、知識が抜けてしまうだけでなく、勉強が面倒になり、当初の志を忘れてしまいます。三日坊主にならないためには、スキマ時間を探し、短い時間を有効化して実力を身に付けていくべきです。
少しの空き時間は無駄にすべきではありません。
5分が8回積み重なれば40分、週6日で240分になります。
例えば、宅建士試験において、合格までに必要な勉強時間は200~300時間とされています。週6日40分のスキマ時間を確保し、1日だけほかに2時間勉強すれば、1週間の勉強時間は合計で6時間になります。そのペースを継続すれば、1年以内に合格に必要な時間が確保できることになります。
私の経験でも、司法書士が簡易裁判所において取り扱うことができる民事事件などについて、代理業務を行うために受験する「簡裁訴訟代理等能力認定考査」や、宅建士試験は、1日約30分の勉強だけで合格しました。
簡裁訴訟代理等能力認定考査は昼食を早食いして30分の時間を作り、宅建士試験は起床して風呂に入りながら30分ほど勉強しました。どちらも仕事が忙しく、子どもも小さかったので勉強時間の捻出に苦労しましたが、最小限の努力を毎日継続することで合格できました。
目指す資格と状況によっては、少しの時間を意識的に作るだけで、人生を大きく変えるチャンスを得られる可能性があります。そんなきっかけになるスキマ時間について考えてみましょう。
昼休みは、最大の勉強のチャンス
スキマ時間を活用する第一歩は、自分の日常を分析することです。
この記事を読んでいる人は働いている人が多いと思いますが、仕事をする日々の中でも時間を作ることはできます。私の例でもあったように、少しのチャンスを積み重ねるだけで、目標を達成することも可能です。
まず、働いている人にとっては、昼休みはまとまった時間を確保しやすいです。
昼食のために外出する人もいるでしょうが、受験勉強中はあらかじめ準備した弁当などを急いで食べるほうが、時間確保には有効です。私の場合では、司法書士試験、公認会計士試験を受験していた際は、だいたい10~15分で持参した昼食をかきこみ、残りの時間は最低でも30分を勉強にあてていました。
リモートワークの場合は、さらに時間を使えます。
もし、私が受験生で、リモートで働いているならば、昼休みになった瞬間に接続を切り、片手で食べられるものを急いで詰め込んで、時間いっぱいまで勉強するでしょう。
昼休みに勉強することについては、留意したほうがよい点もあります。
オフィスワークを前提に、別の角度から考えると、昼食は同僚や上司とコミュニケーションを取れる機会です。私の経験を振り返っても、昼食時や喫煙所での情報交換は社内政治において役立つケースがあるように思います。昼食を一人でとり、誰とも話さずに勉強することは、そのような機会を自ら捨てることにもなります。
私の場合は、定年までサラリーマンとして働くことは微塵も考えておらず、務めていた会社も遠くない将来に辞めるつもりだったため、振り切った選択をすることができました。
今後の人生をどう進めていくかを踏まえて勉強方針を定めるべきです。
私のように、勤務している会社に居続けることはないと考えるならば、スキルアップを最優先して時間を使うとよいでしょう。
起床直後と就寝前は時間が確保しやすい
続いて、起床直後と就寝前は時間が確保しやすいです。
起きた後はどうしてもボーっとしている人が多いと思います。
私も忙しくない日は、スマートフォンでネットを見ているうちに10分や20分は簡単に過ぎてしまいます。寝室にテキストを常備しておき、起きた直後に読むようにすると、勉強を習慣化しやすいです。起きてすぐのルーティンに勉強を組み込むことができれば、無理なく時間を有効に使えるようになります。
同じように、寝る前の10分も習慣にしやすい時間です。
起きた直後、寝る直前に10分ずつ勉強するだけで、先ほど書いた宅建士試験に必要な勉強時間の確保が視野に入ります。少しの努力でそれだけの可能性を得ることができるので、スキルアップやキャリアアップを目指す人は、日々の時間の使い方を大切にしましょう。
移動中も時間を確保するチャンスです。
通勤時間の勉強については、ホームで電車を待っている時間や、歩いている時間も、工夫次第で勉強することができます。私の場合は、常にテキストを通勤カバンに入れていたほか、少しの時間で確認できる資料をスーツの内ポケットに入れていました。
時間が経っているのでやや曖昧ではありますが、司法書士試験を受験する際は日本国憲法、公認会計士試験を受験する際は原価計算基準をプリントアウトしたものを小さくたたみ、いつでも読めるように持っていたように記憶しています。
そのほかにも、模試や問題集でよく間違える論点を端的にまとめたノートを作成し、ポケットに入れていました。エレベーターの待ち時間など、少し時間できたときに資料を参照し、少しでも記憶を定着させるようにしていました。
勉強に使える時間はほかにも
歩いている時間は資料を読むことはできませんが、耳から勉強することはできます。
私はTOEICを受験する際もほとんどの勉強を通勤時間で行っていました。
リスニングに使用する教材を保存し、いつでも再生できるように持っていました。両耳をふさぐと危ないので、片耳用のイヤホンを準備し、小さい音量で再生しながら歩くようにしました。この方法を採用する場合は、周囲の音が聞こえないと人にぶつかったり車にひかれたりする危険性があるため、安全確保に十分注意しましょう。
風呂やトイレで過ごす時間も、勉強時間に算入することが可能です。
試験勉強は大きく分けて2種類です。
電卓を叩いて行う計算問題と、テキスト中心の理論問題の勉強です。
計算問題は机に向かわないとできません。
テキストを読むことは、寝ていても、立っていてもできます。
風呂に入りながらテキストを読んだり、理論問題を解いたりすることができます。
また、トイレで便座に座っている時間も、ポケットに資料が入っていれば、知識を取り入れる時間に変えることができます。私が司法書士試験と公認会計士試験に合格したときは、便座に座っているときも何かの知識を得ようと努力していました。
振り返ってみると、ここまでやるのは自身のことながらおかしいように感じますが、それだけ合格したい気持ちが強かったのだと思います。同じ時間を確保できてもモチベーションが小さければ効率は下がり、だらだらと苦しい日々を過ごすことになってしまうので、やる気を高められるように自分をコントロールしましょう。
このように、まとまった時間を確保できない場合でも、工夫と努力次第で、前向きに勉強することは可能です。最後はどれだけ合格したいのかという気持ちが合否を分けます。自分の人生にとって何を重視すべきかをよく考え、資格取得を目指すべきだと判断したならば、少しのスキマ時間を実力に変えられるよう努めましょう。
まとめ
・昼休みは、最大の勉強のチャンス
・起床直後と就寝前は時間が確保しやすい
・移動中、風呂やトイレで過ごす時間も勉強時間に算入する
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提供元:「インプットが得意な人」のスキマ時間の作り方|東洋経済オンライン