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2018.11.21

一人立ち食いそばが平気な女性が増えたワケ|むしろ「ひとりランチ」したい女性たち


働く女性の「ひとりランチ」が増えている要因とは?(写真:yue_/iStock)

働く女性の「ひとりランチ」が増えている要因とは?(写真:yue_/iStock)

2018年も残すところあとわずかとなり、だんだんと「平成」も終わりに近づいてきました。この「平成」はいったいどんな時代だったのか、生活者にどんな変化をもたらしたのか。

博報堂生活総合研究所(生活総研)が行っている長期時系列調査「生活定点」などのデータを用いながらご紹介していきたいと思います(首都圏・阪神圏の20~69歳男女約3000名に聴取、調査概要詳細は記事末尾で記載)。

「生活定点」 ※外部サイトに遷移します

増える女性の「ひとりランチ」

「平成」を研究する新連載、1回目です

「平成」を研究する新連載、1回目です

生活総研のオフィスがあるのは東京・赤坂。繁華街ということもあり数多くの飲食店が軒を連ねていますが、企業の事務所も数多くあるため、平日のお昼どきはいつも大混雑。ピークの時間帯を避けて、早めに行ったり遅めに行ったり、各人工夫をしています。ちなみに私は「遅めに行く派」。ピーク時を抜けて空きはじめた店内で食べることが多いでしょうか。

一応「生活者研究」を生業としているので、外に出るときは何となく、街の様子や人の様子をいろいろと気にしています。長い目で見ると変化していることはいろいろありますが、特によく見かけるようになった光景は、一人でランチを食べている人の姿。特に女性の姿がとても多くなったように感じます。

女性のひとりランチは普通の飲食店でも見かけますし、牛丼チェーンや、セルフ方式のうどん・そば店などのファストフード系の店、さらにはコンビニのイートインスペースでもよく見かけるようになりました。数年前は牛丼チェーンに女性が一人でいることは珍しい印象でしたので、隔世の感があります。

では、肌感覚では増えているように感じる女性のひとりランチを、定量的にみるとどうなのか?

前述の長期時系列調査「生活定点」では、生活上のさまざまな意識・行動を継続的に聴取しているのですが、その中にはこんな調査結果があります。

●「一人で外食することは抵抗ない」

全体:1998年46.2%→2018年49.1%

全体では大きくは変わっていないように見えますが、男女を分けてみると、

男性:1998年59.0%→2018年57.6%

女性:1998年33.0%→2018年40.5%

と、「抵抗がない」女性が徐々に増えていることがわかります。

図1

図1

「立ち食いそば」はもう、恥ずかしくない?

もうひとつ、こんなデータも。

●立ち食いそばを食べるのは恥ずかしい

全体:1998年18.1%→2018年9.5%

男性:1998年5.0%→2018年1.6%

女性:1998年31.6%→2018年17.5%

図2

図2

20年かけて継続的に下がり続け、今年、過去最低を更新しました。

女性のスコアは10pt以上落ちており、全体の低下を牽引しています。「一人で外食することは抵抗はない」、男性向けのイメージが強かった「立ち食いそばのようなお店でも恥ずかしくない」と、外食についての女性の意識は、だいぶ変わってきています。これが、街で見かける、一人でランチをする女性の増加にもつながっていそうです。

ランチは一人で過ごせる貴重な時間という考え方に

この背景にはどんなことがあるのか。大きく分けて2つほど要因が挙げられるように思います。

(1)一人を気にしていられなくなった

平成の期間中、女性に関して大きく変化したことと言えば、「共働き世帯」の増加。厚労省「厚生労働白書」等によれば、共働き世帯数は1992年に初めて専業主婦世帯数を上回り、その後も継続的に増加。今では完全に逆転してしまいました。

図3

図3

平成はまさに「女性の社会進出」が大きく進んだ時代。仕事量も、立場も、責任も、次第に大きくなっていく女性が増え、忙しさの面でも男性との差がなくなってきています。

さらに子育て中の世帯であれば、女性が早めに仕事を切り上げて帰るパターンも多く、そのぶん女性のほうが時間に追われている部分もあるでしょう。

先日も、コンビニのイートインスペースのテーブルに突っ伏して昼寝をしているスーツ姿の女性を見かけました。かばんも大きく膨らんで重たそう。ハードに仕事をこなしつつ、移動中や、案件と案件のスキマ時間に、一人でもとにかく昼食を……そんな女性が増えているのではないでしょうか。

(2)むしろ一人がよくなった

もう1つの原因がこちら。一人でランチを食べている人たちを見ていると、スマートフォンをテーブルに置いて、イヤホンをしながら食べている人が多いようです。見ているのは動画。日頃ちらっとその画面を見てみると、日本のドラマや海外ドラマが多く、アニメを見ている人もちらほら。好きなユーチューバーを見ているという人もいます。

中華料理屋で私の隣席に座っていたある女性は、スマホの背面についたパーツを使い、画面を見やすい角度に固定していました。顔を完全にスマホ側に向けつつ、料理のほうはほとんど見ずにチャーハンを食べており、もう完全に「自分の世界」といった感じ。食べ終わってからも、しばらく動画を見続けてから席を立っていました。

人と一緒にいるより一人で息抜きのためのランチへ

「生活定点」には人づきあいについて、こんなデータがあります。

●人づきあいが面倒くさい

全体:1998年23.2%→2018年32.0%

男性:1998年27.2%→2018年35.0%

女性:1998年19.0%→2018年29.0%

図4

図4

人と一緒にいることを敬遠する意識が、20年間で男女とも強くなっているようです。さまざまな要因があるのでしょうが、携帯電話・スマホの登場により、一人でも楽しく過ごしやすい環境が急速に整ったことで、生活者が“ひとりに慣れた”ことも影響しているのではないかと考えられます。

近しい同僚同士で声をかけ、連れだって食べに行くランチは、親睦や情報交換のよい機会。けれども、行く店の選定から会話まで相手に気を遣うことになるし、自分の時間は過ごせません。

海外ドラマにハマっているという知人女性に話を聞くと、「とにかく1話でも早く先に進みたくて、電車の中でもお店の中でも時間があれば見てしまう。だから、食事はほかの人が一緒じゃないほうがいい」と、そんな声が返ってきました。

かつてより多忙さが増し、かつ、スマホでさまざまなコンテンツをいつでも楽しめるようになった今日、ランチの時間は、人と一緒にいるよりは「自分のペースで、好きなことをして過ごすための息抜き」の時間にしたい。そんな意識が強まっているように感じられます。

平成の初めから終わりにかけて、ランチは「親睦」の場から「解放」の場へ。

次の時代の飲食店はもしかしたら、お客さん同士の目線が合わない座席配置やおひとり様専門店など、「解放」仕様のサービスが、もっともっと増えていくのかもしれません。

【参考情報】
「生活定点」調査概要
調査地域:首都40Km圏、阪神30Km圏
調査対象:20歳-69歳の男女3,080人(2018年・有効回収数)
調査手法:訪問留置法
調査時期:1992年から偶数年5月に実施(最新調査は2018年5月16日-6月15日)

記事画像

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提供元:一人立ち食いそばが平気な女性が増えたワケ|東洋経済オンライン

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