2017.10.02
「疲れが慢性的な人」が知らない運動の新常識│「背骨・肩甲骨・股関節」を動かすのが先決だ
背骨や肩甲骨をしっかりと動かさないと疲れが取れません(写真:プラナ / PIXTA)
「朝、起きた瞬間からすでに疲れている」「いつも体がダル重い」「何をしても肩凝りや腰痛がよくならない」と、つねに体の不調を抱えている人は少なくありません。マッサージに行ったり休日に睡眠時間を確保したりして、体を休められたときでさえなかなか消えない疲れや不調は、いったいどうしたら解消できるのでしょうか。
デスクワーカーは凝りや痛みを抱えやすい
毎日長時間、パソコンやスマホを使うという人が増えているようです。この生活がしつこい凝りや抜けない疲れの原因かもしれません。なぜなら画面をのぞくときに、姿勢が崩れがちだからです。姿勢が崩れたまま長時間過ごしていると、筋肉や関節が硬くこわばります。すると体の動きが悪くなっていき、痛みや疲れの発生源となるのです。
筋肉には動かさずにいるほど硬くこわばって凝り固まる性質があり、凝り固まった筋肉は痛みを誘発します。同じ姿勢をとりつづけると「背骨・肩甲骨・股関節」の動きが悪くなるのですが、じつはこれも大きな問題。肩凝り、腰痛、むくみといった諸症状は、この3点の可動性の低下が原因の一つだからです。
「背骨・肩甲骨・股関節」の3カ所は、いわゆる体幹とよばれる体の胴体部分にあります。“体の中心部分”と考えていただいてもよいでしょう。体を動かす際にメインとなるのは腕や脚の動きですが、どちらも体幹という土台に付いています。その土台部分で、腕や脚の動きの起点となるのが、肩甲骨と股関節です。
「肩が痛くて腕が上がらない」「走ると脚が絡まりそうになる」という悲しい経験をしたことのある人もいると思います。腕や脚は体幹を起点としているため、原因は体幹の動きの悪さというケースも大いにありうるのです。
たとえばデスクワークを長時間続けると、まず「背骨・肩甲骨・股関節」の3カ所の動きが悪くなります。体幹は前に曲がって肩がせり出し、腕の付け根にある肩甲骨も左右に開いたまま固まってしまいがちに。このように姿勢が崩れていると、この3カ所のまわりの筋肉は硬くこわばっていきます。すると体の土台部分の可動域が小さくなるので、付随して腕や脚の動きまで悪くなっていくのです。
私はこうした症状に対して、拙著『動的ストレッチメソッド』でも詳しく紹介している、全身を大きく動かしてほぐしながら持久力・筋力をアップさせる「動的ストレッチ」という運動法を勧めています。
「体を大きく動かす」ストレッチが最強に効く理由
ストレッチというと一般的には、ポーズをとってじっくり体を伸ばすものを思い浮かべる人が多いでしょう。それは「静的ストレッチ」といい、体の柔軟性を高める効果に優れています。しかし一般人には大きな柔軟性が必要となる場面はそうなく、それよりも体をほぐして大きく動かせたほうが毎日を快適に過ごせるのです。
一方、「動的ストレッチ」はその名のとおり体を大きく動かしながら、こわばった筋肉や関節をほぐしていくストレッチです。サッカーのウォームアップで行われる「ブラジル体操」や、なじみのある「ラジオ体操」も動的ストレッチの一つというとイメージしやすいのではないでしょうか。
腕や脚など体を大きく振っていく動きの効果で、体幹までしっかりほぐれていきます。これにより関節内を満たす「滑液」という潤滑油の働きをする体液の循環が促進されます。すると関節のすべりをよくするヒアルロン酸の含有量が増加するため、骨の接触部分の摩耗を防いでくれるのです。
先述のとおり、背骨の関節は猫背の姿勢などが続くとその形で固まってしまいがちです。これは、同じ姿勢のまま動かずにいると、関節を包む関節包や関節をつなぐ靭帯などの組織が硬く変性し、関節の動きを悪くするから。背骨まわりの動きを柔軟に保つにはスイング動作でよく動く体幹に戻すことが必要なのです。
「いつも体がダル重いのは中高年以上だけ。自分はそんなふうにならない」と思っている20~30代の人も、何もケアをしなければいずれ加齢による不調が訪れます。体幹周辺を中心に体をスムーズに大きく動かして、こわばりや痛みからくるダル重さを今からしっかり解消しておきましょう。
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提供元:「疲れが慢性的な人」が知らない運動の新常識│東洋経済オンライン