2024.05.02
新茶を取り入れよう!知られざる緑茶の健康パワーについて科学的根拠をもとに紹介!
4月中旬から5月は新茶の季節で、1年のなかでも緑茶がより美味しい時期ともいわれています[1]。
緑茶の魅力は爽やかな香りや優しい味です。緑茶を飲むと心がホッとするため、好んで飲む方もいらっしゃるでしょう。緑茶はそれだけではなく健康へ良い影響をもたらす可能性があることをご存じでしょうか。
今回の記事では、緑茶がもたらす健康への影響について科学的根拠をもとに解説します。また、緑茶を取り入れる際の注意点も解説するので、ぜひ参考にしてくださいね。
緑茶のいろは!緑茶の種類について
お茶は、原料が同じであっても発酵度合いによってさまざまな種類に分けられます。なお、お茶の発酵は微生物による発酵ではなく、酵素のはたらきによる酸化のことを指します。
緑茶は生の茶葉を加熱して発酵させない状態で、加工して作られたものです。栽培方法や製造方法によって玉露・抹茶・煎茶・番茶などさまざまな種類があり、そのうち煎茶が一般的によく飲まれています[2]。
知られざる緑茶の健康パワー
緑茶の特徴は、ほかのお茶と比べてビタミンCや葉酸などの栄養素を多く含むことです。さらにカテキンやポリフェノールなど健康に役立つとされる成分も含まれています[3]。
ここからは、国内外で行われた研究をもとに緑茶に秘められている健康パワーを見ていきましょう。
(1)コレステロール値を下げる?
緑茶に含まれるエピガロカテキンガレートというカテキンは、抗酸化作用や抗肥満作用などがあることがわかっています。また、いくつかの研究によると緑茶は成人の血清脂質に影響を与える可能性があることが示唆されています[3]。そのため、緑茶を摂取することで血清脂質が改善するのではないかと考えられているようです。
健康な成人と肥満の成人を対象とした、緑茶の摂取と血清脂質との関連を調べた研究をまとめたレビュー論文によると、緑茶摂取は総コレステロール値とLDLコレステロール値を低下させる可能性があることを示唆しています。ただし、緑茶をどのくらい摂取すれば良いのかは分かっていません[4]。
(2)高血圧の改善に役立つ?
緑茶に含まれるカテキンは、血管を拡げたり血管の機能を改善したりすることで、血圧を低下させる可能性があります。そのため、緑茶は高血圧の治療や血圧のコントロールに役立つのではないかと考えられているようです。健康な人と高血圧などの疾患がある人を対象とした緑茶のカテキンと血圧の関連を調べた研究をまとめた論文によると、緑茶と緑茶のカテキンを摂取することで血圧が改善する可能性があると報告しています。特に収縮期血圧が130mmHg以上の方に対して、血圧が低下しやすいようです[5]。
(3)がんの予防に役立つ?
緑茶に含まれるポリフェノールは、抗酸化作用や殺菌作用を有しています。このことから、緑茶はがんのリスクを低下させるのではないかと考えられているようです。アジア人を対象とした緑茶の摂取と胃がんの関連を調査した研究をまとめた論文によると、緑茶の摂取量が多いかつ摂取期間が長いと胃がんのリスクが低くなる傾向にあると示唆しています[6]。
これらの研究報告により、緑茶の摂取は健康に良い影響をもたらす可能性があるものの、効果として決定づけるにはより詳しく研究を行う必要があると考えられています。そのため、今後の研究が進んでいけば、緑茶の健康効果やどのくらいの量を摂取すれば良いのかお伝えできるかもしれません[4-6]。
緑茶を取り入れる際に意識したいこと
ここまでの内容で、緑茶のカテキンが健康に良いなら緑茶をたくさん飲もうと思った方もいらっしゃるかもしれませんね。しかし、緑茶の飲み過ぎは健康に悪影響を及ぼす可能性があるため、注意が必要です。
緑茶にはカテキンやポリフェノールだけではなく、カフェインも含まれています。カフェインを摂り過ぎるとめまい・不安・不眠・下痢などの症状が現れます。さらに人によっては高血圧のリスクが高くなる可能性もあるようです。ただし、カフェインによる影響は個人差が大きいため、どのくらいまで摂取して良いのかは明確に決められていないのが現状です。
海外では健康な成人のカフェイン摂取量として、1日あたり400mgまでを目安にすることを推奨しています。緑茶は1杯(200ml程度)あたりカフェイン約40mg含まれているため、およそ10杯が摂取目安となります。ただし、カフェインは他の食品にも含まれているため、1日に飲む緑茶の量は1食に1杯もしくは500mlペットボトルの緑茶飲料1本程度に留めておくのが良いでしょう[7]。
いつもの食事に緑茶をプラスして緑茶パワーを活かそう!
味や香りだけではなく、カテキンやポリフェノールなどのように健康に役立つとされる成分が含まれているのも緑茶の魅力といえます。また、緑茶は比較的安価で手に入れやすく、ティーバックや粉末などさまざまな形で摂取できるため、手軽に取り入れやすい食品でしょう。
今回の記事を参考に、緑茶パワーを活かしてみてはいかがでしょうか。
【参考文献】(すべて2024年3月21日閲覧)※外部サイトに遷移します
[2] 文部科学省, 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年
【プロフィール】管理栄養士 一ノ木菜摘
巷にある健康情報について、科学的根拠をもとにできるだけ分かりやすく伝えるために、ヘルスケアライターとして活動している。これまで執筆した記事数は100記事以上。得意なジャンルはダイエットや生活習慣病など。最近では論文読解にも力を入れており、食の専門家を対象に論文読解を向上させるためのサポートをしている。またコラムの執筆・監修・講師などを行う。
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『世界中の誰もが、自然に健康になれる社会を創る』をミッションとし、「テクノロジー・エビデンス・専門家ネットワークを活用し毎日の健康を自然にサポートできる社会システムの構築」を目指しています。
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