2023.05.01
肝機能の検査値が高いと言われたら?自分でできる生活習慣の改善ポイントを解説
肝臓というとお酒のイメージが強いと思うかもしれませんが、お酒を飲んでいなくても肝臓にダメージを与えている場合があることをご存知でしょうか。
肝臓は「沈黙の臓器」とも呼ばれ、肝臓が機能障害になっても自覚症状が出にくく明らかな症状が出た頃には重症化している恐れがあります。そのため、症状がなくても定期的に検査を受けることが必要とされます。
検査の結果で肝機能の検査値が高い場合は、早めに対処することが重要なのです[1]。
今回の記事では肝機能の検査値が高値の場合のリスクやその改善策を解説します。
肝機能の検査値について!基準値を超えるとどうなる?
肝臓は食べたものをエネルギーに変換する、アルコールなどの有害物質を分解する、腸内での消化吸収に必要な胆汁をつくるなどといったはたらきがあります。
肝臓の状態を示す指標として、AST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)、ALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)、γ-GTP(ガンマグルタミルトランスペプチダーゼ)があり、それぞれ基準値が設けられています。それぞれの検査値が基準値を超えるとさまざまな病気のリスクが高まります[1]。
(1)AST・ALT
AST・ALTは肝臓に含まれている酵素です。ただしASTは肝臓以外に心筋や骨格筋にも含まれています。
基準値はどちらも30U/I以下です。
ASTとALTが高い場合は、脂肪肝・急性肝炎・慢性肝炎・肝臓がんなどが疑われます。ALTのみが高い場合は、心筋や筋肉に関する病気が疑われます[2]。
(2)γ-GTP
γ-GTPは胆道から分泌される酵素で、肝臓の解毒作用やアミノ酸の生成に関わっています。
基準値は男性が50U/I以下、女性が30U/I以下です。
γ-GTPが高い場合は、アルコール性肝機能障害、肝硬変、慢性肺炎などが疑われます。なおγ-GTPとALTが高い場合は、非アルコール性脂肪肝、非アルコール性脂肪性肝炎を発症している可能性があります[2,3]。
肝機能の検査値を下げるための生活習慣のポイント
AST・ALT・γ-GTPが高くなる原因として、主に食べ過ぎやアルコールの飲み過ぎ、肥満などが挙げられます。肝機能の検査値を下げるためには、これらの生活習慣を改めることがポイントとなります[1]。
(1)アルコールを控える
お酒は控えるようにしましょう。1日あたりの飲酒量として、日本酒では1合、ビールでは中瓶1本、酎ハイ1缶、ワイン2杯程度が目安となります。また、週に1回以上は休肝日を設けて肝臓を休ませることが必要です。
検査の結果によっては禁酒が必要になるため、お酒を飲む際は医師に相談するようにしてください[4]。
(2)バランスの良い食事にして食べ過ぎに注意する
糖質の多い食品(ご飯やパンなど)や脂質の多い食品(揚げ物や肉料理など)の摂取は控え、野菜を積極的に取り入れてバランスの良い食事を意識しましょう。
肥満の場合は、減量することが重要です。カロリーの高い食品の摂取を控え、食べ過ぎに気をつけるようにしましょう。また、間食やお酒のおつまみも意識しないとカロリーのとり過ぎにつながるため、注意してくださいね[4]。
(3)運動する
ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動を中心に、1日30~60分を週3日以上行うようにしましょう。筋肉量を維持するために筋トレと併せて取り組むことがおすすめです。ただし、普段ほとんど運動していない方は、いきなり運動すると体に負担がかかることが考えられます。階段を使うようにする、隣駅まで歩く、掃除や洗濯などの家事を積極的に行うなど日常生活のなかで活動量を増やすことから始めると良いでしょう[4]。
早期発見し生活習慣を改善に努めよう!
肝機能を正常に維持するためには、定期的に検査を受けて早期発見し改善するように心掛けたいですね。
なお、肝臓は生活習慣だけではなくウイルスや薬物などの影響でも数値が高くなるケースがあります。
健康診断の結果で肝機能の検査値が高い場合は、一人で悩まず医師などの専門家に相談するようにしましょう。
【参考文献】(すべて2022年3月17日閲覧)※外部サイトに遷移します
[4] 日本消化器病学会・日本肝臓学会: NAFLD/NASH診療ガイドライン 2020(改訂第 2 版)
【プロフィール】管理栄養士 一ノ木菜摘
管理栄養士 ライター
短大を卒業後、病院で栄養士として働きながら管理栄養士免許を取得。その後は病院の管理栄養士やコールセンターなどの経験を経てライターとして活動を始める。科学的根拠をもとにダイエットや生活習慣病などを中心としたヘルスケアコラムを執筆している。
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記事提供:リンクアンドコミュニケーション
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